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内容はないようです  作者: プロットなんていらねぇ!
13/15

名前を付けるのって難しい

 外に出ると、近くをうろうろしていたらしい炎狼が駆け寄ってきた。

 心做しか嬉しそうで、私の心もぽかぽかと温かくなる。

 炎狼は本来危険な存在だから、グレイブさん達の警戒も当然だとは思うけど、会えて嬉しそうにされると私も嬉しい。

 たとえそれが炎狼相手でも。


「炎狼さん、危ないことはしてない? みんなのこと、襲っちゃ駄目だからね」

「ぐる!」

「……してない? ふふ、いい子、いい子……」


 炎狼の頭を撫でる。

 すると、パチパチッと小さく火花が弾けた。

 喜んでる……の、かな。

 尻尾もぶんぶん振ってるし……


「イルシュ」


 声を掛けられて振り向く。

 この人は、私によくここのことを教えてくれる人。

 明るい茶色の髪に、優しそうな緑色の瞳をしている男の人。

 ……本人は地味だってよく言うけど、私は綺麗だと思う。


「……アレス先生」


 アレス先生は、元々いた世界では教師をしていたらしい。

 だから、とっても頭が良くて、記憶力だって良くて、私に元いた世界の話もたくさんしてくれる、優しい先生。

 ……だけど、今日は……少し、怒ってる……?


「聞いたよ、急に失踪して、怪我をしたって」

「……心配をお掛けして、ごめんなさい。でも、失踪は……私の意志ではなくて……」

「……それならいいんだけれど、ね。……その子は、グレイブさんが言っていたイルシュに懐いている炎狼かい? 私が近付いても大丈夫かな?」

「えっと……炎狼さん。アレス先生は、とっても優しい人ですよ。なので……どうでしょう……? もう少し近付いても、大丈夫そうですか?」


 しゃがみ込んで訊いてみると、炎狼はじっとアレス先生を見つめ始めた。

 そして、一歩だけアレス先生に近付いて、小さく鳴いた。


「……撫でるのはどうかな?」

「グルッ!」

「……駄目そうです」

「あはは……そうかい。なら、やめておこうか。……それにしても、炎狼と呼んでいるけどこの子に名前はないのかい?」

「……名前」


 名前……そっか。

 いつまでも炎狼なんて種族名で呼ぶのも失礼かもしれないし、炎狼さんがいいのなら付けた方がいいのかも。

 ……でも……名前、か。

 付けたことないから、なんて名付ければいいのかわからないな。


「……炎狼さん、あなたの名前を考えてみようと思うんだけど……嫌じゃない?」

「ぐる」


 こくり、と炎狼さんが頷く。

 ……今更だけど、どう考えても人の言葉を理解してるよね。

 グレイブさんに報告するべきかな……まぁ、それは後でもいいや。

 今はそれよりも、この炎狼さんの名前。


「……アレス先生、名前って、どう付けるの?」

「名前……か。そうだね……私も、ペットを飼ったりしたことも、子供ができたこともないから偉そうなことは言えないんだけれど……何かに関連付けたり、願いを込めたり……というのが、一般的ではないかな」

「関連付ける? ……願いを込める……?」

「前者なら、例えば……この炎狼なら、炎や狼にちなんだ名前を付けるとか。願いなら……花言葉なんかなら思いつきやすいかもしれないね。リンドウという花があるんだけど、リンドウには長寿という花言葉が付けられているんだ」


 花言葉。

 私は聞いたことないけど、この世界にもあったのかな。

 私はただの村娘だから……教養があるわけではないし、そのせいで知らなかっただけかもしれない。

 ……リンドウっていう花のことも、始めて知ったし。

 まぁ、それはともかく、今は名前だ。

 この炎狼に相応しい名前……なんだろう。


「……炎……火……火花?」


 炎狼の特徴といえば、火花だ。

 これはここで学んだことだけど、炎狼は高速移動や攻撃、威嚇などの際にパチッと火花を散らせる。

 原理はわからないけど、そういう生態……らしい。

 ヒバナちゃん……くん?

 なんだか、ピンと来ないな……願いを込める方向ならどうだろう。

 でも、花言葉とか、私は全然知らないから……もっと直接的な感じなら。

 ……この炎狼は……私の命を救ってくれた。

 あの未知の炎魔から命を救ってくれたから……


「……キュー……くん? ちゃん?」

「ぐる!」

「名前かい?」

「うん。私の命を救ってくれたから、キュー」


 命にちなんで、メイにしようかとも思ったけど……キューの方が、この炎狼さんがオスでもメスでも、違和感がないと思ったから。

 私の感覚でしかないけど……どう、なのかな。

 炎狼さん、気に入ってくれてるかな。

 そう思って炎狼さんを見ると、ぶんぶんと尻尾を振って嬉しそうにしていた。


「……キュー、喜んでるみたい。よかった……」

「ぐる!」

「わ、ふふ……くすぐったいよ、もう」

「気に入ってくれたみたいで、よかったね」


 優しくそう言ってくれる先生に笑いかけて、私は少しの間キューと遊んだ。

アレス


イルシュの先生。

男性。

前いた世界では教師をしていたらしく、知識が豊富。

青夜の月でも教師として活躍している。

茶髪に緑色の瞳をしていて、いつも優しそうな顔をしている。

その顔に違わずとても優しい性格をしているが、怒らせると怖いタイプ。


前回、イルシュのお友達ポジを出すと言ったな。

あれは嘘だ。


というわけで何か先生ポジが出ました。

なんか書いてたらここで友達が出るの違うなってなっちゃいまして……出せませんでした。

まぁ絶対出すとも言ってないしね、うん。


ところでアレス先生ですが、先生だし敬語にするかぁ、とか思ってたんですが、ルルエさんが敬語なのでキャラ被りになるなと思って〜〜かい、とかって感じの口調にしたんですが……まだそっちで馴染んでおらず、脳内が最初の敬語キャラになっているので今後アレス先生の口調が敬語になってしまうことがあるかもしれません。

気付いたら直します。

気付かなかったら指摘されるまで直りません。


あと、キューの由来がわかりづらいかもしれないので念のため。


命を救う→救→キュウ→キュー


こういうことです。

あとキューの紹介忘れてたので置いておきますね。

新情報ほぼないけど。


キュー


イルシュにだけは懐いている炎狼。

未知の炎魔からイルシュのことを救ったことから名付けられた。

アレスにはイルシュ以外の人間と比べれば微妙に懐いている。

イルシュが会いに来るまで、随分とそわそわしていたらしい。


後書きちょっと長すぎかもー……

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