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***

目を開けると広がったのは立派なベッドの天蓋だった。

金縛りのように身体の自由が効かなかった。真っ先に手を動かそうとしたら、指の先だけはほんのちょっとだけ動かすことが出来た。


「起きた?」


隣から柔らかい声色の青年の声が響いた。

彼は私に向かって微笑みかけている。


「君の名前は?」


と彼が問う。


《「……お前は?」》


違う誰かの声がフラッシュバックした。


《「……花X日XX!」》

「……花……日……!」


なんでなんだろう。もう少しな気がするのに。

頭が割れるように痛い。


「……うん。大丈夫だよ。無理しなくていい。これでも少しずつ進展してるからね」


彼は私の頭を優しく撫でた。まるで宝物を触るみたいに。


「あれ?泣いてるの?」


彼が言った。実際に泣いてしまっているらしい。


「なぜか分からないの。わからないけれど」

「懐かしくて……涙が零れそうな……そんな気持ちなの」


彼はそんな私の言葉に心底驚いた表情をして、横たわったまま動けない私の身体を優しく抱きしめた。


「ごめん、ごめん。いつか絶対に返すから」

「今だけはこうさせて」


彼が謝っているのは私に対して?

分からないだらけの私はそれすらも分からなかった。

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