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カニサンド

「で、何があった?」

「ホワイトウッズの奴らがフラインに総攻撃を仕掛けてる。」

 料理を包むネウの背後で、不服そうなオムと状況を説明するヒロの声が聞こえる。

 ホワイトウッズは周辺で最大勢力を持つ盗賊団で、フラインは同盟関係にある近隣の大規模都市だ。

「簡単なやつは何かあったっけ?」

 オムの串焼きを包み終えたネウは保管箱を漁り、ヒロの要望に最適な食材を探す。

「ああ、これでいいか。」

 そう言って野菜の下に見つけた白い半透明のプラケースを取り出した。中には白い身の詰まった甲殻の一部が入っている。

「ヒロ、カニサンドでいい?」

 甲殻の正体は泥濘地に広く分布する大型の蟹だ。

「ああ、スパイス多めでお願い。」

 カウンター席からヒロの声が返ってくる。

「これはちゃんと泥抜きしてあるから臭くないよ。」

「じゃあ、おすすめの味付けで。」

「うーい。」

 返事をしながら殻から身を掘り出し、調味料と混ぜ合わせる。

「何もこんな夜中にやらなくても・・・」

 オムのぼやきが聞こえてくる。

「夜は皆眠くなる。さっき支援隊が出発して全隊員の出動レベルが引き上げられた。俺達はS3陣地で待機だ。」

 それに対し任務を淡々と説明するヒロ。

「予備陣地か・・・仮眠は取れそうだな。でも、出動レベル引き上げはちょっとやり過ぎのような・・・」

 状況を把握しオムは私見を述べる。声のトーンからしてようやく仕事モードに入ったようだ。

 その様子にネウは、口元に笑みを浮かべながら切れ目を入れたパンに葉物野菜と蟹肉を詰めた。

「斥候からの情報だと黒鬼団もきな臭い動きを見せてるらしい。未確認だけど、ホワイトウッズの中に黒鬼団のメンバーがいたって話も出てる。」

「あいつらって敵対勢力じゃなかったっけ?」

 ヒロの説明にネウが口を挟んだ。

 黒鬼団はウェザー近くに拠点を置く盗賊だが、ホワイトウッズと仲が悪いのはあまりにも有名だ。

「同盟でも組んだんじゃない?状況的に充分考えられる。」

「まあ、何にしても、何が起こっても不思議じゃないから厳重な対応をしてるって事。」

 そう言ってヒロは話を締めくくった。

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