常連ヒロ
「繰り返す、緊急事態発生。オム、応答しろ!」
オムの腰に括りつけられた通信機から緊迫した声が響く。
肉を齧ろうと口を開けたまま止まっているオムは露骨に嫌な顔をし、巻き戻しのような動作で串焼きを皿に戻す。
「・・・ま、いいか。」
しかし、肉が皿に着く直前で開き直ったオムは、串焼きを再び口元へ持ってきた。
「良いの?」
「本日の営業は終了しました。」
「うん、うちもなんだけど。」
薄ら笑いを浮かべて言い放つオムに、ネウは嫌味を混じえて返す。
その瞬間、入口ドアが音を立てて開いた。
「オム、何故応答しない?」
スキンヘッドで体格の良いニンゲンの男が、店内に一歩踏込み通信機と同じ声で言い放つ。
「お゛お゛ぅ゛・・・!」
突然の不意打ちにオムは何とも言えない声を上げた。
「やっほー、ヒロ。」
ネウはスキンヘッドに、気さくに挨拶をする。
「やあネウ、閉店後にすまんね。」
この男はヒロ。オムの同僚でここの常連だ。
「いえいえ。」
オムの隣の席に着くなり、詫びるヒロにネウは柔らかい笑顔で手を振った。
「なんか簡単に食べれそうなやつとコーヒーをテイクアウトで頼む。オムが食べてるやつも包んでやってくれ。」
「わかったー。」
ヒロの一方的な注文をネウは快く承諾すると、オムの串焼きを下げ梱包準備に入る。




