友人オム
営業を終え店のドアをロックしたネウは、その日の売上を数えるためレジを開けた。
今日は全体を通して客の入りが良く、売り上げ金が多いことが予測出来る。しかしその分、計上に時間が掛かるためネウは嬉しさを持ちつつ、疲労のため息をついた。
「さて、やるか・・・」
気を引き締めたネウはカウンターに帳簿を広げ、レジに手を伸ばす。
その瞬間、地響きが発生し店全体が小刻みに揺れ出した。
「んん?」
突然の出来事に店内を見回すネウ。
やがて地響きに金属の軋む音が混じりだす。
「ああ・・・」
地響きの正体に感づいたネウは、少し面倒くさそうに声を漏らした。
ドアとその横の壁にはめられた窓の外に、円盤のような車体に四本の履帯を持つ奇妙な形の戦車が、店の照明に照らされ夜闇に浮かび上がる。そして、戦車が完全に停止すると、地響きと揺れは沈黙した。
車体から乗員飛び降り、ドアをノックする。
「営業時間外だよー。」
そう言いつつもネウはドアの鍵を開けた。
「こんな時間にすまんね。」
そう言いながら迷彩服を着込んだ長身のネコ型ミュータントが入店する。
このネコは、ネウの友人にしてフラッフィの常連のオムだ。
「随分遅い来店だね。」
「ああ、遠征調査団の護衛に行ってて、さっき帰ったとこ。」
披露を滲ませながらオムが話す。
オムは都市連合防衛隊に所属する兵士である。
「腹減ったから何か食わせて〜。」
「わかったわかった。」