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ブーケのようなご褒美を  作者: 津々井サクラ
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思い出の保管

 一星さんにマンションまで送ってもらって、家に帰ると私は早速貰った落ち葉を押し葉にする準備をする。

 まずは新聞にふたつカエデを並べる。

 こうしてみると私と一星さんが並んでいるみたいで微笑ましくなった。

 ここから一時間近く乾燥させる。車の中でも手に持っていたのでほとんどないとは思うが万が一虫がついていた時のことを考え、乾燥するのと同時に虫を落とす、という意味もこの作業には含まれている。

 乾燥させている間に溜まってしまっていた家事をこなす。洗濯は好き。皿洗いは嫌い。掃除は好き。片付けは嫌い。好きも嫌いも全部こなした頃には一時間以上が経過していた。いい頃合いだろう。

 ふたつのカエデにアルコールを吹きかけて細かい汚れや目に見えない虫等を落とす。いないとは言い切れないからね。

 ふたつのカエデをどのように加工しようか。押し葉にするだけではなんだか味気ないし壊れてしまうかもしれない。

 しばらく悩んだ結果しおりにしようと考えた。私も図鑑に挟めるし一星さんも台本に挟める。ここまで考えてからふと気持ち悪くないかな、と考えた。

 手作りの物は引かれる、と聞いたことがある。ほら、手編みのマフラーとか。サシェは欲しいと言われたけど、これは欲しいとは言われていない。

 考えてから一星さんに欲しいかどうか聞いてからにしようという結論になった。しおりにするにしても、それなりに時間もかかるし。

 一星さんに連絡を入れてみても返事が返ってくることはなかった。お仕事なので仕方ない。

 その間にさっきとは違う新聞紙を持ってきてカエデを挟んだ。そして重しに部屋にある、ありとあらゆる植物図鑑を上に置いた。これで大体一日から三日放置する。

 このカエデは手に持った時にまだ水々しかったから少し長めに三日は放置しよう。きっとその間に一星さんからも返事が来るだろう。

 そこまでして時計を見るとすでに12時を回っていた。

 急いでお風呂に入り、明日に備えてベッドに入った。ベッドに入る時には1時を回っていたが一星さんからの返事はなかった。


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