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ブーケのようなご褒美を  作者: 津々井サクラ
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小さな声

 駅前の大通りを少し入った人通りの少ない小道。ずらっとマンションが立ち並ぶ中のひとつ。普通のマンション。一カ所を除いて。


 道に面して二階へと続く螺旋階段。その先には暖色の明かりが漏れる、こじんまりとしたカフェがあります。そこがこの物語の舞台。喫茶『イベリス』。お花の名前から店主が取ってきたものです。


 お花の名前が店名になってることからお店の中も店主の好きなお花がたくさん咲いています。でも目立つのはやっぱり、イベリスのお花です。色とりどりのイベリスが誇らしく咲いて、特有の甘い香りを漂わせています。


 申し遅れました、私店主の女の子に大切に育てられているイベリスの花です。花が喋るなんて可笑しいって?そんなことありません。私たちはいつもお話していますよ。ただ、人間の耳に届くには少々小さすぎる声かもしれません。

 おや、ここの店主がお店にやってきたようです。

「おはよぉ~」

 おはよう。今日も可愛いお洋服を着ている。髪の毛は高い所で結んで、トレードマークのすみれ色のリボンを巻いてる。


 お花の私でも分かるくらい店主のすみれちゃんは可愛い子。美人さん。だから私の使命はそんなすみれちゃんに変な男が寄り付かないように見張ること。


 すみれちゃんがお店の鍵を開けて、中に入ってからもう一度出てきたら私のお世話の時間。お水を貰うの。そしてすみれちゃんのお歌を聞くのよ。あんまり大きな声では歌わないけど、すみれちゃんのお歌はすっごく綺麗。


「今日も綺麗だね」

 そう?すみれちゃんも今日も綺麗よ。

 すみれちゃんがニコニコになるとお店に戻っていきます。さぁ、今日の『イベリス』にはどんなお客さんが来るのでしょうか。


 なんだかいい予感がします。


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