2 うさぎの森の災害
今から一年前にイムメンゼーの森で起こった大水のために、山にしば刈りに行ったジーたんと川にせんたくに行ったバーたんは、いっしゅんのうちに水に飲み込まれて、どこへいったのか、わからなくなってしまったのです。
イムメンゼーの森にいた多くの動物たちも、水の中で命をおとしたり、ケガをしたりしました。
とてもつらいできごとでした。
ファーゴとエリーザは、悲しみにみちた大水のことを、一年が過ぎた今でも、忘れることはありませんでした。
ファーゴのお父さんは、その後始末のために、一年以上、家に戻ってくることができないほど、森のくらしはかわってしまいました。
自然では想像をこえたできごとがおきます。
ましてや、力のないうさぎではなおのことです。
大水が発生しても、こんなにひどい被害が起こらないような森に変えなければと、イムメンゼーのえらい人は言いましたが、その後、どうなったのかはファーゴもエリーザも知りません。
ただ、早くお父さんや、ジーたんバーたんが家に帰ってくるのを願うだけです。
ファーゴは小さなベッドで寝ているエリーザの頭をなでてやると「月に…行き…たいな」とエリーザは寝言をいいました。
「お母さんは月に行く方法を知っているのかな」
ファーゴは妹のエリーザのためにも、お母さんに月に行く方法を教えてもらおうと、エリーザのね息をききながら、あみ物をしていたお母さんに言いました。
「お母さん、教えてほしいことがあるんだけど」
「何を?」
「どうしたら月に行けるの。エリーザも月に行きたいって」
ねているエリーザを見ながら言いました。
お母さんは、小首をかしげて、こう答えたのです。
「くわしくは知らないのよ。ただ、月に行くゴンドラがあるから、それがくるのを待つことね」
「ゴンドラって」
「そうね、丸くって、四角くって、三角で……」
「どこにくるの」
「うーん、いい子にしてたらね。いい子のところに、くるものよ」
「ジーたんもバーたんもゴンドラに乗って、月に行ったの?」
ファーゴはいいました。
お母さんはしばらく考えてから、答えました。
「ゴンドラには乗らなかったの、あのときは大水でたくさんの仲間がいたから、大きなお船に乗って月に行ったのよ」
ジーたんバーたんが、もうここにには帰ってこないと、お母さんは思っていました。
「じゃ、いつか、ここに帰ってくるの」
「それはわからないの。でも、いい子にしてたら、必ずゴンドラはくるよ。ジーたんバーたんがいる月にも行けるよ」
「エリーザにやさしくするから、おもちゃも取りあげたりしないから、早くゴンドラこないかな」
お母さんは、そんなファーゴをみると、行くへのわからないジーたんとバーたんを思い出して、涙がにじんでくるのでした。




