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汽車
「機関車というものは、いったいどこの誰が製造しているのか」
を私が最初に意識したのは小学生の頃、駅に停車している電気機関車の側面を見ていて、メーカー製造銘板の存在に気づいた時のこと。
たぶんEF65かEF60だったろうけど、東芝だか三菱だか日立だか、とにかく日常の家電製品でおなじみの名前が書かれていたのだ。
「へえ、ああいう会社が機関車も作ってるんだ」
小学生としては、それなりの大発見だったと思う。
前後して鉄道雑誌なども読み始め、奇妙な記述に出くわすようになる。
記事の中である機関車のスペックが説明されているとして、自重とか全長とか、ELなら電気方式とかに続いて、メーカー名が、
『汽車製造』
とあったりする。
「はあ?」
という感じ。
これが例えば『三菱製造』であれば、
「三菱が作ったんだな」
と了解できるのに、汽車とはなに?
それが本当に「汽車製造株式会社」の意味だと分かったのは、もう少し後のこと。
よくご存じだろうけど、1896年に設立され、1972年に川崎重工と合併した会社。




