ケーブルカー
小学生の頃、図書館で工作の本を借りて読んだ。
私よりも少し上の世代を対象に出版されたものだったが、とにかくあの時代の人は、
「何でもかんでも自分で作った」。
この本には1章を割いてケーブルカー模型の作り方が載っていて、サイズはOゲージぐらいだった。
一般的な交走式のケーブルカーで、もちろん急こう配の線路も作って、2両を交互に運転できるようにする。
よくご存じだろうけど、2台が走るケーブルカーでも線路は単線で、路線の中央部だけが複線になり、列車交換ができるようになっている。
だけどケーブルカーのポイントは、一般的な鉄道のポイントとは構造が異なっているよね。
ケーブルカーのポイントは、ガチャンと切り替えをしないから。
どうなっているかというと、車輪が独特の形をしていて、
・フランジなし車輪と、
・両側にフランジのある車輪
という組み合わせになっている。
でもだからって、
「当時はケーブルカー用の車輪が模型パーツとして発売されていた」
わけではない。
だったら車輪なんて、どうやって作ります?
記事中でも、通常のOゲージ車輪を加工して工作するようになっていた。
まずフランジなし車輪を作ろう。
もちろん旋盤でも持っていれば、エイヤとフランジを削り取ってしまえるだろうけど、実際に持っている人がどれだけいたか。
(あの頃の鉄道模型雑誌には、確かに旋盤の広告があったけれど)
手で持ってゴリゴリと回すハンドドリルという工具があって、私もかつて持っていたけれど、これを万力で挟んで、左右水平に固定する。
そしてチャックに車輪を挟んで、ハンドルを手で回しながら、もう一方の手でヤスリを近づければ旋盤の代用になって、フランジを削り取ることができるじゃないですか。
これをドリルレースと称した。
そういう時代。




