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ジュラ電

 少し前にも書いたことですが、戦後すぐのこと。

 航空機用ジュラルミンが余っていたので、これで電車を作ってみることになり、完成したのがモハ63-900。

 この車両は無塗装の銀色のままで走り始めたが、実は完全な無塗装ではなく、窓の下部、ウインドシル部分に緑色の帯をぐるりと巻いた姿だった。

 そういう写真は本にも載っているし、実は私も「ふうん」としか思わなかったのだが、突然気になってきたことがある。


「どうせなら緑帯なしの完全無塗装でもよかったのでは?」


 車体を完全無塗装にしてはまずい技術的理由など存在しないように思う。

 ところが急に思いついたのですよ。


「技術的な理由ではなく、もしかして情緒的な理由だったのでは?」


 電車を完全な無塗装のままで走らせることに対して、当時の人々はもしかして、


「人前で素っ裸になるような恥ずかしさ」


 を感じたのではなかろうか?

 だったらどうします?

 通常の半鋼製車とは違い、塗装しなくても済むのは立派なアピールポイントだから、全塗装は避けたい。


「素っ裸でまずいのなら、せめてフンドシぐらいさせろ」


 と誰かが言ったかどうかは知らない。

 ほらあなた、笑ってはいけません。

 かつてはフンドシのことを「下帯」と呼んだでしょ? あれも帯の一種です。

 ちゃんと理屈が通るじゃありませんか。


 じゃあなぜ、緑色の帯だったのか。

 ここにも、ある種の葛藤が感じられるのです。

 銀色の車体には、どんな色の帯が似合います?


 青帯だと、2等車とまぎらわしい。

 赤帯だと、旧3等車とまぎらわしい。

 白帯だと目立たない。

 黒や茶色の帯だと華がない。


 そんなこんなで結局、緑帯に落ち着いたのではないかと。


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