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定刻


 まだ青春18きっぷが存在しなかった頃だけど、私は急行や特急は使わず、旅行するときも普通列車ばかり乗っていた。

 ある時、北陸線から北海道へ抜ける旅行を思い立ったのだが、私の家からではたとえ始発電車に乗って出かけても、米原への到着が7時58分になってしまう。

 すると北陸線の接続列車は8時00分発の敦賀ゆきで、困ったことに乗り換え時間はたった2分しかない。

 あの大きな駅ですぜ。

 しかも東海道線ホームから北陸線ホームは距離があり、長い長い跨線橋を渡らなくてはならない。

 だが仕方がない。

 米原駅に到着し、113系電車のドアが開くやいなや私は覚悟を決め、カバンをかついで、馬鹿正直にもひいひい言いながら走り、なんとか間に合ったのであります。

 振り返ると、私と同じ列車に乗り換えるらしい乗客は何人もいるが、誰も急いでなどいない。荷物を持って、のんびり歩いている。


「あの人たちは、あきらめて急行にでも乗車するのだろうか」


 私は旧型客車の客となったが、8時00分はもう過ぎているはずなのに、いっかな列車は発車しない。


「あれれ?」


 結局DE10がエンジンをふかし、実際に発車したのは8時も04分を過ぎる頃でした。

 つまりあの列車は、00分発車のはずが、毎日毎日常習的に4分遅延で発車していたのだろう。

 汗をかいて全力で走ったのが馬鹿みたいだった。


「なんでえ」

 

 あれは確かに、世の中の仕組みを一つ勉強した瞬間でしたな。



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― 新着の感想 ―
国鉄時代は ダイヤも長閑だったのかな? 林真理子も 改札が時間まで閉まってて 必死に跨線橋を登って降りて乗車したとか 確か故郷の山梨の話
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