車止め
大阪緩行線には鷹取という駅があり、国鉄時代には操車場や機関支区、鷹取工場があって、見どころが多かった。
機関支区にはターンテーブルがあって、そのまわりにはEF60やEH10がたむろしているし、川崎重工で新造された車両が最初に届くのもここ。
だから私がEF63やDE15の現物を初めて見たのは、この駅だったりする。
この駅のすみに古い車止めがあることを知っている人は、今では少ないかもしれない。
止めるべき線路はもはやなく、ただコンクリート製の車止めだけが、下り電車線のわきにポツンと置き忘れられている。
私はなんだかとても好きで、ももしも庭があればもらい受けて、移設して飾っておこうかという気がするくらい(庭はないけど)。
だが、なぜこんなところに車止めが必要だったかというと、かつて鷹取駅から南に向かって線路が伸びていたことを知る人も、今では少ないかも。
駅の南には工業地帯があり、ガソリンタンクもあって、そこへ出入りするタキたちが通った引き込み線。
ときどき下り電車線を封鎖して、DD13が入換作業に出入りしていた。例の車止めは、そのための引き上げ線か、安全側線の終点だったもの。
だから聞いた話だけれど、かつてはこの入換時間に合わせて、鷹取駅を通る普通列車のダイヤには制限があり、本当なら15分に一本電車があるはずが、1本抜けて、30分空いてしまう時間帯が日中にあったとか。
アーバンネットワークの現在では考えられないことかもしれない。




