日本語
小学生の頃に突然気が付いたのだけど、
「物には二つの名前がある」
二つというのはつまり、犬ならドッグ、猫ならキャットというように、日本語と外国語(主として英語)の名前があるのだということ。
そして英語名が日本に入ってきたのは明治以後のことで、それまでは日本名しか存在しなかったのだろう。
それまで日本人は誰も、犬や猫をドッグ、キャットとは呼ばなかった。
それはまあよろしい。
どんなものにも二つの名前がある。本ならブック。米ならライス。
ところがそこで、ある単語が突然私を悩ませ始めた。鉄道ファンらしいといえば言えるかもしれない。
「トンネル」
明治以前の日本には、トンネルなど存在しなかった? まさかあ。
それとも存在はしたけれど、名はまだなかった?
「ああほら、この間地面に掘ったあの穴、あの穴のことじゃい。山の下を人がくぐり抜けて通るアレのことじゃい」
毎日毎日、こんな面倒な会話はしてられないじゃないですか。
実はたまたま読んだ本に、1763年に大分県内で完成したトンネルの話が載っていたので、日本語にもトンネルに対応する単語があったのは間違いないのです。
その正解にどこで行きあたったのだかは忘れました。どこかのトンネルの扁額だったのかもしれません。
(扁額:トンネル入口、上の方にかかげてある看板みたいなやつ)
皆さんもよくご存じでしょうが、正解は隧道です。




