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ニシキタ


 あまりにも有名すぎて、もはや語るのもはばかられることの一つに、阪急の西宮北口駅の平面交差がある。

 この駅のことを、地元の人は「ニシキタ」と呼ぶが、学生時代には私も、あの通過音を毎日のように耳にした。

 神戸線の列車は2本の線路をまたいで平面交差するだけだが、今津線側は4本をまたぐので、そのかしましいこと。

 神戸線はともかく、当時の今津線はツリカケ車ばかりで、2つの音が合わさって、そのかしましさも2倍になる。

(書きながら気が付いたが、恐らくこれは嘘である。平面交差通過時には、ノッチオフが原則だったかも)


 行きすぎる列車にはさすがに優先順位がつけてあり、神戸線側が通過するときには、今津線列車は平面交差の手前で、「お預け」状態の犬のごとく、おとなしく待っていた。

 もちろん信号機もあり、冒進など起こさないよう、脱線ポイントが設置してあった。

 当時、今津線は810型の天下で、早朝に梅田へ直通する準急以外はすべて810だったのではないかと思う。

 シルヘッダー付きのツリカケ車で、いかにも旧型車という感じの旧型車。

 ただし全車が更新されているので、半鋼車は存在しない。

 元は2連だったものを3つ組み合わせた6連だけれど整い過ぎて、中間のクモハもクハも運転台は撤去され、物足りないぐらいよく整備されていた。

 そういえば、ニシキタの隣には夙川駅というのがあり、そこから分岐して、甲陽線という名の短い支線があるのだが、


「いつでも乗りに行けるさ」(なぜ関東弁?)


 と思いつつ、乗らないままに新性能化されてしまったが、よく考えれば、これにもある意味、乗車経験があることに気が付いた。

 甲陽線にいたのは、同じ旧型車ではあるけれど、今津線よりももっと車体の短い連中。

 これらは廃車後、何両かが広島電鉄に譲渡されており、そこで乗ったことがあるのでした。

 クモハ・クモハの2連なのだが、マルーンの塗装は明るいオレンジとベージュに変わり、客扱いの関係でドアが一枚移設され、一枚が埋められている。

 広島電鉄といえば路面電車の会社だけれど、なぜそんな会社が阪急を買ったのかというと、以前は部分的に新設軌道(いわゆる専用軌道)の区間運転があったから、高床車もいたわけ。

 阪急の小型車は、そういう路線にはぴったりだったのだろうが、ただ検車区だけは少し南の方、併用軌道区間のど真ん中にあったから、そこへの行き来には、高床車も併用軌道を走らなくてはならなかった。

 そのために屋根上には、パンタと並んでビューゲルも設置されていた。

 だけどこれが、阪急車が併用軌道を走った唯一の記録かというと、そうでもないようで、大昔は阪急にも併用軌道の区間があったから(梅田・十三間)、一種のリバイバル的風景だったというところ。


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