蒸気機関車
蒸気機関車に関する本を読んでいて、ものすごく驚いたことがある。
蒸気機関車というのは、電気車両や内燃車両とは大きく違うのだ。なぜって…
ELでもDLでも、モハでもキハでも、発車後、運転士は好きなだけノッチを開いたままに保つことができる。
なんなら何分間もノッチオンを続けても、どうということはない。どこかで加速は頭打ちになるが、列車は通常通り走行を続ける。
(DMH17系エンジンを持つキハではオーバーヒートを防ぐため、「5ノッチは5分間以内」という制限があったらしいが、それは置いておいて)
ところが蒸気機関車はそうはいかない。
加減弁を開けたままになんかしたら、ボイラー圧力がどんどん下がってくるのだ。
だから切りの良いところで、加減弁は必ずオフにしなくてはならない。その後は惰行である。
蒸気機関車は、好きで惰行をするわけではない。
もしも惰行せずに加減弁オンを続けたなら、列車はどんどん減速し、あげく停まってしまうだろう。
つまり蒸気機関車の場合には、
「走行のためにシリンダーが消費する蒸気量」
が、
「ボイラーが生産することのできる蒸気量」
よりも大きいわけ。
蒸気機関車の2名の乗務員も一種の分業状態にあり…
機関手は「蒸気を消費する人」
で、
機関助手は「蒸気を製造する人」
なんですわ。
惰行中の蒸気機関車はせっせと、
「頑張って蒸気を作っている」
わけ。
同じことは停車時間にも言え、駅で停車している間はもちろん蒸気を消費しないから、この時にも必死になって蒸気を作り、発車に備えている。




