go to isekai
初投稿です♡
「気持ちのいい朝だ。」人々はそういう。だがそれは自身の感情であって、天気はさほど関係していないというのは自明である。冬の清々しい空気にその中で煌々と照る太陽、こんな状況でも気分は晴れず、むしろ日差しに当たっている部分が火照って鬱陶しい。
「はあ、そろそろ準備しないとな。」
窓を閉めカーテンを閉め、鉛の足でリビングのある一階へと向かう。
「おはよう。」
応える声はなく、また僕も気にすることなくテーブルに置いてある朝食を食べ始める。ごはん、みそ汁、鮭の塩焼きという、まあなんとも和を感じる食品たちを片付け、いつものように自室に戻る。ほこりをかぶってしまっている高校の制服を横目に、バリバリ現役、すっかり老兵と化したジャージを身にまとう。
今日こそは、今日こそは、と思い続けて一体どれだけの月日が流れただろうか。結局小学校のころから夏休みの宿題を後回しにするのが治らず、今もこうして先延ばしを続けている。覚悟ならとっくに決めたんじゃないのか、といくら自分に問うても無気力な答えしか得られない。現状に絶望し、未来に絶望し、一体僕には何が残っているというのだろう。
「あー、切れちゃったかあ。」
最後のツテと連絡が取れない以上、これ以上を望んでもろくなことにはならない。そろそろ潮時、やっと諦めがついた。となれば、善は急げ。この気まぐれの気が変わらないうちにさっさと行動に移さなければ。さっきとは違う足取りで階段を下り、リビングとは逆の方向へと歩みを進める。ドアを開け、鍵をポストにしまうこの手が、自分のものではないような感覚。地面を踏みしめるこの足もまた、勝手に動いているような気がした。
善は急げ。とはいったものの、タイムアタックをしてるわけではない。幸い気持ちは落ち着いているから、どこかに寄り道をしよう。おいしいものを食べよう。そんな気分だ。電車にのって十数分、かつて通い詰めたファミレスに来たが、よく考えたらさっき朝食を食べたばかり。むかいのボウリング場に行こうにも、信号を渡るとなると、かなりの距離を歩かなければならない。そんな逡巡、というには少しながい思考の最中。
「ドンッ」
鈍い音とともに、体が弾き飛ばされる。自分がトラックにひかれたのだと気づくのにさえ、かなりの時間を要した。
熱い熱い熱い、でも寒い。不思議と痛いという感覚はなく、この二つが脳で渦巻いている。それと同時に、走馬灯をみた。人生のありとあらゆる選択肢が一瞬のうちに頭上を駆け抜けた。ここでこうしてれば。このときもっと頑張っていれば。そんな過去の記憶も、今となっては懐かしいものに感じてしまう。人生に対する後悔、死に対する恐怖、生への執着。感情が、消えていく。




