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 『遠視開始』

 「へぇ......」

 CCの光合成でエネルギーが満タンになったあたりでちょうどライトノベルを読み終わった俺は眼球のCCにある遠視機能を起動してから改めて周りを見渡した。


 (見事に同じような風景が広がっているな......ん)

 そう一人地球人の想像力に感心していると一つ城壁らしき石造りの建造物を発見した。

 (なあアスト? 『はい?』アレって街だよな? 『逆にそれ以外に見えると?』 ......いや、見えないけどさ。)


 この補助AI『アスト』はCCで構成されており、俺が生まれた時からずっと一緒に過ごし、成長してきた親友だ。当然俺はこいつの全てを知ってるし逆もまた同じだ。いろいろ助言してくれるので結構頼りにしている。


 (じゃあとりあえず今はあっちに行った方がいいよな?)

 『それがいいと思いますが?』

 (じゃあ行こう。アスト、代謝切り替えよろしく。あと物騒かもしれないから体を少し強化しておいて。)

 

 ぱっと見2㎞はありそうなので代謝速度の速い電気エネルギーを使ったCC特有のエネルギー代謝回路に切り替え、ダッシュ。


 光合成で得たエネルギーを変換してCC内のエネルギータンクに貯蓄してあった電気エネルギーを使い分子機械を稼働、酸素を使わずに高速でATPの分解、再合成を繰り返す。そうして発生したエネルギーを最適化された筋肉で消費、時速100㎞という一昔前のオリンピック選手をはるかに凌駕するスピードを生む。


 流れていく景色を楽しんでいると一分ほどで結構近くまで来たので、徐々にスピードを落としていき、城門にたどり着いた。



 金属製の甲冑を付けた穏やかそうな中年と思われる騎士が話しかけてきた。

 「××××××」

 ......うん何言っているのかわからない。主人公にある言語系特典は無いらしい。仕方ない新しく言語野を増築するか。

 

 おもむろに服を指で指し示す。

 「××?」

 たぶん服? って言ったのだろう。

 同じようなことを何回か繰り返すして言語を習得すること数分。


 「困ったな......言葉が通じないとは......。冒険者でもないみたいだし......。」

 ようやく聞き取れるようになったのでライトノベルにあったように答える。というかやはりあるのか、冒険者。


 「あ~お手数かけてすいません。森の近くで目覚めてから名前以外の記憶がないのでとりあえず歩いていたらこの街を見つけたので来た次第で......。特に用はないんですが......ここって冒険者ギルドはありますか?」


 「君......喋れたの?」

 「今しゃべれるようになりました。」

 「す、すごいね......。」

 驚かれた。向こうじゃ結構よくある勉強法だがまあ、こっちと文明レベルが違うからそういうこともあるか。

 「ここを通るのには身分証明書が必要なんだけど......持ってる? 無いなら今日だけの分を仮発行するけど。」

 「いや。持ってないんでお願いします。」

 「わかった。ちょっと待ってね......名前は?」

 「牲慈です。」

 「わかった。セイジ君だね......はい。今日中に冒険者ギルドに登録するなりして身分証を作って返してね。ギルドはあっちに道なりに行けばあるから。」

 

 最後まで説明してくれるとは......優しい人なんだろう。俺はお礼を言って街の中に足を踏み入れた。

 

 

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