お金の使い道(1)
ドサッ
五体のオークをギルド奥にある解体所に降ろす十代の冒険者。ここ数日で日常となりつつある光景。
「相変わらず綺麗に殺ったもんだな......。毎日毎日、オークの方がかわいそうになってくるぜ。」
解体所の職員である髭面のおっちゃんがあきれた声を出せば、
「まあ、手頃だしな。」
と若者が返す。
「お前ぐらいだからな? オークを魔法で運びながら空を飛ぶなんて魔力の無駄遣いすんの。世界中見渡しても飛行魔法を使える奴は少ないんだぞ? お前、そんだけ魔法を使えるのに何で給料の良いところに仕えない?」
「いや、やっぱ刺激は欲しいだろ? 誰かに仕えるなんてつまらない生活、こっちから願い下げだ。」
そう。セイジは服を新調してからこの十数日間、朝から夜にかけてオークを九、十体程狩って納品しては宿に泊まらずに連徹しながら訓練場で魔法の研究、ついでに散歩という名のマッピングを続けていた。そんな人間を辞めているような生活スタイルのセイジは当然多くの人に目撃される。そして本人は余り気付いていないが、頭のおかしい冒険者としてちょっとした有名人となっていた。
そんなセイジは現在、
(さて......なんだかんだ飯は食ってないし宿も取ってないしで金使わないから......えーと5万6千ルナほど稼いだわけなんだけど、何する?)
『そうですねぇ......。』
稼いだ金をどう消費するかで悩んでいた。




