オークとは
しばらく街を歩き回って建物の位置や道の通り方を把握していると朝日が昇り、人々も起き出して活動を始める。
『目立ちますね......』
俺と視界を共有しているアストが呟く。
(何が?)
『格好ですよ。服の材質が明らかに違うじゃないですか。』
そう言われて改めて回りを見渡すと、確かに一般的な天然繊維の服の中で鋼鉄を越えた強度を誇るバイオ繊維製の服は目立っていた。
(じゃあ今日は服ゲットを目指すか。)
『そうですね。』
そうして意気揚々とギルドに張り出されている依頼書に目を通していく。
(お?)
セイジが興味を持った依頼書はオークの討伐+納品をしてほしいという定期依頼だ。
オークはその肉が割と美味なことで消費がそれなりに激しい魔物だ。当然需要もあり、こうして毎日依頼が出ている。
(オークってあの豚頭か?)
とラノベに書いてあった知識を引っ張ってくるセイジ。しかし情報が足りないので、
「オークって何?」
と昨日顔見知りになった受付嬢に依頼書を見せながら聞くと、前回同様丁寧に教えてくれた。
内容をまとめると、
二足歩行する体長二mの豚頭で、肉が美味しいが、手に指が五本あって原始的な道具を使い、脂肪で物理攻撃が通りにくいため、運ぶ手間を考えても余り割りの良い仕事ではないらしい。
......つまり存在的には凶暴で肉が旨い豚。
「オークの場合貢献度は一体当たり20、報酬は5000ルナです。運ぶ手間がなければかなり美味しい依頼なんですけどね......。」
「ゴブリンと比べてやけに差があるな?」
「食用ですし、一体一体が大きいので高いんですよ。」
なるほど......数に制限がないあたりを見る限り討伐数で報酬が決まるようだし......
よし
「じゃあこの依頼を受けます。」
「分かりました、死なない程度に頑張ってください。」
そんな励ましの言葉を背にセイジはオークを狩りに向かった。