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散策


 エネルギー源の有機物を補給するべく、先ほど体得した加速飛行で街の外へ出た俺は強化された握力で手近な木の幹を抉り取った。


 エネルギーが満タンになるまで消化を続け、次にそこら辺の岩石から骨格の修復で消耗したミネラルを摂取する。

 (昔の人類は口で飯を食っていたんだよな......)

 地球でも基本的には手から食事をしていたセイジはそんなことに想いを馳せる。

 『物心ついてからの食事は全てバーチャルでしていましたしね。』


 セイジは生まれてCCが全身の細胞と入れ替わってからというもの栄養サプリメントだけで暮らしてきた。食事という動作自体が面倒くさかったのである。


 人類の全ての感覚はバーチャルの娯楽へと代わり、食事の面では味と食感を楽しむためだけの様々なグミが出回っていた。それ以前に脳と直接接続するVR技術でゲームの世界には食事の感覚が追加されていたので人々はそちらに流れていった。




 補給を済ませた俺は目を閉じて、

 (じゃあいつものよろしく。)

 『了解。』


 そんなアストの言葉と共にセイジの意識は一瞬途切れ、制御を失った膝が曲がる前に覚醒する。


 体内時計と感覚器官のリセット。

 全身をCCに置き換えて、体調を完璧にコントロール出来るようになっても制御しきれなかった体内時計。生命活動とは切っても切れない物らしく、この世界へ転移する前に、50日間起き続けた人達は精神に異常をきたし易くなるという研究結果があった。そこで考えられたのが全感覚と意識を一時的に切った上で内臓器官をリセットすること。そうすることで疲労の存在しないこの体において精神的な休息のみを取り、次の瞬間には最高の体調にすることができる。



 そうして睡眠をとったセイジは街へ戻るが、まだ朝は来なさそうだ。


 (マッピングもかねて散策でもするか。)

 『そうですね。』



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