~君が欲しくて~
ステキな恋。その定義は何だろう。
たぶん、今僕がしている恋はステキで本当の恋。僕が好きなあの子がしているのもそうだろう。
人を本気で好きになるとはいいもんだ。
君はステキで本気の恋をしたことはあるかい?
僕は彼女を本気で愛している。
僕は彼女をこの手で守るんだ。
序章
僕の目に映る夕日に照らされた綺麗な彼女は恋をした。
それはとてもステキな恋だった。彼女は「彼」の笑顔、優しさ、声、しぐさ…すべてが大好きだと微笑みながら語る。彼女は人を愛すということの素晴らしさを知った。
彼女は毎日「彼」を想う。何をしているんだろう。どこにいるんだろう。いつも「彼」が彼女の頭を埋め尽くす。
彼女はとても幸せそうだった。毎日、楽しそうだった。そんな彼女が僕は大好きだった。彼女は「彼」と出会って変わった。より一層、綺麗になった。僕は彼女の言う「彼」が心の底から羨ましかった。それと同時に心の底から悔しかった。
1
「あー、一度でいいから本物の恋をしてみたい。」これが高校2年生のころの彼女の口癖だった。彼女は色白で鼻も高く、目も大きくて童顔と呼ばれる顔立ちで、無邪気な笑い顔が男子の中で人気だった。おまけにフレンドリーな性格で男女ともに友達は多い人だった。僕は彼女とは小学生からの友達で仲が良かった。親友だった。でも僕は彼女が好きだった。もちろん、恋愛感情で。でも僕はこのことを彼女に伝えようとはしなかった。理由はいろいろあるが何より、勇気が僕にはなかった。僕は僕の不甲斐なさに毎日腹を立てた。今日こそは、今日こそは…。いつもそう思うがダメだった。そんな僕に彼女は「好きな人ができたの。」と言った。あの時の僕の絶望感といったら…。彼女はさらに追い打ちをかけるようにこう続けた。「彼ね、とっても素敵なの。かっこいいし、優しいし、完璧だわ。私、こんなに人を好きになったことなんてない。人を好きになるって本当に素敵なことなのね。」
この時の彼女はとてもキラキラしていて、悔しくショックなはずなのに僕はなぜか彼女のことがもっと好きになった。でも、彼女は僕から離れて行ってしまうようにも思えた。離れていってほしくない。ずっとそばにいてほしい。かといって、僕の気持ちは彼女に伝えられない。僕はこのもどかしさに余計に腹が立った。神様、どうかこの僕にチャンスを与えてください。初めて神様にすがった。
続




