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異世界勇者は帰り道を探す  作者: ゆたここ
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第十四話 合宿とランニングと

前回は勇者が海の家での合宿への参加を決めたお話でした。本人は砂浜でのトレーニングを楽しみにしている様ですが。本来は授業の遅れを取り戻す為に参加させられる子供達が多いのですが。 

 やっと夏休みになって、海の家での合宿が始まる。

 今は海に向かう、バースという乗り物の中だ。


 初めの話では同じ学年だけという事だったが、乗り込める人数の関係なのか、上級生も何人か乗っている。その中には驚いたことに、下の姉も混ざっている。

 メイドさん達の話によると、相当駄々をこねて参加したらしい。母親まで付いて来たがったのを、父親が叱責して(おこって)姉だけの参加になったのだそうだ。


 朝早いのに、上級生達は、初めのうちは大人しくしていたが、三十分もしないうちに、女の子達で大きな声で歌ったり喋ったりしていた。姉もその中の一人で、あんなに楽しそうにしている姉の姿を見たのは初めてだった。


 勉強やトレーニングをしに行くというのに、あんなに楽しそうにしているのが不思議だった。

 作家の息子に、話すと「お前も何時もより楽しそうだよ。」と言われた。


 上級生は、体格は良いけど、とても強そうには見えない男と、ひょろっとして女の子達に取り囲まれている男。作家の息子に言わせると、有名な金持ちのイケメンなのだそうだ。

 僕たちは後ろの方の席に座っていたのだけれど。イケメン上級生達の近くに行きたい同学年の女子と席を替わることになり、一番前に、作家の息子と座っている。


 気になるのは、上級生女子の中に僕に敵意のオーラを向けてくる子が居る事くらいか。ただ、強さは感じないので、気にする事も無いと思う。肩より長い髪を、右側の片側に寄せてリボンで纏めている。


 彼女も上級生では、有名なお金持ちの娘で影にファンクラブも有るのだそうだ。


 「なんだか、金持ちの子供ばっかりだな。」と言ったら。

 「お前もだろ。」と言われてしまった。


 金持ちと言う認識は無いけれど、以前の暮らしに比べたら金持ちの生活なのだろう。ファンクラブと言うのが理解できなかったけれど、聞くのは止めておいた。


 途中何度か休憩した後、海が見える場所に来た。

 父親が別荘を持っている場所なので、千葉県の中里だったか、神奈川県の七里が浜だと思う。まあ砂浜が有れば何処でも良い。


 合宿所は、砂浜から少し離れた高い場所にある、三階建ての建物だった。「思ったより小さいー。」と騒いでる子も居るが、作家の息子の「いや、こんなもんだろ。」と言うのが正しいんだと思う。

 砂浜は大きかった。何処までも続くとは行かなかったが、学校の運動場の何倍もの長さがある。良いトレーニングが出来そうだ。


 各自荷物を持ってバースから降りて、合宿所のホテルに向かうと思い掛けない人物がいた。学校で僕にひたすら攻撃を仕掛けていたあいつだった。


 「みんな来たんだな。僕の一家はお金持ちで旅館も経営してるんだ。」


 と、こっちを睨んだ。


 ホテルの従業員の人たちが、それぞれ部屋に案内していく、三、四人での相部屋だったはずだ。

 ホテルの人が僕を案内し始めた。


 作家の息子が

 「あれ、オレと一緒の部屋じゃなかったっけ。」

 と、声を掛けた。


 「人数の割り振りで、こちらのお客様は別のお部屋をご案内するように申し付かりました。」


 「そうなの?面白そうだから、オレも付いてく。」


 何が面白いのか分からなかったけれど、三人で部屋にやって来た。


 「あ、何これ。俺知ってる。これ布団部屋ってやつだよね。」


 「いえ、その隣の部屋で御座います。」


 「え、うそ。これどう見ても物置じゃん。」


 作家の息子は小さな部屋を指差していた。

 部屋にはギリギリ入る長いすと、天井の電気以外は何も無かった。

 作家の息子は顔を赤くして切れそうになっていたけど。僕は長椅子を押しながら、

 「寝心地悪く無さそうだし大丈夫だよ。」

 と言うと、

 「お前なぁー。」と言った後

 「後で遊びに来るからな。」と言って。


 自分の部屋に案内されて行った。

 しばらくしたら昼の食事が有って、その後広間ホールで勉強する予定だったと思う。


 一人になった所で部屋を確認した。教科書やノートと、下着が入ったリュックを枕に使えば問題なく眠れるだろう。

 問題は別の所に有った。天井に穴が開いていて、覗かれるのも嫌だし、何か進入されても困るので持っているタオルを思いっきり硬くして穴に押し込んだ。


 これで、普通の人間には取れないだろう。

 後は鍵だ。ロックできるのが外からだけで、中からロックできないタイプだった。物置だからだろうか。壁も、扉もそれなりに丈夫なので閉じ込められたらめんどくさい事になりそうだった。


 一旦ロビーに下りて外に出ると、昨日から父親の別荘にいた執事が、様子を見に来ていた。


 「お坊ちゃまも、特に何も無かったようで何よりで御座います。あ、お嬢様も特に何も無く。」


 「ちょっと、持ってきて欲しい物が有るんだけど。」


とお願いすると。


 「それなら持っております。」と言って渡してくれた。

 用意良すぎるでしょ。まぁ助かるけど。

 部屋に戻って、ちょいちょいといじって。これで、安心だ。


続きが気になる方はブクマしていただくと嬉しいです

異世界勇者は帰り道を探す URL: https://ncode.syosetu.com/n0092fe/

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