第十二話 勇者、トレーニング続く?
前回は、勇者が学校でいじめられてるの?というお話でした。
「何でアイツは平気な顔なんだー。」
足をドンドン踏み鳴らす。
隣に黒メガネ、黒スーツの男がひざまづいている。
「もっとイジメを激しくやっちゃえ!なんだよー。」
「攻撃要員のアルバイトを増やしますが宜しいですか?」
「うん。パパに言えば大丈夫。」
「はっ。」
黒服の男は走っていった。
「急に入ってきたアイツのせいで、ボクは特待生クラスに入れなかったんだよー。」
「だから一般生のクラスしか入れなかったんだよー。」
「だからクラスで苛められるんだよー。」
とんだ逆恨みだ。
こっちを見ている人影が有ったので耳に意識を集中してみたら聞こえてきた。独り言じゃなくてシッカリ喋っちゃってる。近くに居たら丸聞こえだと思う。
まぁしばらくは、僕のトレーニングに協力して貰おう。体力の強化は自分一人でも何とかなるって冒険者仲間の戦士も言ってたっけ。力任せにバスターソードを振り回して敵を弾き飛ばしてたな。
でも反射神経の訓練はどうしても一人では出来ないから誰かに協力してもらう必要がある。
道場には毎日行ける訳じゃないし、相手をしてくれる師匠も何処にいるかは分かるから対応も楽なんだけど。何処から来るか分からない攻撃を察知して対応する訓練を学校で出来るのは嬉しい、とても良い訓練になっている。
トレーニングは三ヶ月以上続いている。
お金の無い生徒をアルバイトで雇っていたらしい。
小説家の息子が彼の友人から聞いてきた。
一週間ごとで回数の指定と、当たれば追加料金。泣かせればボーナスが貰える契約なのだそうだ。「おいらもやろうかな」とか言って、教授の娘に「あんた、友達に何しようって言うの。」と怒られていた。
ほとんどの生徒は罪悪感も無くやっているらしいが、ぼく以外なら泣いてると思う。
怒った後、こっちを向いた教授の娘が、最近いじめられる子が減ってると言っていた。攻撃対象がぼくへ集中しているからだと分析していた。ぼくはトレーニング出来れば何でも構わないので、「好きにすればいい」と思う。
投げて来たのも武器や刃物ではないし、殺気を感じることが無いのも、あまりヤル気のない雇われ兵だったかららしい。
時々殺気を感じる事も有ったけれど、殺気が有るのでこれから飛んでくるぞ、何か落ちるぞと分かるから避けるのは楽だった。あいつと、その取り巻き達だと思う。
時々物凄い速さで飛んで来るボールは運動部のエースがアルバイトしているのだろう。
時々ある体力トレーニングの<どっちがボール>というボールを当てたり避けたりする対戦で。僕のいるチームは負け無しだった。
以前姉が本を読んだ中に出てきた<靴の中に画鋲が入っている>や<靴を隠される>のは無かった。
そもそも学校で画鋲は使っていなくて、まぐねっと。というのを使っていた。靴を隠された事は合ったが、そのまま裸足で普通にしていたらクラス担任が慌てて変わりの靴を持ってきた。
靴装備で戦えない場面も有るのだから、足裏を鍛えるのは冒険者の基本だ。庭でのトレーニングも平気だった。この土のトレーニング場は尖った石も無いし怪我をする事も無かった。良く整地されていると思う。
靴を隠されたのはその一回だけだった。
靴は運動部の使っていない棚に有ったそうで、タンテイ何とか言う同好会が見つけて持ってきた。この世界にも探索者を目指す冒険者見習いは存在している様だ。
説明不要だとは思いますが<どっちがボール>は、ドッチボールの事ですね。
<タンテイ何とか>も探偵小説同好会という名前です。
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