第七話
帰り道を歩いていると、俺を呼ぶ声が聞こえた。
「イオリ〜」
不安そうに彼女が立っていた。
「どうしたの予定は明日でしょ?」
「謝りたくて」
「俺は大丈夫だから気にする事無い」
「でも……」
立って話していてもしょうがないか、周りの目も気になるし。
「どっかの店に入ろう」
「あ、はい」
近くにあったファミレスへ入る事にする。店員さんに案内されて、4人掛けのテーブルに向かい合うように座った。彼女は思い詰めた顔をしている。
「あ、あの」
俺は遮るように言う。
「山下さん何か食べる?」
「そうじゃなくて……」
「ん? ドリンクだけ?」
「だから私の話を聞いて下さい!」
「怒らんでも良いじゃん」
「私が真剣に謝ろうとしてきたのに、凄い心配したのに……」
「ごめんなさい」
「何でイオリが謝ってるの!」
「え〜酷いな」
「あ〜もうどうでも良いです。心配して損しました」
うん。それで良い。
「何で笑ってるんですか! ほんとにほんとに心配したんですよ」
「さっきから心配しか言ってないぞ」
「く〜」
「んで、何注文する?」
「……はぁ〜」
「ため息つくと幸せが逃げるぞ」
「……」
俺たちは、その後30分ほど雑談して、会計で少し揉め……結局割勘に落ち着き、また明日と別れた。
奢ろうとしたのにな〜。あと、上手くごまかす? フォローできた気がしたんだけど、別れ際の彼女を思い出すと……俺を少し心配そうに見ていた気がした。
はぁ〜。なかなか上手くいかないもんだね……。