第六話
久しぶりに夢を見た。母親に殴られる夢だ。俺の母親は不安定で、よく泣いていた。そして、気晴らしか? 俺をよくボコボコにしていた。虐待ってやつか? 俺を殴った後は、いつも泣きながら、「おにいちゃんごめんね、ごめんね」と謝って俺を優しく抱きしめるのがパターンだった。あ、母親の呼び方は、俺には弟がいるので、そういうことです。
携帯を見ると、彼女から心配するメールが来ていた。何だか悪い事したな……でも何で俺に抱きついて寝てたんだ? あ〜考えてもしょうがないか。心配しないで平気な事と予定通り水曜は行く事をメールした。
今日も1限から授業がある。俺は授業の支度をして大学に行く事にした。
1限の教室に着くと早速工藤にあった。俺の横に座ってきた。
「おはよ〜」
「おう」
「何機嫌悪い? 約束のデートしてあげようか」
「いらない」
「むぅ」
「何断られたの初めて?」
「うっさい」
「お前もうるさい静かにしてろ」
「今日の進藤君いつもと違うね」
「……」
「無視ですか?」
「……」
「かまってよ」
あ〜俺の負けですよ。
「なに?」
「家庭教師はどうだった?」
「ぼちぼち」
「ふ〜ん可愛かったでしょ?」
「かもね。毒舌っぽいが」
にやりと笑って言ってやった。
「う、聞いたの?」
「聞いた」
「サイテ〜あの子性格悪過ぎ」
俺は呟くように言った。
「お前もどうかと……」
「なに!」
「なんでもない」
授業そっちのけで喋っていたら少し気分良くなったかも。その時、授業の終わりの時間になった。今日何も聞いてないよ。やば。
「工藤ありがと」
「え、なに?」
「工藤と話して気分転換できた。助かったよ。だからありがと」
「……」
工藤耳まで真っ赤になってる。珍しいもの見たかも。
次の授業始まりそうなので、俺は急いで教室を出た。後ろから俺を呼ぶ声が聞こえたような気がするが無視する。
その後、学食でお昼を食べていると知り合いの男どもの質問攻めにあった。1限の授業中工藤と隣同士に座って、話をしていたのが噂になっているらしい。うざいぞお前ら、俺は適当に否定して逃げだした。
午後の授業も終わり、俺は家に帰る事にした。昨日から続いていた気分の悪さは無くなっていた。