第三話
凄くないと思うんだけどな……。
「あ、まだ仕事の内容話してなかったですね」
そう言えば俺何も知らずに来たんだよね〜。
「そうだね。教えて」
「え〜決まっているのは、週3日で時間は一日2時間〜3時間、日当は2万です」
単純計算で一ヶ月で24万!?マジかよ。まさしくヒモだね。
「良いのそんな貰って?」
「まあ良いじゃないですか親が決めた事ですし、都合が悪い日とかあります?」
「特にないけど、この時間なら」
今、俺はサークルもバイトしていないので夕方から夜は暇だった。
「携帯持ってます」
「あるよ」
ポケットから携帯を出しつつ言うと彼女が俺の携帯を奪った。何かを入力している。五分ほどで帰ってきた。俺の一ヶ月間のスケジュールが決まっていた。
「私の番号とメルアドも入れといたので何かあったら連絡下さい」
「すげ〜」
どうやったらこんなしっかりするんだろ。俺より大人な気がした。ちなみに今日は金曜で、月、水、金とやることになった。
「後一時間あるんで、イオリは本でも読んでいて下さい」
彼女はそう言うと勉強を始めた。俺は完全に子どもあつかいらしい。本棚にある本を物色する。少女マンガが結構ある。何となくほっとする。一冊とってみると、ん?その時気付いた奥に何かある。前にある本をどかし後ろにあったの取り出す。
「あ!」
後ろで焦っている彼女の声が聞こえた。俺の行為がバレたらしい。
「それは駄目です」
もう遅いよ。取り出した本を読んでみる。え〜男同士が色々してます。詳しく描写したくないので察して下さい。BLとかやおいとか言われる本かと思われます。
あ!後ろから彼女に本を奪われた。
「駄目って言ったじゃないですか」
涙目なんですけど、悪い事したな。素直に謝る事にした。
「気になったもので、ごめんなさい」
彼女が恐々聞いてきた。
「軽蔑しますか?」
「別にしないけど」
「え、もしか「違うから!」」
俺は即否定した。女の人は苦手だがそう言う事ではない。
「人の趣味に対して、どうこう言う事はない。自分が好きなものを否定するやつは嫌いだし、だから俺もしないよ」
「そうですか。元に戻しておいて下さい」
取り上げられた本が戻ってきた。何だか彼女は嬉しそうだ。俺は本を元に戻し最初にとった少女マンガを読む事にした。
「あ、もう時間ですね」
言われてみれば、もう二時間以上経っていた。俺何もしてないよ。
「こんなんでほんと良いの?」
「これまでで一番楽しかったです」
「そっか」
彼女が机から封筒を取り出し俺に差し出した。
「はい」
「え?」
「今日の分です」
「ひ、日払いですか?」
「ですよ」
「さらに直接現金ですか」
「です!」
それを俺は受け取り、家政婦さんに挨拶して帰る事にした。
これから週3日家庭教師という名目で、彼女の家に遊びにいく事になったらしい……凄い事になったもんだ。