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異能者は異世界に来て何をする  作者: 七刀 しろ
第一章 外の世界
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脱出

「空ってこんなにきれいだったのか」


 全ての音が響いてしまいそうな絶景な星空を眺めている自分は酷く悲しみに溺れている。

 ここに来るまで、いや、生まれてきてから何人殺してしまったのだろう。そして仲間達が何人死んだだろう。

 そう思うと生きている自分自身がどす黒く汚れている様に感じてくる。


 眺めている星の数と同じくらい目の前で命が消え、消した。

 今まで相手を消すのに自分が生きる為だとか虫の息の相手が苦しませない様にと理由を付けてきたが、それらは全て自己満足だったと言える。自分が楽になるようにそう思いこんでいたのかもしれない。


「醜い人間だ」


 自由になった今自分に言えるのはそんな言葉ぐらいだ。

 自分は研究所にいた時も、現在も人間だとは言えない生き物かもしれない。

 数時間前のこと思い出して心が破裂しそうな悲しみと後悔抱き、生まれて初めてみた星空を眺めていた。



『びーびーびー被験者が脱走、びーびーびー被験者が脱走、警備の者は直ちに被験者を無力化せよ』


 さっきからずっと鳴りやまない脱走を表すサイレンの中で息切れを忘れた患者服の少年が二人が薄暗い廊下を死に物狂いで走っている。

 足が棒みたいに動かくなくなっても二人の少年は息を切らして前へ前へと下半身を酷使して走り進もうと頑張る。


 いつもは白く清潔な廊下には赤い水たまりと肉片と少年たちと同じ患者服の少年少女の死体が無数に転がっている。これが趣味の悪い夢だと説明でもすれば納得できることだが、少年たちにはこれが夢ではなく現実だと分かりきっている。

 証拠にあっちこっちから聞こえる銃声や悲鳴が少年たちに現実と語っている。


 そんな足元で気を抜くと死体に躓いて転んでしまう。

 片方が転ぶともう片方が立ち止まって起ち上がらせながら、励ましながら進む。そうやって二人は助け合いながらもここまで進んでた。

 少年たちは死にもの狂いで走っていることと廊下に転がっている死体が、肉片が、ここが病院ではないことを物語っている。ここでは少年たちが着ている患者服と白く清潔な廊下の単語で思いつく言葉が病院という施設と思うのが一般的だが、ここはそんな公共施設と呼べる立派なものではなく、少年たちの様な被験者一人一人に個別の部屋が与えられて自由に使用できる図書室や音楽が聴ける部屋を提供されているが、ここは少年たちが一日で二人以上処分されている。犯罪者を閉じ込めている刑務所よりも残酷な場所。


 ここでは少年たちみたいな子供が被験者と呼ばれ、人類の進化のためというふざけた理由で閉じ込められて、日夜異能力の研究が進めえられている。被験者たちは本や音楽で気を紛らしているものの実験や解剖の恐怖に怯え、自分の順番が回ってこないか毎日何かに向かって祈り続けている。中には自室から出てこなくなる被験者も少なくない。


 そんな地獄の様な日々から今日で終わる。

 今日のために研究所の中、子供たちは監視の目を盗んで独自のネットワークを作り、お互いに自分の能力を包み隠さず話し合い、脱走計画を練って作り出していた。


 今日がその決行の日らしい。


 らしいというのは自分が脱走計画を知ったのはついさっきのことで、自分の能力があまりにも強大で危険なため、ずっと一人で頑丈な部屋に隔離されていたからだ。

 そしてさっき知らせに来てくれた少女は瞬間移動かテレポーテーションかどれかの能力で少年と同じ危険な能力持った少年少女を隔離された部屋から出し事情の説明され、またその能力で脱出する待ち合わせポイントを教えてもらった。

 少女は隔離された仲間を解放するために消えてしまい、今に至る。


「くそっ、まだ着かないのか。走り過ぎて死にそうだ」


 隣を走る名前の知らない白い髪色の幼い少年に行く果てのない苛立ちをぶつける。


「僕に言っても。そもそも僕たちにはここの見取り図がないんだから今いるこの場所だってどこか分からないよ」


 廊下には窓がない同じような個室が長々と並んでいて無限ループの中をひたすらは沿っている錯覚に陥りながらも少年は弱音を吐きながら走り続けた。


「止まれ、足音だ」


 幼い少年の前に手を差出し動きを止めさせ、耳を澄ませた。


「今回もまた被験者が脱走したのか、しかもあの危険な1ー38756番まで」

 少年たちは足跡と声に気付き、たまたま開いていた部屋に息を殺して隠れた。

 足音と声の主は二人の監視員。片方は銃構えてあたりを警戒して、もう片方はタブレットを操作しながら通り過ぎていく。

「このまま通り過ぎてくれ」と何かに祈った。


「おい、さっき通り過ぎた部屋から1―34456と2―12298の反応があるぞ」

「そいつは本当か。俺にも見せてくれ」


 これさえなければ気付かれずに行ってくれたのに。

 邪魔くさい左手首についている発信機付きのバーコードと数字が描かれた腕輪に目をやり忌々しく睨み付けた。


 隠れた部屋を一度通り過ぎていった監視員二人はUターンして戻ってきた。

 監視員二人はタブレットで確かめ、少年達が隠れた部屋に引き返してきた。銃を持った一人と目で合図を送って銃を構えさせた。


「素直に出てきたら命だけは保証しt、ぐわっ」

 銃を持った監視員が一発、威嚇射撃の引き金を引こうと指を掛けた瞬間、隣にいたタブレットを持った監視員の体が何の前触れもなく、宙に浮き壁にめり込む様に叩き付けられた。衝撃に備えきれなかった監視員は廊下に沈むと同時に意識を闇に落としていった。


「やりやがったな!」


 ダン、ダダン、ダダダン


 もう片方の監視員は困惑しながらも銃弾を何発か打ち込んできたが、少年には届かずに止まっている。

 少年が手を振ると床にカランと軽い音を立てながら落ちるか少年とは別の方向に飛んでいった。


「ぐっ」 ダァン。


 先ほどの監視員と同様に壁に叩き付けて気絶させた。

 壁に叩き付ける衝撃で銃が暴発したみたいだが弾丸はどこかに飛んで行ったようだ。


「何とか殺さずにできたな」


 少年の能力は目に見える範囲内で対象に触れずにエネルギーを加えられる能力。俗にいう念力とかサイコキネシスという類の上限なしのかわりにコントロールが難しい力だ。

 この力に目覚めたときは、少し念じるだけで全ての物が壊れていた。今思えば、余計な力が入っていたと思うし、念じることも強すぎた。


 それに監視員を叩き付ける時にだって死なない様にできる限り加減したし、角度だって調整した。もう人を殺したくないから。

 自分は二人の監視員に触れずに能力で気絶するぐらいの力で壁に叩き付け、弾丸を止まらせたり逸らしたのだ。


「俺の名前は1ー34456じゃない。タカシだ。よく覚えとけ」


 少年改め、タカシは気絶して倒れている監視員に中指を立てた。

 くっそー。時間がないって思っているのに無駄な時間を食った。だけど収穫はそれなりにあった。

 気絶した監視員の懐から転がり出てきた護身用の拳銃と地図が表示されてあるこの研究所の中ではよく見るバッテリーが減らない不思議タブレットだ。


 地図には赤い点と青い点があり、特に赤い点が多い。つまりそれは俺達能力者についている発信機付の腕輪のこと。動いている点は解放してもらった能力者。動いていない点は隠れているか動けない状況になっているかだ。

 青い点はもちろん監視員だ。監視員は2~3人で行動している。


 少女に教えてもらった合流地点の場所にいくつか赤い反応がある。それはここから遠くないところの部屋だ。

 この近くにも複数の反応がある。


「おい、タブレットの方を見ろ。こいつ等と合流するぞ。聞いてるのか」


 幼い少年を見ると腹部から痛々しく出血していた。

 自分が逸らした弾丸が腹部に当たったみたいだ。


「くっ、僕はもうダメみたい」


「もうダメって、何を言っているんだ。あともうすぐだって。あと一頑張りですれば自由になれるぞ」

「僕は自由になれる希望だけで十分なんです。君に出会えて本当によかった」

「ふざけんな!何が希望だけで十分だ。外の世界ではこれからもっと楽しいことが待っているだぞ。なのにここで諦めてどうすんだ」


 タカシは能力(サイコキネシス)を使って少年の傷口を無理に押えて出血を止めたがようとするがすでに大量の血が流れている。

 何もしなかったら幼い少年はこのまま苦しみながら死ぬことになるだろう。

 少年が苦しまない様にするには最後の手段として。


「こんな傷程度、僕の能力で治せるから先に行って」

「ウソをつくじゃね。だったらなんで傷を治さないだ」

「この程度の傷でも発動には時間が掛かるんです。だから早く僕を置いて」


 スッパンと幼い少年の首が飛んだ。

 正しくは首の上から頭が無くなってそこから大量に赤い液体があふれ出て床に赤い水だまりを作り、タカシを赤く汚していく。

 幼い少年の頭部がボールの様に転がる光景を理解したくはなかった。


「苦しまずに死んだ。いや、生き残った奴だけが生きながら苦しむ」


 後ろから声が聞こえ、振り向くと患者服がどす黒く汚れ、全身血塗れの青年が悲しげな眼でタカシを見下ろしていた。


「お前がやったのか?答えろ!」


 俺の問いかけに無言で返す姿に恐怖心が騒ぐ。ゆっくりした動作で近づいてくるのに俺の体が動かない。

 手を伸ばせば触れてしまうほど接近した血塗れの青年は幼い少年の赤い水たまりを手に付け、その雫を俺の口へ垂らした。

 口の中に鉄の味が広がり、気持ち悪い刺激が脳に走った。


「生きられないヤツは苦しまずに死んだ。いや、生き残った奴だけが死んだ奴を踏み越えて苦しみ、絶望を抱いて生き続ける」


 悲しい目をした青年はそうつぶやいてどこかへ去っていった。

 去っていく背中を見ることしか出来なかったタカシは幼い少年の頭と体を抱き上げ部屋のベッドに眠らせた。


「なんだよ。あいつはなんだっだんだよ」


 あいつの言う通り!幼い少年は苦しまずに死んだかもしれないが近くに傷を治せる能力者がいたら助かったかもしれない。


「なんで殺したぁぁ!」


 タカシの声が廊下に響く。


 こんなこと言ってもあいつはもういない。奴の後を追って仇を撃とうとは思えない。


「情けない。殺したくないと思っている自分が情けない」


 俺ならあいつの体を簡単にミキサーで作った林檎ジュースみたいに肉片と血だけにできるのにやりたくない。なのに胸が騒ぐ。

 小時間、一緒に逃げ回っただけなのに気持ちがこんなに騒ぐ。これが寂しい気持ちなのか。これが悲しい気持ちなのか。

 分からない。

 今まで5歳頃からずっと一人、何年も隔離部屋に閉じ込められ、一人寂しく過ごして友達もろくにいなかった俺にはこの気持ちがどういう物なのか分からない。

 唯一の友達は隔離部屋に閉じ込められる前に遊んでいた数えるほどの数少ない友達と部屋に置いてあったヌイグルミだけだった。研究者の命令で仲間(被験者)を殺したことのある俺には分からない。

 なのに苦しくてたまらない。

 あいつの言う通り、幼い少年が苦しまずに死んで、生き残った俺が苦しむ。


 でも死の恐怖から、死の悲しみから逃げ出したい衝動がタカシの足を動かす。

 銃とタブレットを手に幼い少年が眠る部屋から出ていった(逃げ出した)

 俺は幼い少年から出ていった(逃げ出した)。数時間だけの仲間の死から永遠に続く赤く汚れた廊下へ。


 少年のことはここから出るまで忘れよう。

 このままグダグダと苦しんでいても何も変わらない。今、死んだら、少年は喜んでくれないだろう。きっとそうだ。そうに違いない。


「そうだ。ここから出たら静かに暮らそう」


 幼い少年の分も精一杯生きよう。あいつの命の分まで背負って行こうと心の底からそう決心した。

 それなら死んだあいつもきっと喜んでくれるだろうか。


「キャッ」


 言えない感情のせいで走る気力を無くした俺は暗く長い廊下をトボトボと歩いていると短い悲鳴と共に何かちっこい物にぶつかった。

 見下ろすと金髪で肌は透き通るような白の小さな女の子が尻もちをついていた。


「ちょっと、何す。きゅっ」


 文句を言おうとしたんだろうが俺の手元を見て喉の奥から変な音が出た。

 金髪の女の子が器用に四つん這いで来た道に戻っていった。


「じゅっ、銃!助けて」

「どうした、ユ・ジュン。監視員がいたのか」

「銃が、銃で」


 金髪の女の子が戻っていった先に話し声が聞こえる。

 金髪の女の子はユ・ジュンというらしい。


「アン、銃が持っていて、アイツは男で」

「よし、分かった。敵だな、すぐに片付けてくる」


 ユ・ジュンのしどろもどろの説明で理解したのかもう一人が襲い掛かってきた。

 もう一人はパンチにキックと鋭く速い連打の嵐が襲い掛かってくる。俺の実力じゃかわしきれないので念力で無理やり体を逸らして彼女の攻撃をそれしている。

 近戦攻撃してくるだけでとくに能力を使った目立つ攻撃は仕掛けて来ないと思ったらパンチで壁を破壊してきた。彼女の能力は肉体強化型みたいだ。

 彼女のパンチが掠っただけでその部分が抉れるだろう。


 なんて恐ろしい能力だ。


 しかし、二人の患者服姿を見てすぐに仲間だと分かった。


「ユ・ジュン!ライト貸してくれ」


 相手は俺が一切攻撃を仕掛けてこないことを不思議に思ったらしくユ・ジュンから懐中電灯を受け取って俺の顔に当てにくる。

 渦中電灯の眩しい光を遮ろうと手をかざす。


「タカシ?タカシじゃねーか」


 相手はそういって自分には懐中電灯を顔に当てる。

 背がやたら高い、栗色の髪の褐色の少女だった。

 見覚えがある顔だが、名前が思い出せない。どうやら知り合いのようだ。


「すまない。思い出せない」

「覚えてないか。あの時はお互い5歳だったもんな」

「ちょっとアン。早くライト消さないと奴らに見つかるじゃない」

「ああ、ユ・ジュン悪い」


 バーコード付きの腕輪があるからライトをついていても関係ないんじゃ。


 彼女は少しがっかりしたように懐中電灯を消した。


「アンジェリカだよ。この名前に聞き覚えがあるだろう。タカシ」


 アンジェリカと言う名前にピンときた。隔離部屋に入れられる前によく一緒に遊んでいた友達の一人の名前だ。

 そして、いつも泣いていた女の子を思い出した。


「アンジェリカなのか。泣き虫で虐められていた、あの」

「そうだよ。私は大泣き虫でいつも虐められてお前に助けてもらっていた。あのアンジェリカだ。それでこいつはさっき、監視の奴らに殺されそうになっているところを助けてやったら、懐いて着いてくるようになったユ・ジュンだ」

「なによ。私は別に殺されそうになってない。あいつらが私を殺そうとするわけないじゃない。私の能力は治癒なんだから。ケガをした自分たちを治せるのは私しかいないのにおかしいじゃない。泣き虫のアンジェリカさん」

「じゃあ、さっきあいつらに殺さないでと泣き叫んでいたのはどこの誰だっだかな」


 ユ・ジュンを弄るアンジェリカは悪戯ぽく笑う。


「それはあいつらが私の足を撃つから痛くて泣いただけよ」


 その時、撃たれたと思われる太ももをさらけ出すが血で汚れただけのユ・ジュンの色白肌には傷一つ無かった。

 傷を何も無かったように治す力。それが彼女の能力なのだろう。さっき彼女がいたら幼い少年はたすかっただろう。


 太ももを出したユ・ジュンは恥ずかしいのか顔を赤くして俯く。

 その表情が可愛らしい姿についフフっと息が漏れる。そのおかげで心が少し和らいだ。


「それに目的の場所が同じだけなんだから着いてくるじゃなくて同じ方向に進んでいるだけなんだから。もうこの話は終わり、名前タカシだっけ?早く行くわよ」


 俺達三人は息を潜めて目的地の場所へと向かう。

 あたりを警戒しながら、監視員から二人の少女を幼い少年の様にならない様に守りながら廊下を進む。


「ほら、あそこよ。早く」


 ユ・ジュンが声を上げる。

 ようやくゴールが見えてきたのか、真っ先にユ・ジュンが突っ走る。そのあとを俺とアンジェリカが追いかける。

 目の前の希望が近づくたびに足が軽くなりあと何キロも走れる気がして、思い切り邪魔になっているタブレットの地図を確認して、一気に合流地点の部屋に自由になることを信じ、お俺達三人は駆けこんだ。

 部屋の中には患者服姿の年齢が様々な少年少女がいた。ほとんどがタカシより若い者が多く表情に恐怖の色を出していた。

 顔をよーく見るがそこにタカシの顔なじみはいなかったのが少し落ち込んだ。


「君たちが最後だ。リサから説明を受けていると思うが再確認してもらいたい。ここからテレポートで出たらバラバラに逃げる。一塊で逃げて捕まるよりもみんなバラバラに逃げる作戦だ。その方が誰かが逃げ切れるかもしれないから」


 今この場にいる中で一番年上に見える青年がこれからの脱走劇を軽く説明したくれた。

 リサと言うのはテレポートの能力を持つ少女のことだろう。


「手段と内容は分かった。けどそのテレポートの子は?」

「ここよ。私は隔離されえていた君も含め、ざっと五十人以上解放したはずだけど、ほかにも何人か解放した仲間がいたからもっと多くいるのかと思ったけど、この人数を見る限りほとんどが捕まったか殺されたのね」


 タカシの後ろにタカシを隔離部屋から解放してくれた少女、リサが悲しげに立っていた。

 彼女も仲間を助けられなかったのだろう。


「三十人前後か。私一人でもギリギリできそうな人数ね」

「説明はいいから行こう!もうすぐ監視員が仕掛けた爆弾のスイッチを入れる頃間だぞ」


 誰かがそう叫んだ直後、ドカーンと爆発音が鼓膜を破る様な音が聞こえた。


「クッソー。奴らもう爆弾のスイッチを押しやがったぞ」

「分かったから大声で叫ばないで。誰が助かるか分からないけど死んでも恨みっこ無しよ。あと成功するか分からないけどいくわよ!」


 少女が声を上げた瞬間、視界が歪んだ。歪んだ程度では済まない。例えるなら綺麗な景色を映した写真が崩れ始めだんだんと崩れていくように見えた。


 ○



 気がつくと視界には暗闇が続く森の中、上を見上げると夢にまで見た満点の星空が盛大に広がっており、風を感じ、人以外の生き物の声が聞こえ、これが初めて出た外の世界の感覚を実感する。




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