1話
「お初お目にかかります、陛下。ウェルベール公爵家が長女リルライリ・ウェルベールと申します。」
絢爛豪華な謁見の間でこのモルガン王国の最高権力者を見上げながら私は淑女の礼をした。
みなさま、ごきげんよう。先ほど申したようにリルライリですわ。
実は、わたくし転生者ですの。
死因は憶えていませんが日本という国で18歳まで暮らしていましたわ、受験勉強して寝落ちしたらいつの間にか乳飲み子になってるんですもの。びっくりっていう言葉じゃ足りません。
「やばい、これってまさか最近流行ってる転生もの!?定番では悪役令嬢かしら、なんにせよ素敵、無双してやる!!」
そう思った時期もありました… そもそも前世の私って乙ゲーとかあまり好きではなかったし、断罪の場を回避するために動くこともできないんだよねー。
だからそういうルートは諦めました。人生適当でいいのです、なんくるないさーですわ。
でもなんだかんだ神様って優しかった!私をなんとこの大陸で最大の王国の王族の次に権力のある公爵家に転生させてくれたんだもの!素敵よ!神様!
っと、こんなに意識を飛ばしてはダメですね。
今はロベリアの式の最中ですもの。
ロベリアの式とはまあよくある王子様方の婚約者探しの場ですわ、
探すと言っても順番に国王陛下と王子様方に挨拶して、しばらく国王陛下のお話を聞いて帰るだけです。
伯爵家以下の家は出ることはかないませんし、対象となる年齢は7歳からなので私も参加しなくてはいけません…
王子の婚約者になんてなりたくねぇー!めんどくせー!!早く帰らせろー!!! が本音ですわ。うふふ。
まあなにはともあれ、あの王子達の様子を見るようじゃ目はつけられていないようだし。
このモルガン王国には3人王子と1人王女います。
ラックル侯爵家の第二王妃から生まれた
第一王子 イグナシオ・タル・ディ・ラックル・モルガン様、12歳
赤髪にヘーゼルの瞳、将来確実にモテる将軍になる感じの精悍なお顔。
見た目通り、剣術がすごいらしいわよ。どうか脳筋になりませんように…
ウィーレ侯爵家の第一王妃から生まれた
第二王子 ヘレン・オル・テ・ウィーレ・モルガン様、11歳
帝王学も剣術も社交もすべてこなし、金髪に翡翠の眼のThe王子。
雰囲気的に腹黒そうね。うわー、今たぶん目が合ったわ。近づかないようにしよ。
メリデ伯爵家の第三王妃から生まれた
第三王子 ジェイド・アル・ドゥ・メリデ・モルガン様、6歳
青い髪に碧眼、伏目がちな大きな瞳、雪のような肌、赤いくちびる、天使のような清らかさと、妖艶さも持ち合わせいて…
って6歳からこんな感じなのに、大人になってもっと素敵になったらどうするのかしら。
絶対嫁見つからなそうね…
ちなみに芸術に特化した血筋を母に持つためか、絵画、音楽などが好きらしいわよ。
ちなみにわが国には王太子殿下はまだいらっしゃらない。
すっごーく昔のこの国の国王が実力主義に制度を変えてしまったのだ。内乱が起こらないように
しっかりした制度に…
まあ貴族たちの噂はもっぱら第二王子のヘレン殿下です。第一王妃の生んだ子ですし、完璧ですものね。
「これにて今年のロベリアの式を閉会する。」
あら、やっと長い話が終わったようです。
他のご令嬢たちは長い話を聞いたのにもかかわらず、キラキラしていらっしゃいますわー。
たぶん王子妃なんてものに憧れているのでしょう。
王子様方誰か一人にでも気に入られたら家にお茶会への招待状が届くらしいですわよ。
おとぎ話のようですわねぇ。
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はじめまして。初投稿なので至らないところ多々あるかもしれませんが、コメントなどでアドバイス、感想とかいただけると嬉しいです。
これからよろしくお願いします。