ヤツにデレはない
俺は悩んでいた身分違いの恋が実ったのはいいのだが、本当に俺なんかがあの高嶺の花を手に入れて幸せにできるのかというまた次の悩みがでていた。
マリアさんは大きな商家の娘、アリスはその護衛兼メイドという立場でそれに対し俺は一市民から冒険者になったばかりの新人にすぎない。
「悩むぐらいならとっととモンスターでも倒してとっととレベルを上げて頼れる男になりなさい」
「アリス」
「お嬢様との身分の格差はどうしようもありませんが、レベル差というのは縮める事ができるのですよ」
そういってくれたのはたとえ心根が曲がっていても声をかけてくれたのは幼馴染のアリスじゃないか
俺は決意し少ない報酬から結婚資金をため婚約指輪をマリアさんに送ろう。
そしてプロポーズをした。
「結婚して下さい」
「よろしくお願いします ブタ野郎」
人の婚約指輪を受け取り懐にしまおうとするメイドを睨みつけるが、向こうの方が背が高いためあまり効果がない。
婚約指輪をあわてて取り返してこの悪魔にどなりつける。
「お前じゃない、マリアさんに告白してるの」
お前が背後に隠すようにしている、お前とは比べるのも馬鹿らしくなるほどに心根が優しくて天使のようなマリアさんに告白している。
マリアさんは少なくとも人の一世一代のプロポーズを台無しにするような人間ではない。
今もお前の後ろで恥ずかしくうつむくような可愛らしさはないだろうがと目の前のふてぶてしい態度に拍車をかけるようにアリスは鼻でわらった
「は? 知った上でですけど、お嬢様をブタ野郎と結婚させる訳にはいきません」
「テメェそれでも幼馴染か」
「そうですねぇ そっちこそ今は私に雇われの荷物持ちと言う事を忘れて無いでしょうね」
「ぐっ」
「本来なら高レベルの冒険者を雇うところをお嬢様の恋人モドキいうことで私が便宜を図っているということを忘れて盛っているような荷物もちなどブタ野郎で十分です」
「畜生が」
「畜生はあなたです」
しれっと言い返しやがって事実のため強く言い返すことができない。
お前数ヶ月前のやさしさは嘘かよ幻かよと心の中で毒づくことにする。
「わかったよ 任務が終わるまで告白はなかったことにするよ」
「お嬢様 こいつお嬢様と婚約破棄したいといってきました」
「いってないだろう」
「私に何か言われたぐらいでプロポーズを取り消すような人は信用できませんね」
「してぇよ プロポーズ」
「なら堂々とプロポーズをしなさい 何を尻込みをしているのですか」
「このっ」
「まぁ お嬢様との婚約は私の目があるうちには許しませんが」
結局幼馴染に邪魔をされてプロポーズができずにまた悶々とすごす日々がはじまった。
「アリス やはりクロの事がすきなの?」
「いえ これっぽちも前もいったではないですかお嬢様私はクロとお嬢様の幸せを願っています」
「なのに なんでいじわるするの」
「プロポーズはムードが大事です、なにも私の目の前でやることはないのですデートの時とかにすればよいのです」
「デートの時ついてきてますよね」
「当たり前じゃないですか 暴漢とかに襲われたらクロでは太刀打ちができません」
「夜は一緒ですよね」
「クロのレベルが上がればお嬢様を任せる事ができますから、お嬢様には申し訳ありませんがそれまでは徹底的に邪魔させていただきます」
「そうですか」