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第四話 ご愁傷様ダニエルさん





供米神官の提唱する作戦とは……

―前回より―


「斯様な議論など、何時まで続けようと無意味に御座います! それでも尚議論を続けられるというのでしたら! その前にどうか、この私めの戯言へ耳を傾けて頂きたいっ!」


 突如として協議会場へ現れた供米の存在は、その言葉以上に一同を唖然とさせた。

 だがやがて落ち着きを取り戻した出席者達は、突然乱入してきたばかりか自分達の議論を無意味と断じ、あまつさえ自分の話に耳を貸せと言ってきたこの中年男へ口々に罵詈雑言を浴びせ始めた。だが供米はそれらを眉一つ動かさぬ落ち着きぶりでさらりと受け流し、調子付く出席者達を荒々しい咆哮一つで一瞬にして閉口させる。


「よ、よし……わかった。そこまで言うなら聞かせてくれ、あんたの……意見とやらを」

「ただその前に……貴方、誰です? 話を聞くのは構いませんが、まず名乗って頂かない事にはどうにも」

 ある二人がそれぞれ発したそれらの言葉はまるで、出席者全員の心中を代弁しているかのようであった。事実出席者達は、まるで示し合わせたかのような無言の頷きで発言に同意。促されるまま、供米は名乗りを上げる。


「これは失礼。申し遅れました、私めは供米磨男。アクサノ沿岸部西方のさる地方都市を市長として治めるしがない林霊教神官ですよ」

「そ、そうか……して供米殿、貴殿の仰有る意見とは如何なるものなので?」

「はい。単刀直入に申し上げますが――」

 供米の提示した意見は、実に大胆かつ驚くべきものであった。

「……確かに"奴ら"ならば或いは、蝿帝軍を撃破しうるかもしれんが……」

「然しそんな事が、本当に可能なのであるか?」

「しかも"奴"に協力を仰いだところで応じるとは……」

「無論、私めも当初はそのような策など思いつきもしませんでした。過去に二度共闘した仲ですので『もし彼らが居たならば』程度のことは思いましたがね……ですが、ある方より告げられたのです。『世界に危機が迫っている。乗り越えるには彼らが必要不可欠だ。此方から根回しをしておくので、彼らを呼ぶための準備を進めておくように』と……」

「その『ある方』というのは一体誰で、お告げとやらは何時あったんだね?」

「時刻はちょうど事件発生の前日でしたが……申し訳ございません、その方の素性をお明かしすることは――《いや、構わん。話してあげなさい》

『『『『『!?』』』』

 突如会場の片隅から上がった謎の声を発したのは、エレモスから来たというある温厚な老魔術師の政治家であった。大勢の視線が一斉に彼へ集中するが、当人は自覚がないのか怯えたように困惑している。

「何があったんだ……?」

「ダニエル町長、先程の発言は一体……?」

「そ、そんなの私に聞かないで下さいよ! 一番混乱してるのは他でもないわた――《すまないが坊や・・、暫く君の体を借りるよ?》

 唐突にダニエル老人の声が豹変し、何やら奇妙な言葉を発する。それはまるで、別の何かが彼の体に憑依しているかのようであった。

「――は、ひいぃっ!? な、何なんですかアナタは!? わ、私の体を借りるってどういう――《そりゃ、文字通りの意味さ。ちょっとこの場では姿を保つのが不可能でね。何とか声だけは出そうと思ったんだが、そうすると君の体を代わりにするしかないものだから》

「そ、そういう事でしたら構いませんが――《ありがとう。お礼と言っては何だが君の治めている地域の景気を少し良くしておこう。さて、それでは本題に入ろうか。

初めまして、私はグラーフ。この世ならざるかの空間を拠点とし複数世界の根源へと介入・干渉する権利と能力を与えられた派閥に属する一つの知性だ》

「えーっと、つまり……」

「平たく言えば神様、みたいな?」

《そうなるだろうな。或いは、我々をも統括しうる更に高度な存在を仮定するならば、神の使いや奉仕種族――則ち天使と言えるかもしれん》

「OK。それでその神様だか天使様のようなアンタが、あの二人をこっちへ連れ込んでくれるって訳だな?」

《その通り。こういった事態の解決には、結局の所あの幼き邪神共を向かわせるのが手っ取り早いのでな。正義の敵が別の正義であるように、悪の敵もまた別の悪だということだ》

「それは確かに……ところでグラーフ様、質問なんですが」

《何だね?》

「奴らを連れ込むのは大歓迎なんですが、具体的な場所と日時を教えてくれませんか?」

《場所については既に供米君に手配して貰っている。日時については未だ未定だが……早くても二日後になるだろうと踏んでいる》

『『『『『ふ、二日後ぉっ!?』』』』』

 それまで大人しかった出席者達だったが、その言葉を耳にした途端これでもかと言わんばかりに騒ぎ出す。内容はと言えば、やれ『遅すぎる』だの『何とか明日にでも連れ込め』だのという無茶な要求から『何故もっと早く動かなかった』だの『やる気はあるのか』だのというような非難が主であった。グラーフは何とか事情を説明しようとするが出席者達は聞く耳を持たず、結局またも供米が恫喝ついでに軽く説教をして黙らせたのであった。

《皆落ち着いてくれ。確かに私も、可能ならもっと早く――それこそ事件の発生前に彼等を連れ込み事件の対処に当たらせたかった。というか、遅れの件を最も悔いているのは他の誰でもなくこの私だぞ。だが仕方なかったのだ。あんな事になっていたのでは、連れ込むどころでは……》

次回、満を持して登場した我らが(一応の)主人公とヒロインだったが……

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