蓮華VS雪蓮
ある日、呉の王である雪蓮は酒を一生禁酒にされないためにいきなり妹の蓮華に王の座を与えると言い出した。
だがそれには掟があり、その日から十日後、蓮華と雪蓮が戦い、蓮華が雪蓮に勝たなければ蓮華が王位を継承することができない!
そしてその日から蓮華は思春を相手に鍛練するのだが今のままでは雪蓮に勝てないと思い、一刀の剣技を教えてもらうのだった。
それから月日は流れ、雪蓮と蓮華の決闘の日
呉の城・鍛練場
ずらんっ!!
この場には呉の重臣達や兵士達が集まっていた。
茜「まさか使いにいってる間に蓮華様と雪蓮が戦うことになっているだなんて!? 」
明命「驚きなのです!? 」
※茜と明命は今朝まで遠くへ使いに行っていたので王位継承の戦いを知らない
亞莎「蓮華様は勝てるのでしょうか!? 」
穏「何せ相手が雪蓮様ですからね〜 」
祭「こりゃ結果がどうなるかわからぬな 」
シャオ「どっちが勝つのかな? 」
普段ならば雪蓮が勝つだろうと思うのだが茜、明命以外のみんなは蓮華が一刀と思春に鍛練してもらっているのを知っているので結果はそう簡単にわからなかった。
そしてついに!
冥琳「これより孫呉の王位継承の儀を開始する! 」
舞台上の冥琳が宣言すると
冥琳「では現王である孫伯符、前へ! 」
ギギギッ… スッ!
雪蓮「ハァイ♪ 」
バンッ!!
扉が開かれ雪蓮が現れた。
冥琳「続いては挑戦者、孫仲謀、前へ! 」
と冥琳が言うと
ギギギッ… スッ!
扉が開かれ、蓮華が現れたのだが
蓮華「はいっ! 」
バァンッ!!
蓮華の体は擦り傷だらけであった。
雪蓮「あら蓮華ったら、そんなに傷だらけだなんて物凄い修行したようね 」
蓮華「えぇ、全ては姉様に勝つためにですから 」
そして蓮華は
蓮華「私は誓います!今日、この場にてあなたから王の座を譲り受けてみせるとね! 」
バァンッ!!
ウォーーッ!!
蓮華の誓いに会場のみんなが盛り上がっていく!
冥琳「それではこれより試合を開始する! 」
そしていよいよ孫呉の王の座を賭けて蓮華と雪蓮の戦いが始まろうとしていた。
※ルール
互いに武器は歯を潰した剣(当たっても打撲か骨折程度で切断力はない)
勝敗については武器が破壊された方の負け(同時の場合は審判である冥琳の判定)
殺生禁止
回りの観客達は一切選手の邪魔をしてはいけない。邪魔した場合、味方された側の負け
冥琳「それでは二人共、構えてください 」
スッ! スッ!
冥琳の言葉で構える雪蓮と蓮華
雪蓮「(最初はわざと負けようと思ったけど、そんなことしたら冥琳のことだからすぐに気づいちゃうもんね!?そしたらしばらく禁酒にされかねない!?それを避けるためにも本気で戦わなきゃ!) 」
蓮華「(鍛練に付き合ってくれた一刀や思春のためにも絶対負けるわけにはいかない!) 」
そしてついに!
冥琳「はじめっ!! 」
サッ!
挙げられた冥琳の手が下げられた瞬間!
シュバッ!! ガキンッ!!
雪蓮と蓮華は互いに剣を抜いてぶつかり合った!
雪蓮「私の一撃を受け止めるだなんてなかなかやるじゃないの!? 」
蓮華「私だっていつまでも半人前ではありませんから! 」
バッ!
ぶつかり合った後、二人は互いに距離をとりあう!
その様子を見ていたみんなは
祭「権殿もなかなかやるではないか 」
穏「あの雪蓮様の一撃を受け止めるだなんてなかなか簡単にはできませんからね〜 」
明命「驚きなのです!? 」
亞莎「これは結果がそう簡単にわかりませんね!? 」
とみんなが見つめるなか
思春「北郷、正直な話、お前から見てどう思う? 」
思春が一刀に聞くと
一刀「確かに蓮華様は強くなられた。まだ初期段階なのでわからないが今の段階では五分五分といったところだな、だが長期戦になればなるほど蓮華様が不利になる 」
それには理由があった。
それは孫家の血という戦いが長引けば長引くほど己の身体能力が上がり、好戦的になる能力である。
長女である雪蓮は次女の蓮華より血が濃いのだ。
現に…
蓮華「ハァッ!! 」
シュッ!
蓮華は雪蓮に攻撃しようとするが
パシッ!!
雪蓮は剣を受け止めると
ブォンッ!!
ドカッ!!
蓮華「がっ!? 」
蓮華の腹に拳の一撃を繰り出した!
孫家の血はいわばところ構わず攻撃する流派無用の野良犬殺法である。
以前黒龍軍の卑劣手段により一刀が死の縁に立たされた時、それを魏の仕業だと思い込んだ雪蓮は単独で魏の本陣に攻めこみ、壊滅寸前まで追い込んだことがある。
ちなみに冥琳から聞いた話によると雪蓮達の母である孫堅も大軍の敵を前に一人で立ち向かい孫家の血が発動し、敵を全滅させた武勇伝がある。
一刀「(だが万が一雪蓮に隙ができれば蓮華に勝機はある!) 」
そしてこの時、一刀は鍛練の日々を思い出していた。
一週間前
蓮華「・・・ 」
目を閉じて居合いの構えをする蓮華に
シュパッ!!
ゴムボールが放たれる!
蓮華「そこだ! 」
ジャキンッ!!
蓮華はゴムボールを剣で防ごうと剣を抜くが
すかっ!
蓮華「あれっ? 」
剣を抜くタイミングが早すぎたため剣は見事に空振りし
ドカッ!!☆ミ
蓮華「がはっ!? 」
バタッ!!
ゴムボールが顔面に当たり、倒れる蓮華
思春「蓮華様!? 」
ダッ!
雪蓮に対抗する手段として一刀から技を習う蓮華だが未だに成功できずにいた。
倒れる蓮華に一刀と思春が近寄ると
思春「大丈夫ですか!? 」
スッ!
蓮華に手を出す思春だが
蓮華「これくらい大丈夫だ!? 」
スッ!
鼻血を出しながらも起き上がる蓮華
小助『蓮華姉ちゃんすげえな!? 』
蓮華「私は必ず姉様に勝ってみせる! 」
蓮華が焦りながらやる気を出そうとすると
一刀「蓮華様 」
スッ!
蓮華「何だ一刀? 」
くるっ!
蓮華が一刀の方を見ると
一刀「忍法・顔面変化! 」
ゴキゴキッ!!
バァンッ!!
一刀は蓮華の前で骨格を変えて面白い顔をした。
顔面変化…骨格を変化させて面白い顔に変化させる変化の術の一種。やりすぎると自分の顔を忘れる
そして一刀の顔を見た蓮華は
蓮華「プッ…ハハハッ!! 」
たまらず大笑いしだした。
パッ!
そして一刀は顔を元に戻すと
一刀「急いては事を仕損じる。やる気があるのはわかりますが鍛練の基本は焦らず、慌てず、落ち着いてですよ蓮華様 」
一刀が言うと
蓮華「そ…そうだったな、すまない一刀、プッ! 」
まだ笑いを出しきっていなかったようだ。
一刀「この技は剣技よりも精神集中が大事なんです。まずそこからやりましょう 」
蓮華「あぁ! 」
素直に一刀に従う蓮華
小助『やれやれ一刀の奴はああ言ってるが昔は自分が焦っていたくせによ 』
思春「ほぅ 」
そしてそれから一週間が経ったのだ。
一刀「(あれから結局技はうまくできなかった。だがタイミングさえあればいける!) 」
と思う一刀だが
雪蓮「そりゃっ! 」
ドカッ!!
蓮華「ぐっ!? 」
雪蓮はなかなか隙を見せず、じわじわと蓮華が追い詰められていく
雪蓮「蓮華、もう諦めなさい!あなたには呉の王の座なんてまだ早かったようね 」
という雪蓮だが本音は
雪蓮「(何やってるのよ!あれくらい避けなさいよ!) 」
と思っていた。
雪蓮だって本当は自分が楽をしたいために蓮華には王になってもらいたいのだが手を抜いたりすると冥琳に感づかれてしまうためできないでいた。
そして蓮華は
蓮華「私は…まだ諦めない! 」
バンッ!!
よろめきながらも立ち上がる蓮華
雪蓮「だったらとどめを刺してあげるわ! 」
スッ!
雪蓮は蓮華から距離をとると
雪蓮「ハァーッ!! 」
ダダーッ!!
蓮華に向かって走り出し
バッ!
高くジャンプした!
雪蓮「これで終わりよ蓮華! 」
ブォンッ!!
そして剣を振り下ろそうとする雪蓮!
だがこの時
蓮華「(この状況はまさか!?) 」
蓮華はこの状況が鍛練の時と似ていることを思い出した。
すると
スッ!
蓮華は突然居合いの構えをして
パチッ!
目を閉じた。
蓮華「(目を閉じて神経を集中し、姉様の気だけを感じ取る) 」
そしてこの時
ドクドクンッ!!
蓮華は雪蓮の気を感じて近づいてくることを感じ取った。
蓮華「(そして、自身の気を放って触れた瞬間…) 」
ポォッ!
気は誰でも少しは持っているもの、蓮華は剣のとどく範囲に気を解放し
ピタッ!
雪蓮の気と触れあった瞬間!
蓮華「(全力で剣を振るう!)ハァッ!! 」
ブォンッ!!
蓮華は一刀の教えに従い、全力で剣を振るった!
バッキーンッ!!
雪蓮「なっ!? 」
蓮華の剣は雪蓮の剣と激しくぶつかり合い
ビキビキッ…バキンッ!!
雪蓮の剣を叩き折った!
この瞬間
冥琳「それまで!勝者・孫仲謀! 」
審判である冥琳が蓮華の勝利を宣言すると
ウォーーッ!!
会場は多いに盛り上った!
一刀「(見事な唐竹割りでしたよ蓮華) 」
それからしばらくして
雪蓮「おめでとう蓮華、では王家の宝剣である南海覇王をあなたにあげるわ 」
スッ!
南海覇王…孫堅や雪蓮が長年得物として代々受け継がれてきた剣。
蓮華「ありがとうございます姉様 」
スッ!
南海覇王を受け取る蓮華
雪蓮「(まさか本気の私に勝っちゃうだなんてね!?でもこれで苦しい政務もなくなるし、今よりは暇になるから一刀とイチャイチャし放題♪…) 」
と企む雪蓮であったが、まだ自分が墓穴を掘っていたことに気づいていなかった。
その墓穴とは…
冥琳「では蓮華様、王としてこれを宣言してください 」
スッ!
蓮華「どれどれ? 」
冥琳から受け取った紙を読んでみると
蓮華「なるほど、では王命令として日頃酒を飲んでは仕事をサボる姉様に一ヶ月の禁酒を命じます! 」
雪蓮「えっ!? 」
雪蓮が墓穴を掘った点、それは王でなくなった雪蓮に王である蓮華が王命令できる点であった。(今までは雪蓮より上の立場の人がいないためはっきりと命令できなかった)
雪蓮「そんな〜!?横暴よ!! 」
冥琳「今まで散々王命令として酒屋を城の近くに配置していたお前に言われたくない。ちなみに破ったら反逆罪として牢屋にぶちこむから覚悟しておけ 」
雪蓮「そんな〜!? 」
今さらになって蓮華を王にしたことを後悔する雪蓮であった。
そしてその日の夜
一刀「何かご用ですか? 」
蓮華は一刀を部屋に呼び出すと
スッ!
蓮華「か…一刀には鍛練の世話をしてもらったし、今まで私を守ってくれた礼としてこれをやろう/// 」
小さな袋を一刀に押し付ける蓮華
一刀「中身は何でしょう? 」
スッ!
そして一刀が袋を開いて開けてみると
バァンッ!!
袋には青い勾玉のお守りが入っていた。
実はこれ、以前蓮華と一刀が入れ代わった時に蓮華が注文して用意したものである。
蓮華「な…無くすなよ!主君命令だ!/// 」
と蓮華が言うと
一刀「ありがとうございます蓮華。では俺からも王であるあなたに授けたいものがあります 」
蓮華「授けたいもの?何だそれ… 」
と蓮華が聞く前に
チュッ!
蓮華「!?/// 」
一刀が蓮華に近づいて唇にキスをした。
一刀「これからもあなたをお守りすることを誓います!/// 」
一刀が顔を赤くしながら言うと
蓮華「ぜ…絶対守るのだぞ!主君命令だ!私の前から消えたりするでないぞ/// 」
一刀「御意! 」
と顔を赤くする蓮華であった。
新しく呉の王になった蓮華
そして一刀との仲はどう変化するかは次回以降をお待ちください




