孫呉の王位継承
一刀達新星が魏にて黒龍軍を追い払ってから数日が経った。
だがそれとは関係なく呉の国の治安は王である雪蓮が仕事をサボりまくっているため非常に悪く、そのせいで警邏隊や仮面シャドー(一刀の変装。正体は蓮華しか知らない)が休む間もなくしきりに活動しまくっていた。
そんなある日のこと
呉の国・酒屋
雪蓮「ぷは〜!おじさんお酒おかわり! 」
店主「孫策(雪蓮)さん、そんなにお酒飲んで顔が赤いけど大丈夫なんですか!? 」
酒屋の店主は心配するが
雪蓮「い〜の、い〜の!最近冥琳が毎日のように『仕事しろ!!仕事しろ!!』とうるさいから私は心を癒しにここに来てるのよ♪それに最近来たここなら鬼の冥琳にも見つからないだろうしね♪ 」
と雪蓮が言うと
?「残念ながら見つかってしまったようだな♯ 」
雪蓮「ドキッ!? 」
ギギギ…
雪蓮が恐る恐る後ろをブリキ人形のようにゆっくりと振り向いてみると
バァンッ!!
そこには仁王立ちしている冥琳がいた!
雪蓮「め…冥琳!?何でここがわかったのよ!? 」
冥琳「私がお前に何年付き合ったと思っている。お前の行動パターンくらいお見通しだ 」
ぐいっ!!
と言うと冥琳は雪蓮の耳を引っ張る!
雪蓮「痛い!?痛いってば冥琳!? 」
冥琳「昼間から仕事もせずに酒ばかり飲みおって!今日という今日は蓮華様も交えて説教してやるから覚悟しろ!!♯ 」
雪蓮「蓮華は関係ないじゃないの!?あっ!せめてコップに入ってた酒だけでも飲ませて〜!? 」
冥琳「うるさい!!♯ 」
ずりずりっ!!
そして冥琳は雪蓮を引きずりながら酒屋を去っていった。
その日の夜
蓮華「まったくもう!姉様、あなたには王としての自覚がないのですか!!♯ 」
冥琳「蓮華様の言う通りだぞ雪蓮、反省しろ! 」
と冥琳が雪蓮を叱ると
雪蓮「自覚もあるし、反省もするわよ! 」
すると雪蓮は
ポンッ!
雪蓮「反省! 」
手を台に置いて猿の反省をすると
冥琳「お前は一生禁酒にされたいようだな♯ 」
雪蓮「いやん冥琳ったら!さっきのは冗談だから許して!? 」
このままでは本当に一生禁酒にされてしまうと思う雪蓮
雪蓮「(何か手立ては…) 」
と雪蓮が考えると
ピカッ!!☆
雪蓮の頭の中で電球が光った。
すると雪蓮は
雪蓮「ねぇ冥琳、私思ったことがあるの 」
冥琳「いきなり何だ雪蓮? 」
冥琳が理由を聞くと
雪蓮「確かに呉の治安が悪いのは王である私がだらしないせい、それは認めるわ。だから… 」
スッ!
雪蓮は蓮華を指さすと
雪蓮「呉の治安をよくするために蓮華を正式に呉の王にしたいのよ! 」
バァンッ!!
とんでもないことを言う雪蓮
蓮華「姉様、あなたは何を言ってるんですか!! 」
雪蓮「世代交代って奴よ、古い私よりも新しい蓮華の方がみんなをまとめてくれるかなって、だから私は隠居する 」
という雪蓮だがこれには全て企みがあった。
雪蓮「(蓮華が王になって私が隠居すれば王である蓮華は一刀と過ごせる時間が減って、隠居した私が一刀と長く過ごせる時間が増えるもん♪) 」
という雪蓮の企みがあったのだ。
蓮華「ですが私にはまだ王の座なんて早すぎます。冥琳も言ってやってくれ! 」
と蓮華が冥琳に言うと
冥琳「確かに雪蓮の言う通りかもしれないな 」
蓮華「えっ!? 」
雪蓮に賛同する冥琳
冥琳「不真面目な雪蓮より重臣達からの信頼も厚く、真面目な蓮華様の方が王にふさわしいのかもしれない 」
雪蓮「でしょでしょ!(断るかと思っていたけど軍師なのに私の企みが気づかないだなんて冥琳って案外間抜けね) 」
冥琳「だが呉の王は私や雪蓮が独断で決めることはできない 」
と冥琳が言うと
雪蓮「確かにそうよね、孫呉の王は代々歴代の呉の王100人に認められなきゃ無理だもんね 」
冥琳「どこの豚鼻たらこ唇の掟だ!!ようするに雪蓮と蓮華様が1VS1で対決し、勝った方が呉の王となるわけだ 」
冥琳の言うように雪蓮と蓮華が戦い、蓮華が勝たなければ王位につくことは不可能なのだ。
雪蓮「(私がわざと負ければいいんだけど冥琳のことだから私が手を抜いたことを見抜くでしょうね!?)どうする蓮華?あとはあなたの意志次第だけど 」
と雪蓮に聞かれた蓮華は
蓮華「私のようなものが王位につくのはまだ早いかもしれない、だけど長年の目標である姉様と戦って勝利することができれば早くないかもしれない! 」
そして
蓮華「孫仲謀、王位継承の儀を受けます! 」
バァンッ!!
蓮華は雪蓮と戦うことを決意した。
冥琳「ならば勝負は十日後とする。立会人は私が務めよう!双方それでいいですね? 」
雪蓮「了解! 」
蓮華「うむっ! 」
そして蓮華と雪蓮の戦いは十日後に決まり、この事は一刀や呉の重臣達に伝えられた。
だがこの時、雪蓮は気づいてなかった。
自分が王位を蓮華に譲ることが自分を苦しめることになることを!
そして冥琳はその点を雪蓮よりいち早くわかったからこそ蓮華の王位継承の儀を認めたのであった。
そしてそれから三日が経ち、雪蓮との試合が一週間後に迫ったある日のこと
蓮華「ハァッ!! 」
思春「フンッ!! 」
ガキンッ!!
思春を相手に鍛練を重ねる蓮華
思春相手に最初は苦戦していた蓮華であったが
蓮華「やぁっ!! 」
ガキィィンッ!!
思春「なっ!? 」
蓮華が思春の剣を弾き飛ばし、決着がついた!
思春「蓮華様、お見事です。これなら雪蓮様を相手にしても勝てるでしょう 」
と思春は言うが
蓮華「本当にそう思っているのか思春 」
思春「はい? 」
蓮華「姉様の実力は大陸でも呂布に次ぐ実力者だ。そんな姉様に私が勝てると思うか 」
思春「そ…それは!? 」
正直に言うと今のままでは勝てないと思春もわかっていた。
だが蓮華を前にして雪蓮に勝てないだなんて思春が言えるわけがなかった。
蓮華「私が姉様に勝つにはもっと技術をみがき、姉様が驚くようなものが必要なのだ! 」
と強く思春に言う蓮華
思春「(蓮華様、いつになく強気だ!?しかし使いに出ている明命と茜はともかく北郷は何故鍛練に付き合わん!!) 」
一刀の実力は思春を越えるものだと思春自身が一番よくわかっていた。
だが一刀は『ちょっと鍛練のためにあるものを作りたいから蓮華様の鍛練の相手はできない』と言って三日前から離れにこもっていたのだ。
思春「(こうなったら力ずくで蓮華様の鍛練に付き合わせてやる!!♯) 」
そして思春が一刀の離れに向かおうとしたその時!
ドシンッ!!
一刀の離れがある方角に何か重いものが落ちる音が聞こえてきた。
思春「今の音は何だ!? 」
蓮華「いってみよう思春! 」
ダダッ!!
そして二人が一刀の離れに向かうと
一刀「よしっ!飛距離はこれくらいなものか 」
バンッ!!
離れ近くの地面には小型の鉄球が落ちていた。
小助『しかしお前の器用さには驚いたもんだね 』
一刀が鍛練用に作っていたもの、それは…
バンッ!!
小型投石機であった。
一刀「それでは鍛練の本題に入るとしよう 」
スッ!
一刀は投石機に鉄球を置くと
サッ!
地面に鉄球がめり込まれている地点まで向かった。
つまり今一刀が立っている位置が鉄球の最大飛距離の場所である。
そして更に
ギュッ!
一刀は目隠しをすると
小助『それじゃあいくぜ! 』
ブチッ!!
小助が投石機に仕掛けられた縄を切った瞬間!
ブォンッ!!
飛ばされた鉄球が一刀に向かってくる!!
蓮華「かず…!? 」
蓮華が一刀に声をかけようとしたその時!
チャキッ…
一刀は剣を抜くと
一刀「北郷流剣術・唐竹割り! 」
ズバァンッ!!
ものすごい早さで剣を抜き
バキンッ!!
鉄球を切り裂いた!
シュルッ…
一刀「ふうっ 」
そして目隠しを外した一刀のもとへ
小助『どうやら腕は衰えてないらしいな 』
一刀「当たり前だ。そう簡単に衰えてたまるものか 」
と二人が会話していると
蓮華「一刀 」
スッ!
一刀「蓮華様!? 」
蓮華が一刀の前に現れた。
蓮華「先程の剣技見せてもらったがなかなかの技だな 」
一刀「ありがとうございます。あの技は『唐竹割り』といって突撃してくる相手に有効な剣技です 」
と一刀が技の説明をすると
蓮華「一刀、頼みがある! 」
一刀「何でしょうか? 」
すると蓮華は
蓮華「その唐竹割りという技を私に教えてくれ! 」
一刀「えっ!? 」
一刀に技を教えてくれるよう頼むのであった。




