吹音の思い
一刀に会いに幽州から建業(呉の国)にやって来た一刀と同じ新星の風切吹音
そして雪蓮が吹音と対決することになったのだが得物の鉄扇を吹音が握った瞬間、吹音の性格が急に荒々しくなった。
吹音「(こいつ(雪蓮)を倒して一刀にいいところを見せてやるぜ!) 」
と思う吹音
ちなみに吹音が一刀に対する思いは数十年前からあった。
数十年前、新星決定戦の時
吹音「ハァーッ!! 」
ドカッ!!
風切家代表として出た吹音は新星決定戦に参加し持ち前の二重人格で順調に勝ち進んでいった。
ちなみに風切家で産まれた女は何故か何かを持つと性格が変わる一族であった。(男は変わらない)
そして決勝戦の時、歴代最強と言われた吹音の勝利が確信かと思われていたが
バシッ!!
吹音「あっ!? 」
審判「一本!勝者・北郷一刀! 」
決勝戦で一刀に敗れ吹音は新星ナンバー2の称号を手に入れた。
幼い吹音「(はぁ、負けてしまいました) 」
幼い吹音が歩いていると
男「おい風切! 」
幼い吹音「えっ? 」
ババンッ!!
幼い吹音の前に二人の男の子が立ち並んだ。
この二人は新星決定戦において吹音に負けた一族の代表選手である。(新星決定戦ではその年に産まれた各一族の若者30人が戦いあい上位6人が新星を名乗れる)
男1「お前のせいで新星になれなかったじゃねえかよ!どうしてくれるんだ!♯ 」
幼い吹音「そ…そんなこと言われましても 」
あくまで新星決定戦はいわば正々堂々の真剣勝負であり負けたからといって文句を言ってはいけない
すると
男2「所詮お前なんてこの鉄扇がなければ何もできないんだよ! 」
スッ!
幼い吹音「あっ!? 」
男は吹音の腰にあった鉄扇を奪い取った!
幼い吹音「か…返してください! 」
男「返してほしけりゃ新星の座をよこしな! 」
幼い吹音「うっ… 」
新星は一族からしたら期待の星であり本人の独断で勝手に渡してはならない
男1「弱虫風切一族め!お前なんて鉄扇がなけりゃ三流忍者なんだよ! 」
幼い吹音「ぐすっ!? 」
吹音はもう新星の座なんてどうでもいいから鉄扇だけでも返してもらおうとしたその時
幼い一刀「何をしている! 」
バンッ!!
幼い一刀が通りかかった。
男2「げっ!?新星ナンバー1の北郷じゃねえか!? 」
男1「慌てるなっての!こっちはこっちで話し合っているだけだ口出し無用だぜ! 」
という男達だが、幼い一刀は泣いている吹音、そして男の手に吹音の鉄扇が握られているのを見て勘づいた。
幼い一刀「そうか、ならば仕方ない。行こう風切ちゃん 」
ぐいっ!
幼い吹音「あっ!? 」
幼い一刀は幼い吹音の手を引いて歩いていった。
そして男達から10メートル離れると
幼い一刀「あっ!そうそう、お兄さん達、そんなもの持ってちゃ危ないよ! 」
幼い一刀が言うと
男1「何言ってるんだあいつ? 」
男2「何が危ないってんだ。頭がいかれてるぜ、こりゃ新星にはろくな奴がいないらしいな 」
一刀をバカにする男達だが
幼い一刀「これな〜んだ? 」
スッ!
幼い一刀が手に鉄扇を持つと
男1「あれは奪った鉄扇!? 」
男2「じゃあこれは!? 」
男達が不思議に思っていると
ぐにゃ〜 ポンッ!
男達が握っていた鉄扇はいつのまにすり替えたのやら導火線に火のついた竹筒に変わってしまった。
それはすなわち…
ドッカーンッ!!
小型爆弾である。
ぼわ〜っ
そして爆弾とはいえ火力が少ないので男達は黒こげアフロですんだのだった。
幼い一刀「忍法・幻視の術成功! 」
実は一刀はとっさに手に持った小型爆弾と鉄扇をすり替え、幻視の術で小型爆弾を鉄扇に見えるようにしたのだ。
スッ!
幼い一刀「はい風切ちゃん 」
幼い一刀は奪い返した鉄扇を吹音に返す
幼い吹音「あ…ありがとう 」
ギュッ!
鉄扇を受け取る吹音
普段ならば受け取った瞬間もう一つの人格が何か言うのだがそれはなかった。
幼い一刀「風切ちゃん、君も新星の一人に選ばれたならもっと自信をもたなきゃダメだよ 」
幼い吹音「でも私はもう一つの人格のおかげで選ばれただけだし… 」
幼い一刀「そんなことない!人格が変わらなくたって君は新星ナンバー2の実力者なんだから自信をもたなきゃダメだよ! 」
ガシッ!
幼い一刀は吹音の肩をつかんだ!
幼い一刀「僕は将来立派な忍者になって主君を必ず守る忍になる夢がある!風切ちゃんの夢は何かわからないけど夢に向かって歩いていこうよ!(ニコッ) 」
この一刀の言葉とスマイルに
幼い吹音「か…一刀くん/// 」
吹音は恋をした。
それからというもの、吹音はもう一つの人格にたよらなくとも何とかできる実力をもち、その後も新星ナンバー2の称号を守り続けた。
そして現在
吹音「(私の夢は一刀様に実力を見てもらい立派だと認めてもらうこと!その日頃の成果を今こそ見てもらう!)そのためにも痛め付けさせてもらうぜ孫策! 」
ブォンッ!!
雪蓮「ひっ!? 」
ガキンッ!!
吹音の振り回した鉄扇を雪蓮は南海覇王で防いだ!
蓮華「姉様が押されるなんてあの者、なかなかの武力の持ち主だな!? 」
一刀「新星決定戦の時以上の強さです。さすがに新星のプライドがあるのでしょう 」
一刀は吹音の強さの秘密が一刀への思いであることを知らない
シャオ「でも一刀は一度勝ったことがあるんでしょ、どうやって勝ったの? 」
一刀「それは後で教えます。今はよく戦いを見ていてください 」
そして戦いを見てみると
吹音「風遁・真空斬! 」
ブォンッ!!
吹音は鉄扇を閉じたまま振り下ろす!
雪蓮「わっ!? 」
サッ!
何とか避ける雪蓮だが
ズバッ!!
先程まで雪蓮がいた場所が切り裂かれた。
この術は鉄扇を早く降ることによってできる真空の刃を相手にぶち当てる術であり今は力を押さえているが本気でやれば大木を斬り倒す術なのだ。
雪蓮「(あんなの食らったらヤバイじゃない!?玲といいこの吹音といい新星ってものすごい実力者ね!?) 」
今更軽はずみに勝負を挑んだことを後悔する雪蓮
雪蓮「(でもこの娘にだって何かしらの弱点や欠点があるはず、それを攻めれば私の勝ちよ!) 」
とここで雪蓮は今までの吹音の行動を思い出してみる。
するとあることを思い出した。
雪蓮「(そういえばこの娘、鉄扇を持つ前は大人しい性格だったわね。だったら!) 」
ビュンッ!!
すると雪蓮は急いで吹音の近くに近寄り
雪蓮「ハァーッ!! 」
ガキガキンッ!!
吹音「くっ!? 」
いきなりの猛攻を開始した。
雪蓮「(フフフッ!私がこうして猛攻していればいずれあなたは手が痺れる。その時に私が一撃を食らわせればあなたは鉄扇を弾き飛ばされる。その時こそ私の勝利よ!) 」
普段頭を使わない雪蓮にしてはいい策だった。
そして
ガキンッ!!
吹音「あぁっ!? 」
雪蓮の思惑通り鉄扇は弾かれ
シュンッ!
吹音は大人しい性格に戻った。
シャオ「あれなら雪蓮お姉ちゃんの勝ちはいただきだね! 」
雪蓮の勝利を確信するみんなだが
一刀「いや、まだわからんぞ 」
一刀だけは何かおかしかった。
そして戦いは
雪蓮「もらった! 」
ブォンッ!!
得物を失い、丸腰になった吹音を雪蓮が襲いかかる!
だがその時!
キィンッ!!
雪蓮「えっ!? 」
雪蓮の後ろから何かが突っ込んできて
ゴッチーンッ!!☆ミ
雪蓮「がはっ!? 」
バタリッ!
雪蓮の後頭部に当たり雪蓮は倒れた。
一体雪蓮に何が当たったのかというと
ふわりっ!
何と!?当たったのは雪蓮に弾き飛ばされたはずの吹音の鉄扇であった。
吹音「風切家秘術・風遁・闘扇教完成です! 」
ここで何が起きたのか説明しよう
実は吹音は鉄扇を弾かれる前に自分から広げた鉄扇を投げていた。
そして吹音は鉄扇を風にのせて操る闘扇教を使い、気づかれないよう雪蓮の後ろに回り込ませ隙を見て激突させる。
つまり雪蓮は自分が鉄扇を弾いたと思い込み油断したところを狙われたのだ。
冥琳「勝者・風切吹音! 」
そして冥琳により勝者の名が出されると
吹音「や…やりました! 」
よろりっ!
突然倒れ出す吹音だが
ガシッ!
一刀「よくやったな風切 」
倒れる前に一刀が受け止めた。
一刀「しかしもう少し体力をつけるべきだな、以後精進するように! 」
吹音「は…はい 」
体力が少ない。これが吹音の弱点である。二重人格は異常に体力消費が激しく長期戦に持ち込められると不利になるのだ。
幼い頃、一刀が吹音に勝てたのも長期戦に持ち込んだからである。
そして吹音を抱く一刀を見て
蓮華「(あの二人、何だかいい雰囲気ではないか♯) 」
呉の姫は少し嫉妬していた。
それからしばらくして
吹音「それでは皆さんありがとうございました 」
吹音が幽州に帰る時がやって来た。
雪蓮「もう少しゆっくりしててもいいのに、何なら幽州をやめてうち(呉)に鞍替えしない? 」
一刀と一緒にいられるなら吹音にとっては幸せなのだが
吹音「いいえ、白蓮様を裏切るわけにはいきません。それに私はまだまだ未熟なんです 」
油断したとはいえ武力に自信のある雪蓮を倒す実力なのにとても未熟とは思えないのだが
吹音「一刀さん、いつか成長した私と戦ってくれませんか? 」
吹音が聞くと
一刀「御意!いつの日か戦おう! 」
ビシッ! ニコッ!
指を立ててスマイルして返事を返す一刀
吹音「わ…わかりました/// 」
一刀スマイルを見て顔を赤くする吹音
吹音「それでは月光、帰りますよ 」
吹音は言うが
明命「嫌なのです!お猫神様とは離れたくないのです〜!! 」
月光「離しなさ〜い!? 」
明命が月光を離さずにいた。
しまいには…
月光「いい加減にしなさい!♯ 」
ジャキンッ!ガリガリッ!
明命「痛いのです〜!? 」
怒った月光に顔を引っ掛かれる明命であった。
月光「まったくもう!いくわよ吹音! 」
吹音「はい、それでは皆さんまた会いましょう! 」
シュバッ!
そして吹音は旅立っていった。
一刀「(次に出会う時には精進するよう祈ってるぞ) 」
一刀が吹音が行った方向を長く見つめていると
蓮華「一刀、人に精進するよう言ったのだからお前も精進せねばな 」
ゴゴゴッ…♯!!
そこには笑顔だが心の中では怒っている蓮華が一刀を見ていた。
一刀「あのぅ、何をそんなに怒って…!? 」
蓮華「怒ってなぞいない!一刀、精進のために今日は夕方まで穏と本読みしていろ!♯ 」
あきらかに蓮華は怒っていた。
蓮華「ちなみに主君命令だから拒否はなしだ!♯ 」
一刀「そ…そんな!? 」
そしてこの後一刀は穏と本読みの刑が行われ、鼻血の海に沈んだという。
次回は葵のいる蜀の拠点話の予定




