拠点 一刀乗馬克服作戦
ある日のこと
呉軍馬小屋
パカパカッ!
いつも兵士達の足となる馬達が歩くなか
一刀「・・・ 」
ずるずるっ…
簀巻きにされた一刀が引きずられていた。
一刀「(何故こんなことになったんだ!?) 」
ことの始まりは今朝にさかのぼる。
雪蓮「ぶ〜っ!最近一刀を襲えなくて不満だな〜! 」
最近一刀に夜這いを仕掛けるのが日課だった雪蓮だが一刀が離れの屋敷で寝るようになってからというもの、中に入ることができず不満がたまっていた。
雪蓮「昼間だとみんながうるさいし、一刀って女以外に弱点ってあったっけ? 」
雪蓮が考えると
ピンッ!☆
雪蓮「そういえば一刀って(にやりっ♪) 」
何か悪いことを考えた雪蓮
早速その日の朝、冥琳がいないのをいいことに早朝会議が始まった。
蓮華「姉様、こんな朝早くから何の用ですか? 」
現在時刻は現代でいうと朝6時である。
穏「急ぎの会議はないはずでしたけど〜 」
一刀「しかも俺まで会議に参加するなんてな 」
普段一刀は蓮華の警護のため会議には出席していない
そして冥琳以外の全員が集まるなか
雪蓮「私思ったのよ、世の中には苦手なことがあってはいけないってことがね! 」
雪蓮にしては珍しいセリフである。
思春「確かにそうですね 」
祭「ごもっともじゃ 」
雪蓮の言葉に賛同するみんなだが
蓮華「姉様!まさかまた前みたいに一刀の鼻血を克服するためにみんなで下着姿になろうって言うんじゃないでしょうね!!/// 」
確かに以前蓮華が言ったように一刀の鼻血を止めるため呉の主要人物、女兵士、侍女を下着姿にする計画があった。
だが結果は一刀が倒れてしまい更に女兵士と侍女達からの反対意見により廃止されたのだ。
明命「そんなことがあったんですか!?/// 」
亞莎「そ…そんなの反対です!/// 」
シャオ「(シャオもやりたかったなぁ〜♪) 」
当時いなかった三人はそれぞれ反応する。
だが雪蓮の言葉は
雪蓮「違うわよ♪もっと別な弱点があったのを思い出したのよ♪ 」
スッ!
一刀「(嫌な予感!?) 」
雪蓮は一刀を見て、見られた一刀は嫌な予感を感じ、すぐに逃げようとするが
雪蓮「にがさな〜い!! 」
バッ! ガシッ!
一刀「うおっ!? 」
雪蓮はいきなり飛び付いて一刀を抱き締めた。
雪蓮「そういえば一刀って乗馬を嫌ってたわね〜♪というわけで今日は一刀の乗馬訓練よ♪ 」
一刀「む…無茶苦茶な! 」
一刀は抗議しようとするが
雪蓮「断ったらおっぱい挟みよ♪(ボソッ!) 」
通常の男ならば喜ぶのだが
一刀「ぎょ…御意 」
一刀はおっぱい挟みを受けたくないために嫌々承諾するのだった。
そして更に一刀が簡単に逃げられないよう簀巻きにされ馬小屋にやって来たのであった。
ここで話は冒頭に戻る。
雪蓮「てなわけで一刀の乗馬克服訓練開始よ♪ 」
ズラリッ!
雪蓮が一人ノリノリで呉軍が立ち並ぶなか訓練が開始された。
一刀「あのぅ、その前に少しいいですかな 」
雪蓮「なに?逃がしてくれってなら無理よ 」
一刀「違う!さすがに簀巻きのまま乗馬はできないんでほどいてくだされ 」
確かに簀巻きのままでは乗馬はできない
雪蓮「仕方ないわねぇ 」
シュルシュルッ…
雪蓮は一刀に巻かれた紐をほどく
雪蓮「でも一刀、ほどいた瞬間すかさず逃げようなんて考えてないでしょうね? 」
祭「残念じゃがそれは無理じゃ!儂と策殿が見ておるからのう 」
確かに強者であるこの二人の視線を掻い潜って逃げるのは一刀でも少し無理である。
シュルッ!
そして一刀に巻かれた簀が全てほどかれた直後
ビシッ!
一刀は空を指差すと
一刀「あっ!酒瓶が空を飛んでいる!? 」
と一刀が叫んだ直後
雪蓮「えっ!?どこどこ? 」
祭「酒瓶はどこじゃ!? 」
サッ!
二人は一刀から視線を反らした。その直後
一刀「御免! 」
シュッ! ボワンッ!!
蓮華「きゃっ!? 」
思春「なっ!? 」
一刀は煙玉を投げつけて煙幕を張った!
やがて煙幕が消えた時には
パッ!
一刀の姿が消えていた!
雪蓮「しまった逃げられた!? 」
祭「儂らの視線を背けるとはたいした奴め!? 」
穏「お二人があんな手にかかるのが悪いんですよ〜! 」
みんなは逃げた一刀を探そうとするが
小助『探す必要ないぜ 』
蓮華「小助!? 」
バンッ!
近くの茂みから小助が現れた。
小助『俺は別に逃げる必要ないからな、一刀が立ち去る瞬間飛び降りたんだよ 』
蓮華「なるほどね!? 」
小助『しかし一刀の奴、まだ乗馬を嫌うなんてやはりあれがトラウマになってるようだな 』
雪蓮「小助は一刀が乗馬が嫌いな理由を知ってるの? 」
小助『もちろんだぜ!あれは十数年前くらいだったな 』
十数年前
幼い一刀「やっ!はっ! 」
パカパカッ!
北郷一刀 当時7歳
一刀は昔は乗馬がうまかった。
新星ナンバー1を決める大会にて見事優勝した一刀の知名度は上がっており、各里でも期待されていた。
そんなある日、一刀に流鏑馬(やぶさめ・馬に乗って走りながら矢を的に当てるもの)の大会への推薦状が届いた。
幼い一刀は新星ナンバー1になったという自信から出場することになったのだった。
そして大会当日、多くの人が見つめるなか大会が開始された。
幼い一刀「ではいくぞ! 」
バシッ! ダダッ!!
一刀は巧みな馬術と
シュパッ!! ドンッ!!
すごい弓の腕を披露した。
そして残る的はあと一つ!
ぐぐっ…
幼い一刀「(絶対に決める!) 」
一刀が弓を引いた時に事件は起きた!
パカパカッ…ブスッ!
一刀が乗っていた馬が落ちていたマキビシを踏んでしまい!
ヒヒーンッ!?
幼い一刀「うわっ!? 」
ドサッ!
一刀は振り落とされてしまった!
それだけならまだよかったのだが
キィーンッ!!
幼い一刀「えっ!? 」
振り落とされた時に矢を上空に放ってしまい
矢が一刀の顔めがけて落ちてきた!
ブスッ!!
だが間一髪、矢は一刀の顔の横に落ちたのだが
幼い一刀「うぅ… 」
じょろろ〜っ!!
幼い一刀は恐怖のあまりにお漏らしをしてしまい
「アハハッ!見ろよ、新星ナンバー1がお漏らししてるぜ! 」
「こりゃお漏らしナンバー1に改名だな♪ 」
等々観客達に笑われ
幼い一刀「うぅ…うわーんっ!! 」
ダダッ!!
幼い一刀は泣きながら去っていった。
それ以来一刀は馬に乗るのを嫌っているのだ。
小助『というわけさ 』
小助から話を聞いたみんなは
雪蓮「ぷっ!あの一刀がお漏らし♪ 」
蓮華「姉様!笑うのはよしてください! 」
小助『笑われるから一刀に口止めされてたんだが言わない方がよかったようだな!? 』
口の軽さを後悔する小助であった。
とその時!
ガサッ!!
一刀「小助〜!!話しおったなぁーっ!!♯ 」
草むらに隠れていた一刀が怒鳴りながら現れた。
雪蓮「あっ!出たわねお漏らし一刀! 」
一刀「それは言わないで!!ともかく、理由を知ったのなら納得したでしょう/// 」
一刀が恥ずかしさで顔を赤くしながら言うと
雪蓮「無理よ!そんなの知ったら逆に乗せたくなっちゃった♪ 」
バッ!
一刀「うわっ!? 」
シュシュッ!
雪蓮「待ちなさい一刀! 」
一刀「断る!? 」
逃げる一刀を追いかける雪蓮
みんながそれを見つめるなか
冥琳「私がいない間に何が起きたんだ? 」
バッ!
蓮華「冥琳! 」
冥琳が馬小屋に現れた。
亞莎「実は斯く斯く然々でして… 」
亞莎が冥琳に事情を話すと
冥琳「なるほど、またあの馬鹿(雪蓮)が原因なのか、私に任せておけ 」
スッ!
冥琳は一刀と雪蓮の元に近づいた。
雪蓮「一刀!いい加減に降りてきなさい! 」
一刀「断る! 」
その頃、雪蓮は木に登っていた一刀を追いかけていた。
雪蓮「こうなったらそっちにいっちゃうんだからね♪ 」
ガシッ!
雪蓮が一刀を捕まえるべく木に登ろうとすると
冥琳「お前は馬鹿かーっ!!♯ 」
バッシーーンッ!!☆ミ
雪蓮「きゃんっ!? 」
後ろから来た冥琳に雪蓮はハリセンで叩かれてしまった。
冥琳「お前はどうして無理矢理させるのだ!私がやるから下がっていろ!♯ 」
スッ!
冥琳は木に登っている一刀を見ると
冥琳「北郷、話は聞いたぞ確かにお前が乗馬を嫌がる気持ちもわかる。だがお前だって最初から乗馬が嫌いだったわけではないだろう。一度だけでいいから乗ってみろ、それでもし嫌うというのならば無理矢理乗せた責任として私が土下座で謝ってやる! 」
冥琳以外の呉軍『えっ!? 』
冥琳の土下座発言に驚くみんな
何故なら孫呉の軍師長である冥琳が土下座で謝るなんて滅多にないのだ。
そして冥琳の話しを聞いた一刀は
一刀「御意! 」
するするっ…
木から降りてきた。
しばらくして
ブルルゥ…
一刀「よっ!はっ! 」
トンッ!! パシッ!!
一刀は馬に跨がり、足で軽く蹴ると
パカパカッ…
馬は歩きだし
パカラッ!!
走り出した。
すると一刀は
一刀「(何だこの感じは!?昔、封じていた懐かしい感じがする!) 」
一刀は乗馬の気持ちよさを思い出した。
明命「一刀様いい顔してますね 」
穏「さすが冥琳様です〜 」
冥琳「嫌う奴はたいていやらず嫌いだったりするもんさ、だが一度やればその楽しさがわかるというものだ 」
さすがは軍師長の冥琳である。
そして
タッ!
一刀は馬を降りると
一刀「ありがとう冥琳、おかげで乗馬の楽しさを思い出しました 」
冥琳「役に立てて何よりだ。早速お前の馬を用意してやる。ところで、皆に聞くが今回は弱点を克服する訓練であったな 」
蓮華「そうだがそれがどうかしたのか? 」
すると冥琳は
冥琳「北郷の乗馬克服のついでに誰かさんの仕事嫌いも克服させてあげようではないか 」
雪蓮「ギクッ!? 」
冥琳の言葉に驚く雪蓮
そろ〜っ…!?
そして雪蓮がこっそり逃げようとすると
ガシッ! ガシッ!
雪蓮「わっ!? 」
両手を祭と一刀につかまれてしまった。
祭「確かに冥琳の言う通りじゃのう 」
一刀「弱点は克服せねばなりませんね♪ 」
雪蓮「あわわ!? 」
さっきの仕返しとばかりに一刀は雪蓮を睨む
冥琳「では城に戻るぞ! 」
雪蓮「いや〜っ!? 」
この後、雪蓮は嫌というほど仕事をさせられ、終わった時には頭を使いすぎてミイラのようになっていたという。




