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明命、猫の思い出

それはある日のこと


呉軍鍛練場


ザッ!!


明命「いきますよ一刀様!! 」


一刀「あぁ、こい明命! 」


鍛練場にて明命と一刀が対峙していると


明命「ハァッ!! 」


スッ!


明命が構えた瞬間!


明命「忍法・猫寄せの術! 」


ピィーッ!!


突然口笛を吹く明命


すると


にゃ〜にゃ〜!


数匹の猫が明命に集まってきた。


明命「はぁ〜♪猫寄せの術成功なのです♪では早速もふもふを…/// 」


スッ…


と言って明命が猫を抱こうとすると


にゃ〜にゃ〜っ!?


ババッ!!


明命「あぁっ!? 」


明命から流れる殺気を感じ取ったのか、猫達は蜘蛛の子を散らすように明命から逃げてしまった。


明命「あぅ〜!?今日こそお猫様を抱けますと思いましたのに!? 」


一刀「ま…まぁ、術は成功したんだし、最初に比べれば進歩してるよ!? 」


最初の頃は術がうまく発動せず一匹も集まらないこともあったのだった。


何とか明命を励まそうとする一刀だがなかなか明命は立ち直らない


するとその時!


にゃ〜♪


一匹だけ明命から逃げずに自分から近づいていく白い毛で頭に赤の毛が立ち、右目に傷のある猫がいたのだ。


明命「あっ!このお猫様は!? 」


一刀「知ってる猫なのか? 」


明命「私にとって一番思い出があるお猫様なのです♪(あの方は元気でしょうか?) 」


明命がいうあの方は誰なのか?


それを語るには話を大分前に遡る


あれは大戦が始まる大分前のこと


シュタッ!!


明命「ふむふむ、いろいろとわかりました 」


隠密である明命は他国の調査を行っていた。


その結果…


明命「蜀の国のお猫様は60匹、魏の国のお猫様は55匹、どの国にも様々なお猫様がいたのです♪ 」


という明命くらいにしか喜ばない情報を集めていたのであった。


明命「おっといけない!早く戻らないとみんなが心配してしまうのです!? 」


ダッ…


そして明命は早く城に戻ろうと急ぐのだが


つるっ!!


明命「えっ!?あーっ!? 」


ピューッ!!


あまりに急ぎすぎていたため足元を見ていなかった明命は足を踏み外してしまい崖から転落してしまった。


それからしばらくして


明命「うぅ…!? 」


明命が目を覚ますとそこは


にゃ〜!にゃ〜!


明命「お猫様♪ 」


猫がたくさんおり、明命にとっては天国であった。


スッ…


そして明命は猫に触れようとするが


ササッ!!


明命「あぁっ!? 」


猫達は明命から逃げてしまった。


明命「そんな!?お猫様、待ってくださ…!? 」


スッ…


猫を追おうとする明命だが


ズキンッ!!


明命「いたっ!? 」


足の方に激痛が走った!


よく足を見てみると


ズキンッ!!


崖から落ちた時に痛んでしまったのか


右足にひどい傷ができていた。


明命「でも誰かが治療した跡がありますけど一体誰が? 」


明命が?を浮かべていると


?「どうやら気がついたようだね 」


誰かの声が聞こえてきた。


よくその人物を見てみると


バンッ!!


その人物は長い銀髪を縛り、着物のような服を着て、左頬に傷のある男であった。


明命「あなたは!! 」


スッ!


もしかしたら黒龍軍かもしれないという明命の勘から得物の魂切を構える明命だが


にゃ〜!!フシューッ!!


明命「えっ!? 」


猫達がまるで男を守るように明命に対して威嚇(いかく)してきた。


すると


?「こらこらお前達、そんなに威嚇しないの!君もあまり動くと傷に痛みが走るから大人しくしないと!? 」


シュンッ…


男のいうことを聞くかのように静かになる猫達


明命「は…はい!? 」


とりあえず明命も大人しくするのであった。


明命「あのぅ、ところでここは何処なのですか? 」


?「ここは村外れの家さ、周りには猫屋敷っていわれてるけどね 」


明命「ほぅ 」


それから少しして


優「そういえば自己紹介がまだだったよね。俺の名前は笹原優(ささはら すぐる)だ 」


明命「周泰と申します。でも何故私はここに?あなたがここに連れてきてくれたのですか? 」


優「まぁ正確的にいうなら猫達が君を見つけたんだよ。俺は君を背負って傷の治療をしただけさ 」


明命「そうでしたか、それはありがとうございます 」


治療してくれた優とお猫様にお礼を言う明命


明命「そういえばこの辺りに人なんて珍しいですけど優さんはお一人で暮らしてるんですか? 」


優「この辺りにはたくさんの人がいたんだけど賊が現れてみんな去ったんだ。でも俺は一人じゃない。家族ならこいつらがいるからね 」


にゃ〜♪にゃ〜♪


猫を抱き寄せる優


それを見た明命は


明命「はふぅ♪お猫様、是非とももふもふを…/// 」


スッ…


猫を抱こうと近づく明命だが


にゃ〜!!にゃ〜!!


ピューッ!!


明命「あぁっ!? 」


さっきまで優に抱かれて大人しくしていた猫達は明命が近づいた途端に逃げていった。


優「周泰さん、殺気が入りすぎだよ!? 」


明命「すみませんです!? 」


隠密なため殺気を消すことはできるのだが猫を抱こうとすると何故か殺気が出てしまうのだった。


そんななか


にゃ〜!


明命「あっ! 」


一匹の猫が明命に近づいてきた。


この猫こそ冒頭に登場した猫である。


今まで明命が猫を抱く時は煮干しやマタタビで機嫌をとってようやく抱けるのだがこの猫はそれをせずに自ら抱かれに来たのだ。


優「へぇ、そいつが人になつくだなんて珍しいな、意外と殺気を出してる人が好きなのかもね♪ 」


明命「その言い方は少しひどいのです!! 」


そしてその後


明命は傷が治るまでの間、優の話を聞いたり、軽い鍛練をしたり、一緒に猫と遊んだりと様々な日々を送っていた。


それから数日が経ち


パッ!


明命の傷の具合はすっかり治ったのだった。


明命「(これなら歩けます)では優さん、お世話になりました 」


傷が完治し、去ろうとする明命だが


優「待ってくれ明命さん! 」


明命を呼び止める優


ちなみに数日の間に明命は優に真名を預けている。


優「俺はもうすぐこいつら(猫達)を連れてこいつらが安全に暮らせる地に向かう。君も一緒についてきてほしい 」


優は明命を勧誘するが


明命「申し訳ありません!数ヵ月前ならば蓮華様達を置いてでもお猫様達と一緒に向かったかもしれません 」


明命の頭に浮かぶ天秤は


蓮華達より猫達の方が僅かに上回ったのだった。


明命「ですが今の私には鍛練をつけてくれる優しい人がいるのです。その人を置いていけません 」


明命の天秤は


蓮華達だけなら猫達が上回っていたが


そこに一刀が加わったことにより蓮華達の方が上回ったのだった。


優「その人のこと好きなの? 」


明命「えっ!?好きかどうかと聞かれると…/// 」


反応から見てバレバレである。


優「なら仕方ないな、また会う日を楽しみにしてるよ 」


無理矢理明命を連れていかず見送る優


優「でもこいつだけは明命さんと一緒に行きたいようだから連れていっておくれ 」


スッ!


にゃ〜!


そういうと優は明命になついた猫を渡した。


明命「お猫様♪ではまたいつの日か会える日を待っているのです! 」


ダッ!


そして明命が出ていった後


フッ!


猫屋敷が消えてしまった。


実は猫屋敷は優が術で作った幻である。


そして更に実は優は一刀達と同じ世界からやって来た忍者であった。


優「この世界に来て出会った猫達を守っていたけど、まさか人に会うだなんてな、でもまた会える日を待っているよ明命さん 」


スッ!


そして優は去るのであった。


とここで話は現在に戻る


明命「(あれ以来、猫屋敷について調べましたけど猫屋敷は見当たりませんでした。一体どこに消えたのでしょう?) 」


明命が少し寂しがっていると


にゃ〜!!


明命「! 」


どこか遠くの方で猫の鳴き声が明命の耳に入ってきた。


明命「(今の鳴き声は間違いなく猫屋敷にいたお猫様の鳴き声、どうやら優さんも元気でいるようですね) 」


あれ以来連絡をとっていないがとりあえず優が元気でいることを知った明命は喜ぶのであった。


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