天下一品武闘大会その12
再戦!一刀VS思春
魏にて開かれた天下一品武闘大会も一刀を含めたベスト8が決まり、いよいよ準々決勝が始まろうとしていた。
そして準々決勝の第一試合は一刀VS思春で決まったのだった!
思春「(こういった形で北郷と再戦するだなんて思っていなかったな) 」
読者の皆さんは覚えているかどうか知らないが、実は一刀と思春は一度戦ったことがある。(四話参照)
その時、一刀の実力は既に思春を越えているかのような展開を見せ、一刀が分身してとどめを刺そうとしたのだが
その時、偶然吹いた風により思春の下着である褌が見えてしまい!鼻血を出した一刀は思春に一撃を食らったのだった。
その後、本来なら試合前の協定により一刀は蓮華の従者をやめなければならないのだが思春が戦いに納得がいかず結果は保留になったのだった。
だが、あの時ですら得物は模造品であり、今回は刃は潰してあるものの、自身の得物であるため真剣勝負なのだった。
思春「(私はその後も北郷を鍛練に誘ったのだが、私が誘うといつも奴は忙しいと言って逃げていた) 」
思春「(今度は実力で勝ってやる!) 」
スッ!
そして二人が舞台場に立つと
夏芽「それでは試合開始! 」
試合が開始された!
思春「(北郷が来る以前までは私に勝てなかった明命がいまや私を押すくらいの強さを出している。北郷の指導がいいのか明命に素質があったのかどちらかは知らぬがな) 」
と思った思春は
思春「(ならば私の日々の成長を見せてやる!) 」
スッ! スッ!
そして思春は得物の鈴音を
一刀も得物の気伝丸を手に取った直後!
シュババッ!!
二人は互いに向かっていき
ガキンッ!!
刀と刀が激しくぶつかり合った!
ババッ!!
そして一刀は思春から距離をとると
シュシュッ!!
一刀「幻影分身の術! 」
ボボンッ!!
一刀は印を結んで5人に増やすと
一刀達『ハァーッ!! 』
ババッ!!
一斉に思春に襲いかかるが
思春「私をなめるな! 」
ぐっ!!
思春は刀を握ると
思春「ハァーッ!! 」
ダッ!
一刀「えっ!? 」
ガキンッ!!
5人のうちの一人に狙いを定めて襲いかかった!
思春「この類い(たぐい)は本物にしか影がない。すなわち影があるのが本物だ! 」
一刀「おみごと!? 」
思春だって一刀と戦ってから遊んでいたわけではない
いつか一刀と再戦するその時まで何らかの対策を考えていたのだ。
思春「(最初に北郷と戦った時は奴が自滅しなければヤバかった。私はもう、偶然に頼らず勝利してみせる!) 」
もう一刀に負けたくない!
その思いが思春を強くしたのだった。
思春「どうした北郷、貴様の実力はその程度なのか! 」
一刀「何のこれしき!? 」
ぐぐっ…
一刀が思春に押されていると
一刀「ハァッ!! 」
ブォンッ!!
思春「なっ!? 」
一刀は思春をともえ投げで投げ飛ばした!
だが
すたっ!!
思春は見事に着地を決めたのだった!
思春「(さすが北郷だな、以前より実力が上がっているのは奴も同じ、だが私は負けん!) 」
一刀「(受け身が見事だったが余程厳しい鍛練を繰り返したのだろう) 」
互いに成長を認め合う二人
できることならこのまま試合を続けていきたいところだが
カチカチッ!
蓮華「二人共、残り時間五分だぞ! 」
この大会は一試合30分という制限時間があり、そこで試合は止められ、戦況・傷の深さなどにより判定が下される。
思春「フッ!北郷、次の一撃で決めてやる! 」
スッ!
思春は構えると
一刀「承知! 」
スッ!
一刀も構えてきた。
そして!
ババッ!!
両者が一斉に飛び出すと
思春「ハァーッ!! 」
ブォンッ!!
思春は今まで以上の速さで刀を振り
一刀「北郷流剣術・流星撃砕剣! 」
ブォンッ!!
一刀は北郷流剣術で対抗した!
バシュンッ!!
そして両者がすれ違った後、一旦動きが止まると
ドォンッ!!
一刀「ぐふっ!? 」
ガクッ!!
一刀は腹部に痛みを感じ、膝をついた
思春「フッ!どうやら勝負は私の勝ち… 」
一刀の動きに勝利を確信する思春
このまま時間が経てば負傷している一刀の負けとなるのだが
パシッ!! バサッ!!
思春「なにっ!? 」
突如思春のシニヨンキャップが何かの衝撃を受けて外れた瞬間
ズキズキンッ!!
思春「がはっ!? 」
バタンッ!!
手足に衝撃を受けた思春は倒れてしまった。
カチッ!!
そして試合開始から30分が経過し
夏芽「勝者、北郷一刀! 」
バンッ!!
傷の具合から判定によって一刀が勝利した!
思春「私は負けたのか… 」
何があったのかわからずに負けてしまった思春
北郷流剣術・流星撃砕剣は相手の体を五亡星(同じところを二度通らずに書く星)を描くように頭・右足・左腕・右腕・左足に衝撃を与える剣技である。
ちなみに通常は相手の顔面を攻撃するが一刀は顔ではなくわざとシニヨンキャップを狙ったのだった。
ズキンッ!!
思春「(くっ!?手足が痛くて立つこともできん!?) 」
仕方がないので思春は這いずってでも舞台場から降りようとすると
スッ!
一刀「ほら! 」
ぐいっ!!
一刀は思春の手を引いて肩を貸して立たせた。
一刀「見事だったよ思春、日頃の鍛練の成果が出たようだな 」
思春「慰めはよせ、だがそれでも貴様には勝てなかったのだからな、だが次に試合をやる時には必ず私が勝ってやる! 」
一刀「その時までには俺も更に鍛練をしておくとしよう 」
二人が再戦の約束をすると
一刀「しかし 」
思春「何だ? 」
一刀「髪を下ろした姿もなかなかいけているな 」
思春「なっ!?/// 」
ボンッ!!
この一刀の何気ない言葉に顔を赤くした思春は
思春「馬鹿者っ!!♯/// 」
パシンッ!!☆ミ
一刀「あたっ!? 」
照れ隠しとして一刀に一撃を食らわすのであった。