誇りある傷
黄巾党を倒すよう美羽に命じられた呉軍
だが肝心の雪蓮は罰として冥琳の監視のもと、政務をするはめに
そして残りの皆が行くことになったのだ。
しかも嬉しいことに、呉軍の仲間を増やすためそれぞれ二手に分かれて行くことになった。
蓮華・一刀・穏組
穏「ここが周泰ちゃんとの合流地点のはずなんですけど〜 」
蓮華「周泰はおろか、兵士まで姿が見えないとはどういうことだ? 」
周泰との合流地点である回りが崖になっている丘にやって来たのだがそこに周泰の姿はなかった。
とそこへ
カサッ…
一刀「(!) 」
誰かが近づいてくるのを感じた一刀が
一刀「そこだっ! 」
シュッ!
そこに石を投げる。
コツンッ!☆ミ
石は見事命中し、その場所を見てみると
?「いたたなのです〜!? 」
そこには黒髪の忍者のような服を着た女の子がいた。
一刀「くせ者! 」
チャキッ…
一刀は腰の剣を抜こうとする。
?「わ…私はくせ者なんかじゃないのです!? 」
すると女の子は
周泰「私の名は周泰。孫権様に会いに来たのです。その証拠に孫策様から文を預かっているのです!? 」
サッ!
懐から雪蓮が周泰に当てた手紙を取り出した。
穏「確かにこの筆跡は雪蓮様のですね〜 」
蓮華「どうやらお前が周泰というのは間違いなさそうだな我が名は孫権。真名は蓮華だ 」
穏「私は陸遜です〜。真名は穏ですよ〜 」
二人が自己紹介すると
周泰「はうわっ!?あなた様が孫権様と陸遜様でしたか!?お二人の噂は聞いております。陸遜様は知力溢れた名軍師 」
穏「そんな名軍師だなんて照れちゃいます〜/// 」
くねくねっ
一刀「(ブバッ!) 」
穏がくねくねするとそのでかいおっぱいも揺れまくる。それを見て思わず鼻血を出す一刀
周泰「そして孫権様は形がよくてものすごい大きなお尻の持ち主だと 」
蓮華「どんな噂だ!♯ 」
サッ!
慌ててお尻を隠す蓮華
もはや蓮華の尻については大陸中に広まっていた。
周泰「そしてあなたは… 」
周泰は一刀をじっと見つめる。
一刀「我が名は北郷一刀。孫権様の護衛をしております 」
忍者である一刀は目立たない行動をしているためあまり世間体には知られていなかった。
穏「そんなことより周泰ちゃん… 」
明命「申し訳ありませんでした。真名の明命とお呼びください 」
穏「わかりました。では明命ちゃん、兵士の人達はどこにいるんですか〜? 」
穏が聞くと
明命「それでしたら私は様子を見に来ただけですので崖の反対側で待機させております 」
つまり明命は一人で来たのだ。
一刀「それってまずいのでは!? 」
明命「えっ…あっ!? 」
一刀の言う通りまずいことである。
何故なら指揮官がいなくなればそれだけで兵が混乱するからだ。
蓮華「ったく、急いで兵を連れてくるがよい 」
明命「は…はいなのです! 」
蓮華に言われて急いで兵のいる場所に行こうとする明命だが
一刀「どうやらそれは無駄に終わりそうだぞ 」
明命「はい? 」
一刀の言葉に首を傾げる明命
穏「一刀さんは遠くのものを見ることができるんですよ〜 」
蓮華「それで一刀、何か見えたのか 」
一刀「はい。明命が来たと思われる方角から多数の賊がやって来ます。おまけに奴らは全員黄色の布を頭に巻いていますよ 」
つまり一刀が知らせなかったら明命は一人で多数の賊を相手にしなければならなかったのだ。
蓮華「黄色の布だと!?冥琳から聞いた黄巾党か!? 」
一刀達は予め冥琳から黄巾党の特徴として頭に黄色の布を巻いていることを聞いていた。
穏「相手が多数ですか〜!?私達の軍では不利ですね〜!? 」
何故なら黄巾党は呉軍の兵士の約三倍いたのだ。
蓮華「ともかくこの崖を抜けるぞ!そうすれば崖の上から黄巾党を攻撃できる! 」
今、一刀達は崖と崖の間におり、黄巾党も同じ道を通るので先に崖の上にいれば戦いに有利なのだ。
戦いとは高いところにいる方が有利なのだ。
蓮華「穏、一刀!全軍に崖を抜けるよう通達してくれ!明命は我々と一緒に来い! 」
一刀達『了解! 』
ダダーッ!!
一刀達は急いで崖を抜けようと突っ走る!
だが黄巾党だってバカではなかった。
スッ!
崖の上にはすでに黄巾党が隠れていたのだ。
黄巾党兵士「呉軍の奴らまんまとかかりやがったな!野郎共!岩を落としてやれ! 」
黄巾党達『へいっ! 』
ぐぐっ…
黄巾党達は崖の上から岩を落とそうとする
一刀「(殺気!?)皆のもの!何か来るから気を付けろ! 」
黄巾党の気配を感じた一刀が軍に通達しようとするが
ゴロローッ!!
少しばかり遅く、岩は落とされてしまった。
呉軍「ぐぎゃーっ!? 」
ズシズシンッ!!
次々と岩に潰されていき慌てる呉軍
蓮華「皆のもの、落ち着け! 」
大将である蓮華が指示を出すが慌てている兵士には聞こえない!
それどころか…
ゴロローッ!!
蓮華「えっ!? 」
蓮華の真上を大きな岩が転がっていき
ズッシーンッ!!
崖の間に落ちてしまい、蓮華は呉軍と分かれてしまった。
一刀「孫権様!? 」
ドカカーッ!!
一刀は蓮華を助けようと岩を壊そうと殴り続けるが岩はヒビ一つ入らない
それどころか一刀の腕から血が流れ続ける。
穏「落ち着いてくださいよ一刀さん!? 」
明命「それ以上殴ったら手が使い物にならなくなるのです!? 」
ガシッ!!
暴走する一刀を穏と明命が二人がかりで押さえつける!
一刀「孫権様ーっ!! 」
その頃、蓮華はというと
蓮華「くっ!?一刀達と分かれてしまった!? 」
今、こちら側にいるのは蓮華だけである。
ザッ!
そしてそんな蓮華に近づく黄巾党達
黄巾党兵士「ゲヒヒッ!誰が残ったかと思ったら巨尻で有名な孫権じゃねぇか♪ 」
蓮華「巨尻ではない!///お前達にみすみすやられる私ではないぞ! 」
ジャキンッ!!
蓮華は剣を抜いて黄巾党に向ける!
黄巾党兵士「抵抗するなんて面白い。服をひん剥いて裸にしてやるぜ! 」
ジャキンッ!!
黄巾党達も剣を抜いた。
その頃、一刀達は
穏「う〜ん、この大岩を越えるのは無理ですね〜!? 」
岩がデカすぎるため乗り越えるには無理があった。
明命「でも早く助けにいかないと孫権様が危ないのです!? 」
何とか蓮華を助けようと考えていると
シュシュッ!
一刀が印を結んでいた。
明命「何をしているのですか? 」
明命が聞くと
一刀「これより俺は孫権様を助けにいってくる!穏達は崖の上の制圧を頼む! 」
明命「無茶なのですよ!?向こう側の相手は恐らく全軍ですよ!?死に行くようなものです!? 」
一刀の言葉に驚いて止めようとする明命だが
穏「わかりました一刀さん。明命ちゃん、私達は崖の上の制圧にいきましょう 」
穏は賛成であった。
明命「何故止めないのですか!? 」
明命が穏に聞くと
穏「簡単に言うなら一刀さんだからですよ。一刀さんが言うなら蓮華様は無事ですよ 」
ダッ!
そう言って穏は軍を率いていった。
明命「どういうことなのですか!? 」
まだ呉をよく知らない明命には訳がわからなかった。
そして明命が悩んでいる間に
一刀「御意、忍法・土竜旋風の術! 」
ギュルルーッ!!
一刀は回転して地面を掘り進んでいき!
スッ!
一刀の姿が消えて穴だけが残った。
その頃、
ガキンッ!!
蓮華「あっ!? 」
蓮華は何とか賊に襲われないようこらえていたが耐えきれず剣を弾かれてしまった。
黄巾党兵士「観念しな孫権 」
黄巾党兵士「大人しく俺達の相手をすれば命だけは助けてやるぜ♪ 」
命は助かっても屈辱である。
蓮華「だまれっ!我は呉の第二王妃・孫権仲謀!貴様らになぶられるくらいなら死んだ方がマシだ! 」
ドンッ!
さすが蓮華らしい台詞である。
黄巾党兵士「そうかい、なら死にな! 」
ブォンッ!!
黄巾党兵士の振り下ろした剣が蓮華を狙う!
蓮華「くっ! 」
蓮華はもはやこれまでかと思い、目を閉じた。
だが
ズバンッ!!
蓮華「(あれっ?) 」
大きく切られるような音がしたにもかかわらず、蓮華はまったく痛みを感じていなかった。
パッ!
そして蓮華が目を開いてみると
バンッ!
そこには一刀が自分の背中を盾にして黄巾党の剣から蓮華を守っていた。
一刀「がはっ!! 」
よろりっ
切られて思わずよろける一刀
蓮華「一刀!? 」
ガバッ!
蓮華はよろける一刀を抱き起こす
一刀「孫権様、ご無事で何より… 」
蓮華「しっかりしろ一刀! 」
一刀に向かって叫ぶ蓮華
だがそんな余裕はなかった。
黄巾党兵士「この状態で感動的な場面だなんていい根性してるじゃねぇか 」
黄巾党兵士「続きはあの世でしな 」
ジャキンッ!
一刀と蓮華は周りを黄巾党兵士達に囲まれてしまった。
蓮華「くっ!おのれっ! 」
蓮華は武器がなくとも反撃しようとするが
ガシッ!
一刀に肩を掴まれ
一刀「孫権様、少しだけ失礼をお許しください 」
蓮華「えっ… 」
蓮華が戸惑っている間に
ガバッ!
蓮華「きゃっ!? 」
蓮華は一刀にお姫様抱っこをされた。
すると一刀は
一刀「忍法・壁歩き! 」
タタターッ!!
黄巾党兵士「何だよあれ!? 」
黄巾党兵士「ホントに人間かよ!? 」
何と一刀は蓮華を抱えながら崖を垂直に上っていった!
タッ!
そして崖の上にたどり着くと
一刀「穏、後は頼む! 」
一刀が言った瞬間
穏「はいは〜い!兵士の皆さん、岩を落としちゃってくださ〜い♪ 」
バンッ!
いつの間にか崖の上には一刀の指示でやって来た穏達がいた。ちなみに崖の上にいた黄巾党達は倒されていた。
呉軍「そりゃーっ! 」
ゴロローッ!!
黄巾党兵士「うわーっ!? 」
さっきとは逆に呉軍が崖の上から岩を転がしていく!
そしてたまらず黄巾党達は逃げ出していった。
その後、何とか城に帰ることができた一刀達
そして玉座の間にたどり着いた瞬間、傷ついた一刀を見て雪蓮が慌てて医者に診てもらうよう言うが
一刀「これくらい平気ですよ 」
と言って玉座の間から出ていった一刀
蓮華「… 」
だが蓮華は一刀の様子を怪しんだ。
城の庭
一刀「ぐほっ!! 」
小助『まったくもう、包帯をきつく締めて血を出させないようにするなんてすごい演技だな 』
一刀「仕方なかろう。皆に心配をかけるわけにはいかないのだから 」
やはり一刀は無理をしていたのだった。
小助『しかしまぁ、今回は最初から忍装束を着ていてよかったな。鎖帷子がなかったら胴体真っ二つかもな 』
一刀「それはまさに運だな 。小助、薬を塗ってくれ 」
小助『仕方ないな、塗ってやるからうつ伏せに… 』
二人が会話をしていたその時!
蓮華「やはり無理をしていたようだな 」
バンッ!
そこに蓮華が現れた。
一刀「何故ここに!? 」
蓮華「一応私はお前の主君なんだ。護衛のことくらいわかって当然だろう。薬なら私が塗ってやるから横になれ 」
一刀「で…でも孫権様にやらせるわけには!? 」
蓮華「主君命令だ!異論あるまい 」
一刀「はい… 」
この言葉に弱い一刀であった。
そして蓮華は一刀の傷を見るとそこには物凄い傷跡があった。
蓮華「まったく、こんな傷を作りおって 」
すると一刀は
一刀「この傷は主君を守って負った傷ですから誇りある傷ですよ 」
その言葉を聞いた蓮華は
蓮華「バカものめ(ぼそっ) 」
と呟く(つぶやく)のだった。




