続きっす
今回も短いかもです
俺が校門を出るころのはすっかり日が落ちてしまっていた。
少しずつ日が長くなってきたとは言え、まだまだ夏場に比べると日は短い。
グランドには野球部などの運動部がしきりに声を上げ、花壇の前には美術部と思わしき人がちらほらとキャンバス片手に座っている。
「はぁ・・・すっかり遅くなっちゃったね」
夕日で赤く染まった白い髪をなびかせながら俺の隣に彼女は歩いている。
「そうだな・・・、紺野それよりおでこは大丈夫か?」
腫れはすぐに引いたもののまだ若干青じんでいるおでこをちらりと見ながら問う。
「それより滝川君の方が大丈夫なの?後ろのタンコブに加えて私のせいで前にもたんこぶが出来ちゃって・・・その、ごめんね」
大丈夫とでも言うかのように微笑むと俺のおでこに触れながら心配そうに見てくる。
目先に紺野の顎が迫る。
ち、近い・・・。
「ほらまだ熱いよっ。明日まで響いたらほんとにごめんね」
赤く染まった顔を気が付かないのかそのまま撫で続ける紺野の肩を押して、そっと体を離れさせると落ち着くために深呼吸する。
「だ、大丈夫だから気にすんな。ほら、さっさと帰らないと日が暮れるぞ」
誤魔化すように門へと歩き出す。
「うん、早く帰らなきゃね」
ニコニコとついてくる紺野はクラスで見た、あの扉の前で見た人とは別人のように明るくかわいらしかった。
俺たちがあったのは今日が初めてだったはず・・。
それなのにまったく違和感がない、隣を歩く・・・紺野が居ることが。
「なぁ・・・紺野、俺達って」
前に会ったか?
そんな問いかけは最後まで言えなかった。
沈む夕日はスローモーションのように優しく光を俺たちに届け、それと同時に俺の意識を混濁させていった。
そこで俺の意識は再び闇に落ちた。
**
「おにぃちゃん、お兄ちゃん!はぁ、やっと起きたの?ご飯出来たよ」
行き成り肩を揺さぶられて、体をはね起こした。
「うわっ!どうしたの!?いきなり・・・」
目の前では明らかに妹が引いていた。
「すまん、すぐ行くから先行って待っててくれ」
驚いた姿勢で硬直する妹に苦笑いを浮かべながら、答える。
俺はいつからソファーで寝ていたんだろう・・・・。
紺野と二人で帰っていたことは覚えている。
そこから・・・。
突如現れた頭痛に頭を押さえる。
頭の芯が燃えるようにジンジンと響く。広がっていく痛みに思わずうずくまってしまう。
兄の異常に気が付いたのか、優華が走り寄ってくる。
「お兄ちゃん!!大丈夫!?待っててね!いま救急車呼ぶからっ」
そんな妹の声もどこか遠い場所の事のような気がする。
だめだ、思い出せない。
なぜだ・・・思い出そうとするだけで頭が痛くなる。
人としての生命の危険を感じたのか、とっさに思考を閉ざしてしてしまう。
途端に今まで俺を苦しめていた頭痛がうそみたいに消え去った。
「優華、だ、い、丈夫だか・・ら」
まだ芯に残った鈍痛に顔をしかめながら電話に手をかけている妹を止める。
**
水が落ちる音がやけに響く風呂場で俺は考え込んでいた。
何度考えても思い出せず、そのたびに頭痛が襲う。
それは生物レベルでその思考を拒否しているようだった。
今まで俺には一つも持病がなかった。
何か変わったとするならば今日の出来事。
・階段から落ちて頭をぶつけた。
・転校生の紺野 紫水が転校してきた。
・屋上であるはずの扉が変わっていた。
この三つくらいのはずだ。
ほかに有るのなら保健室で寝ている間に人体改造されていたくらいだろう。
一番上ならば、あまりに症状が遅い。朝のぶつけた頭が今頃になって痛み出すものなのか?
そもそもそれなら継続的に痛いはずである。
ならあとの二つに絞れる。
微妙に長いです。
また中途半端ですね><