第1章 STEP ON
ふぅん、楽しんでいってくださいm(_ _)m
初心者ですのでお手柔らかに
幼い時の事を覚えている人は少ないかもしれない。
例えそれが辛く、苦い思い出でも・・・また幸せな出来事でも年がたつにつれて人は次第に忘れてしまうものなのだろう。
でも僕は覚えている。
あの崖から突き落とされるような思い出を、たった1人で耐えた日々を・・・。
町を歩くだけで「あの子って・・・」と言われ、小学校では顔も知らない人に虐められさえした。
それでも耐えて見せた。鉄の仮面をかぶり、唯一の安全地であるはずの家でも自分を閉ざし続けた。
その苦しみの始まりは小学5年生の夏だった・・・。
僕は商店街を歩いていたんだ。もちろん一人じゃなかった。
隣にはもう名前も覚えていないけど女の子がいたはずだ・・。
人ごみにもまれ、なんとか端によって一息ついて僕は少女にこう話しかけたんだ。
「今日ってほんとについてないな。そこら中でセールをやってるから人が多いや」
しっかり握った手にギュッと力を込めると、少女に笑いかけた。
「うん、だね。夏場の暑さに加えてこれだけ人が集まると嫌になっちゃうね」
苦笑といった感じで少女も僕に微笑み返してくる。
人ごみのせいで熱くなった空気は渦巻き、僕たちの額からたらたらと汗が流れた。
「君たち・・・少しいいかな?」
髪を短く切りそろえたいかにも中年な男が突然僕たちに声をかけてきたんだ。
本当に見えているのかと思うほど細い目は僕たちに向けら、見られているこっち側とすれば少し気味が悪かった。
「ごめんね、怖がらせちゃったかな?おじさん怪しい人じゃないから」
明らかにその発言が怪しい・・。
思わず一歩引く僕たちに困ったように頭を掻くと、スッと内ポケットに手を突っ込むと名刺らしきものを2枚取り出して僕たちに渡してきた。
「おじさんこうゆう者なんだけど、しらないかな」
〇〇映画スカウトスタッフ
前田 菱機
「おじさんね、映画のスカウトをやってるんだけど、君たち映画に出てみないかな?」
それはCMでも宣伝されているほど有名な映画で、突然役者の男の子と女の子、の役が二人死んでしまったので募集していると有名な映画だった。
ファンタジー物の映画で小学生~中学生まで今はやりにもなっているほどの超大作だった。
普通オーディションなどで選ばれるものらしいが監督の意見で一般人からもスカウトしてるみたいだ。
「おうちの人と相談して電話してね、名刺に電話番号書いてあるから」
糸目の男はさっさと人ごみに交じると数秒もしないうちに消えてしまった。
もちろん僕たちの親は映画に出ることを賛成してくれた。
理由の一つは親が映画好きだった事と、その時は知らなかったが子供の将来を思うと役者でデビューしておけば未来は幾分か安全だそうだ。
二人笑いながら映画で演技する日々・・・それは酷でもあったし辛かったけど何より隣にあの子がいたことで、前の日々よりもいっそう楽しくなった、ただ砂が流れるように楽しい時間が過ぎていくのを見ていたんだ。
そのあとに何が来るのかも知らずに・・・。
第一章 Step on
「起きろよ、勇者君よぉお!!」
横腹にいきなり激痛が走る。
「寝てねぇで、さっさとパンかってこいや!」
次は逆の横腹を殴られた。
あぁ・・・最悪だ。せっかく幸せな夢だったのにぶち壊しやがって。
「・・・・・」
今まで寝ていた机から顔をあげて立ち上がると左右に居る男子を見る。
そりこみを入れた坊主と髪を赤く染めたロン毛・・・またこいつ等か。
見られていることに気づいた赤パツは俺に蹴りを入れてくる。
「あぁあ!?何睨んでんだよ?俺の言うことが聞けねえのかよ、勇者君よぉ」
脛をけられてよろめく俺に手を伸ばして胸倉をつかむとグッと持ち上げる。
赤パツより少し背の低い俺は軽々と持ち上げられると何も言わずまた見つめ返す。
「金髪だからってなめてんじゃねぇよ!」
剃り込みがまた睨んでると思ったのか頬に一発貰う。
「はぁ・・・わかったよ。焼きそばパンだろ」
降ろせと胸倉をつかんでいる手を叩くと地に足をつけてゆがんだネクタイを直す。
そんな冷静な俺にイライラ来ていたのか、みぞうちに一発入れてドアの方に剃り込みを連れて出ていく。
「5分後に屋上で待ってるからな、遅れたら半殺しな」
「勇者ならこれぐら出来るよな」
息も絶え絶えに跪く俺の背中に声をかけて廊下を馬鹿笑いしながら遠ざかっていくのがわかる。
その声が完全に聞こえなくなると今まで嘘のように静まり返っていた教室がにぎやかなものへと変わっていく。
「大丈夫?」
「暴力振るう男子って最低だよね」
「代わりに買って持って来ようか?」
「ホントにムカつくよな・・・あいつ等」
跪く俺にクラスメイトが数人駆け寄ってきて声をかけてくる。
「あぁ、大丈夫だ。ありがとな自分で行くから大丈夫だって」
口の中で鉄の味が広がるのを無視して購買へと歩き出す。
高校生になっても引きずられる過去・・・俺のあだ名は『勇者君』。
あの映画に出て俺の人生は一変した。映画が続いている内はまだ良かったんだ。
クラスの女子や男子からチヤホヤされ町を歩いても良い噂ばかり聞こえてくる。
もちろん、そんな俺に嫉妬を焼く奴もいただろうがそんな奴は気にならないほど楽しかった。
だが俺たちが出ていた映画は一年後に終わりを告げたんだ。
俺の友達、いつも隣に居てくれた少女・・・その子が放送中の事故で無くなったんだ。
俺の手の中で・・・ただ支える事しかできなかった。
皮肉にも俺たちの出た映画はバットエンドだった・・・。
最後は悪役が勝ち、悪役の都合のいい一種の平和な世界になる、そんな物語だったんだ。
最後のシーンで少女の最後のシーンがあったんだ、本当にこの世を離れ行く彼女のシーンが・・・。
その日を境に俺は蔑まれ、憎まれ罵られるようになったんだ。
そうだろう?役立たずの勇者がヒロインの彼女も守り切れず、現実では彼女が本当に死んでいるんだ。
『お前が殺したんだろう?』
『なぜ助けなかった』
そう聞かれても、、分からない、知らないとしか答えようがなかった。
そして憎まれた末に俺についたあだ名が『人間の恥』だったんだ。
それが俺の悪夢の始まりだったんだ。
ちょっと投稿方法msしたかな^^;
まだ初心者なのであとがきなんて(いえいえ)
では次の更新まで(さようなら)