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第六話 ログイン


 暗い部屋の中、ベッドから立ち上がり、佑真は両手を腰に当てて首と肩を数回回した。

 部屋の奥にあるデスクトップは暗くて見えないくらいだが、慣れた足取りで進み、チェアに腰掛ける。

 電源ボタンを押すと小さなライトが赤からグリーンに変わり、起動音が鳴り始めた。流れ作業のように、サッと手を伸ばして、いつものヘッドセットを取り装着した佑真は、目を閉じた……初期画面の真っ白な光を避けるために。


 ディスプレイの点滅が落ち着くと、佑真は顔を上げ、手早くパスワードを入力して、頭を下げた。それは……まるで、祈りを捧げているかのように見えた。 

 パソコンが本格的に動き始めたことを音で確認し、明度や輝度などを下げて薄暗く設定された画面に目を移す……。


「久しぶりだが……やってみるか……」

 そう言って、いくつかあるゲームアプリの中から一つを選び、軽く咳払いをした。

 ログインすると、チャット欄の文字が流れていき……佑真を呼ぶボイスチャットが響いた。

『おぃ、サンサンか?(アカウント名yuuma33からの呼び名)』

『あぁ、覚えてくれてたのか……久しぶり……』

 このゲーム内のチームの中でも、とりわけ攻撃重視キャラでリーダー的存在のパチ(アカウント名king888)が即座に声をかけてきた。

 佑真が数ヶ月前に、いきなりログインしなくなったのは……違う世界線か、或いは別のゲームに夢中になっているのかと思っていたらしい。

『……まぁ、いろいろあってさ……』

『そっか……で、今から狩りに行けるんだろ?フォローするからさ』

『あ、ありがと……レベチだけど、いいのか?』

『レベルよりさ、サンサンの勘が頼りなんだよ……他にも、誰か誘うか?あいつ……どこにいるかな……』


パチ(king888)とサンサン(yuuma33)が広場を歩き回ると、ムー(∞mugen∞)とソラ(00sola00)がモニュメントの影に隠れるように……いつものようにDMで会話しているのを見つけた。

『やっぱり、居たな……おい、サンサンが来たぞ』

 パチの一声に、ムー(∞mugen∞)はスタンプ一つで応答し、ソラ(00sola00)はボイスと文字両方で応答した……いつものように。

『さぁ、久しぶりに揃った事だし、狩りに行こうぜ』

OKスタンプ

『待ってたよ~、サンサン。元気だった?』

『あぁ、みんな順調にレベルアップしてるな……追いつけるかな』

『気にすんなって……あの辺になんか居そうだな……よし、行くぞ!』


 彼らは、数ヶ月のブランクなど無かったかのようにフィールドへと飛び出して行った……。


    

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