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異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません! ~総天然色異世界~  作者: 猫長明
第1章:異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません!

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第7話:オタトモ参上!

この物語はフィクションですが、

登場する人物・団体・名称等は、

実在のものが意識されています。


本作品は特撮作品及びその関係者を批判するものでなく

全ての特撮作品へのリスペクトを持って執筆しています。

この場を借りて情熱をもって素晴らしい特撮作品を

作られたすべての方々へ謝辞申し上げます。

 もう、言ってしまってもいいだろう。

 前回のショーは、失敗だった。


挿絵(By みてみん)


「そもそもセンねぇ。前回、手ぇ抜いたやろ」

「そんなことないよ!」


「でもこれまでに比べて動きが適当だったで。

 適当っていうか、硬いっていうか……」

「硬くて当然だよ!

 だって私、巨大ロボだったもん!」

「巨大……ロボ?」


 前回の反省をしていた中、

 突然出た理解不能な言葉にイサムが首を傾げる。


「ロボっていうのは、

 鉄や鉄より硬いすごい金属を使って

 人間が作った動く人形のことだよ。

 ほら、魔王軍も使ってるじゃん」

「あぁ、あれなぁ。

 あれの真似しとったんか」


 何のつもりだったかに関しては

 とりあえずイサムも理解した。

 何故そんな真似をしたのかはさっぱりわからないが。

 そもそもリボルケインとかギャバンとかもわからん。


「そう、家より大きい巨大ロボ。

 巨大だから動きも遅いし、関節も硬いの!」

「んー……?」


 熱弁するリンネに訝しむイサム。


「人形なら関節が硬いってのはわかるで。

 でも、大きいのと動きが遅いのは

 関係ないんとちゃうか?」

「あー……」


 なるほど、確かに。

 これは考えないとわからない。

 逆に言えば、考えればイサムもわかるはずだ。


「イサム、小さい生き物って何が思いつく?」

「ゴキb……」

「それ以外にしてくれる?」

「じゃぁ、リスで」


 ほっと胸を撫で下ろした後で説明を続ける。


「捕まえたリスの尻尾を掴んで、

 こんな感じでぶらさげてみたとしようか。

 想像してみて」

「んー……想像したで!」


 ふわんふわんと揺れるポーチに

 想像上のリスを重ねてみるイサム。


挿絵(By みてみん)


「イメージして。手足をバタバタしてるよね」

「しとるわなぁ」


「どのくらいバタバタしてる?」

「短い手足を必死でバタバタしとるわ。

 その辺で許してやってや。

 リスの尻尾は抜けるんやで」


 イサムは意外と想像力が豊かで、

 かつ、優しい性格をしているらしい。

 なんだか本当にかわいそうなものを見る感じで

 目をそらしてきてしまったので、

 リンネも申し訳無さそうに腕を引っ込める。


「うん。じゃぁ次は

 大きい動物を想像してみて」

「イノシシとかか?」


「もっと大きいの」

「鹿!」


「もっと大きいの」

「蛇!」


 ぴく、とリンネの表情が歪む。

 彼女は鹿より大きい蛇を知らない。

 少なくとも、現代に生きる蛇は知らない。


 太古の昔まで言えばティタノボアなる

 全長14m体重1tの怪獣めいた蛇が居たらしいが、

 まさかこの異世界にはティタノボアが

 まだ生きていてそこらに生息しているのか?


 魔物のいない平和な異世界。

 それはそれとして危険な原生動物は

 いないわけではないという当然の事実に

 改めて少し怖い想像をしてしまった。


 むしろそういう原生動物がいるのなら、

 猪、鹿に続いて蝶とか言ってくれれば、

 インドネシア語で歌が歌えたのに、と

 楽しい想像で恐怖を中和。


 が、それはそれとして。


「手足がついてる動物がいいかなぁ」

「じゃぁ、象でどうや?」

「うん、象でいこう」


 ここでもう一度腕を前に。


「大きくなった私がこうして

 象の尻尾を掴んでぶらさげてると

 想像してみて」

「んー……」


 目の前の光景をベースに、

 巨大になったセンねぇが、象の尻尾を掴む想像……


挿絵(By みてみん)


「……今日はクマさんかぁ」

「象さんだよ?」


 さておき。


「やっぱりこの象さんも

 逃げようと手足をバタバタするよね?」

「しとるわなぁ」


「じゃぁここでさっきのリスを思い出して。

 そのリスと同じような速度で

 象が手足をバタバタしてたら、どう思う?」

「……なんかキモいわ」


「そう! その通り!

 大きな動物が小さな動物と同じ速度で動くと

 なんか気持ち悪いんだよ!

 それは大きい動物がみんな、

 ゆっくり動くからなんだ!」

「…………」


 目を閉じて知る限りの大きな動物を思い出す。

 象、水牛、サイ、モケーレムベンベ。

 見たことのあるそれらは確かにみな、動きが遅い。

 リスのような速度で手足を動かすと

 なんだか気持ち悪く感じてしまう。


「確かに、そのとおりや。なんでなんや?」

「なんでって言われると、難しい話になるよ。

 脳から届く神経伝達の速度って言っても

 わかんないでしょ?」

「わからんなぁ」


 リンネも専門ではない故に、

 このあたりの詳しい説明はできない。


 ただ、それが理由で素早い動きの怪獣は

 なんだかリアルに感じないとは知っていて、

 逆にその嘘を前提に怪獣の生態を考えると

 脚部の近くに第2第3の脳が必要になると、

 そんな話を聞いたことがあった。


「これが大きい動物がゆっくり動く理由。

 ちなみに、大きい人形がゆっくり動くのは

 もっと簡単かつわかりやすく説明できるよ。

 大きい腕って、重いでしょ。

 髪の毛くらい軽ければ握ってぶんぶんできても

 木の幹くらい重いとぶんぶんできないでしょ?」

「あ、それはわかりやすいわ」


 だから怪獣や巨大ロボの動きは遅い。

 遅くなければ、リアルに見えないのだ。


「なるほど。それはわかったで。

 センねぇが巨大ロボの真似して

 わざとゆっくり動いとったのもわかったし、

 その動きが逆に難しいってのもわかったで」

「そうなんだよ! 私、頑張ったんだよ!」

「でもや、センねぇ」


 イサムの目が、鋭くなり。


「それでもどう見たってセンねぇは大きくないんや。

 むしろ身長低めや。大きいと思わせたいなら、

 言葉でなく見えるもので、そうだと信じ込ませる

 他の道具が必要だったんとちゃうんか?」

「……あ」


 この世界の人々はリンネの言葉を信じない。

 だから信じてもらいたいならば言葉ではなく

 目で見せなければならない。


 そう、前回のショーに足りなかったもの。

 それは、リンネが巨大であると

 錯覚させるための小道具だ。


 町のミニチュアであったり、

 さらなる視点の調整だったり、

 そういった道具を、用意できていなかった。


 だから前回のショーはいまひとつだった。

 観客を、うまく騙せなかったのだ。


「まぁ、時間もなかったしなぁ。

 それにもう使っとらん攻城櫓を買って、

 ガラスのやくらを組んでもらって、

 太陽の光の角度まで計算して、

 火薬も前よりたくさん使って。

 わいも()()()()()()()()()()()()()()()()()

「っ……!」


 そしてさらに元をたどれば、そこに行き着く。

 リンネは、無意識に妥協してしまった。

 もう十分頑張ったと、満足してしまった。

 本気で特撮がやりたいのなら、

 絶対に陥ってはいけない感情を抱いてしまった。


 それ故に、巨大ロボの真似をしたら

 動きが遅くなるという高度な想像を、

 暗黙の了解と考えてしまっていた。

 その暗黙の了解に甘えた理由……


(足りなかったのは、目線だ……)


 それはカメラの画角とか、そういう話ではなく。


(私はこの異世界の人たちと、目線が違うんだ!)




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




(そう、それがあなたに足りないもの。

 あなたの……。いえ、オタク特有の甘え)


 ここまでの会話を遠くで覗っていた赤い瞳があった。

 彼女には、声に出さないリンネのショックが

 手に取るように感じ取れた。


(だからあなたはダイコンレベル。

 わかっている人たちが集まっている

 ()規模()()ベンションの舞台でなければ

 あなたの技術も思いも理解されないの)


 彼女はまるで、()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()悔しげな表情を作る。


(けど、それだけじゃないみたい。

 あなたが今感じているショックは、

 それだけじゃない……)


 彼女は想像する。

 何故、そんな顔をしているのか。

 何故、ここまでショックを受けているのか。


 何故、()()()()()()()()()()()()()()

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()


(……なるほど。この敗北は、()()()()()()


 言ってしまえばただのありふれた敗北。

 立ち直って新たな方向性を考えればいいだけ。


 なのにそれができない理由は、

 蓋をしていたトラウマが、開いてしまったから。

 あの少女はまだ、敗北から立ち直ったことがない。

 そして、その絶望的な敗北経験とは、おそらく。


(歳を考えれば完成されきったと言えるスタント技術。

 しかし、それを持っていること自体がおかしい。

 つまるところ……)


 彼女の推理は、真実にたどり着いた。


(あなたは、身長が低いというだけで、

 研鑽した技をすべて否定され、

 夢を諦めざるをえなかったのね)


挿絵(By みてみん)




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




 スーツアクター、通称、ヒーローの中の人。

 それは、誰にでもなれる職業ではない。


 きぐるみの中に入るなら、顔の美醜は関係ない。

 声も関係ないし、男でも女でも関係ない。

 しかし、()()にはだけは厳しい制限がある。


 筋力がなければ筋トレすればいい。

 バック転ができなければ練習すればいい。

 太っているなら痩せればいい。


 ()()()()()()()()()()()()()()


 ルッキズムが悪いものと認識され、

 ポリコレが叫ばれるような世界になってなお。


 身長が足りないだけで、就けない職がある。

 叶わない夢がある。


(関係ない……)


 リンネは自分に言い聞かせる。


(今はその話は、関係ない!)


 身長が低い。イサムの口から出たその言葉は

 あくまで偶然出た言葉でしかない。


 わかっている、わかっているのに。


 かつて感じた絶望とトラウマの蓋が、

 開いてしまった。


(……ダメだ。私、もう……

 やっぱり私は、ヒーローになんて……)


 リンネが諦めかけた、その時。


「ねぇ、あなた」

「え……?」


 目の前に現れた女性に、声をかけられた。


「ウルトラマンと仮面ライダー、どっち派?」


挿絵(By みてみん)




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




「ウルトラマンと、仮面ライダー……?」


 異世界で聞けるはずもない2つの単語に

 思わずフリーズしかけるリンネの脳。


 一方のイサムは突然話しかけてきた怪しい女に、

 最大級の警戒を見せて2人の間に割り込んだ。


「な、なんや姉ちゃん! ちょっとキモいで!

 変なの目につけてるし!」

「あぁ、これ? ごめんなさい。

 メガネっていうんだけど、

 この世界のガラス精製技術だと

 きれいな見た目にならなくてねぇ」


「め、眼鏡!? じゃ、じゃぁあなたは、

 まさか……いや、もしかして……!」

「そう……その通り……!」


 パンッと両手を叩いて

 枕木をイメージさせる音をたてる。

 この乾いた音で、リンネの心に再び炎が灯った。


「銀の翼に」

希望のぞみを乗せて!」


「灯せ平和の」

「青信号!」


「「勇者特急マイトガイン! 定刻通りに只今到着!」」

「…………」


 突然はじまった芝居がかったセリフに、

 ついついドン引いてしまうイサム。


「やっぱ変質者か!? センねぇに近づくな!」

「ふっ……」


 と、この謎の変人を危険と直感し、

 リンネの手を引いて逃げようとするのだが。

 当のリンネは逆にノアの手を取ってしまう。


「あなた! あなたは!

 私と同じ世界からの転生者ですか!?」

「……ノアよ」


「ノアさんですね! 私は……」

「リンネ・セーデルルンド。知ってるわ。

 もう有名人よ? あなた」


 異世界で出会った同じ世界の人間。

 しかもおそらく、自分と同じくらいには()()

 そんな奇跡的な出会いに喜ぶリンネだが。


「それで、ウルトラマンと仮面ライダー」

「う……い、いきなり言われても……」


(選べない……!)


 頭がぐるぐると混乱しはじめるリンネ。


(そもそもウルトラマンと仮面ライダーは同じ特撮のジャンルの上で語られていながら誕生の経緯がまるで違うウルトラマンはウルトラQから始まった空想特撮シリーズで当時としては法外な予算の元で製作された傑作それを低予算の仮面ライダーと比較するのは前提が公平じゃないしウルトラマンと仮面ライダーを比較すればウルトラマンだけどもしも同年代のウルトラシリーズである帰ってきたウルトラマンと比較すると悩むしエースとV3を比べたらV3ださらに当時の子供たちの人気を評価にするなら仮面ライダーだけどそれは等身大のヒーローである仮面ライダーの方がごっこ遊びがしやすかったからという事情もあってそれがエースが不人気だった理由だけどそれで言うならバロム1が最強になってしまう平成までの話をするともう路線からして完全に別物だし全然比較していい話じゃないしこれだけ長く続いたシリーズなら個々のタイトルで出来の良し悪しだってばらつきが出るわけでそれの平均値を取るのか中央値を取るのか最大値を取るのかで考え方も変わってくるしあとSFで言えばウルトラマンが究極でも仮面ライダーと言えば遊園地のヒーローショー文化の土台を築いたという大きな功績があってただそれでも単純に私個人のあくまで私個人の直感で答えてしまうのなら……)


 呆然と頭をぐるんぐるんと回しながら

 白目を向いてよだれを垂らし始めるリンネ。

 これにはもうイサムが黙っていられない。


「おい変態! センねぇに何言ったんだ!?

 センねぇから離れろっ!」

「あっ! イサム……」


 と、イサムが強引にノアを弾き飛ばした瞬間。

 リンネの目が、スローモーションに切り替わる。


「あ……あぁっ! い、今の……!

 ()()()()()()……っ!」

「……ふっ」


挿絵(By みてみん)


 意識したのか、体に染み付いていたのか、

 どちらかなのかはわからない。


 しかし、突き飛ばされたノアの倒れる動きは

 リンネの憧れの人物である伝説的スーツアクターの

 倒れ方と瓜2つ。顔の出ないヒーロースーツの中で

 「表情が見える」と評されたほどの味のある操演は

 もはや忘れられない特徴があった。


 そんな倒れ方をしたノアだからこそ。


「私もノアさんと同じですっ!」

「帰ってきたウルトラマン、最高よね」


 一瞬で意気投合するのだった。

この物語は第一章最終話まで書き上げたものを

予約投稿して公開してるの。

毎日22時20分更新で全18話、

第一章最終話は11月4日になるわ。

文字数は約10万文字で、普通のラノベ1本分くらいね。




気に入った方は前作もよろしく。


★異世界で国鉄分割民営化を回避するため走る

 鉄オタエルフの奮闘記。


異世界で森を切り開き鉄道敷いて魔王を倒したエルフの後日譚

「ファン・ライン」~異世界鉄道物語~

https://ncode.syosetu.com/n8087ko/

【Nコード:N8087KO】

挿絵(By みてみん)




★全員クズの勇者パーティの中に

 裏切りものが1人いる(※1人しかいない)とわかり

 全員が暗躍しはじめる話。


このパーティの中に1人、魔王の手先がいる!

https://ncode.syosetu.com/n7991lc/

【Nコード:N7991LC】

挿絵(By みてみん)

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