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異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません! ~総天然色異世界~  作者: 猫長明
第1章:異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません!

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第6話:勇者が負ける時!大都市は壊滅する!

この物語はフィクションですが、

登場する人物・団体・名称等は、

実在のものが意識されています。


本作品は特撮作品及びその関係者を批判するものでなく

全ての特撮作品へのリスペクトを持って執筆しています。

この場を借りて情熱をもって素晴らしい特撮作品を

作られたすべての方々へ謝辞申し上げます。

 洞窟の中をこつこつと足音が響く。

 一人歩み進める黒いローブの女性、

 その片手には松明の火が握られていた。


 やがて彼女は明るい場所に出た。

 洞窟を抜けたのか? 否。

 ここが洞窟の最奥だ。


 松明の火を消し、壁に立てかけ、

 天井の電気照明の光に目を慣らす。


「おかえり、ノア」

「ただいま、シグ」


 ノアと声をかけられたのは

 白い肌に赤い目、赤髪の女性。

 前回、セシリアのショーを見に来ていた

 黒いローブの女だった。


挿絵(By みてみん)


 一方、そのノアが声を返したシグは、

 黒い肌の青い目、青い髪の女性。

 その見た目は、ノアと対のように思える。


挿絵(By みてみん)


 2人は挨拶の後で軽くハグをしあう。

 西洋的コミュニケーション術かもしくは、

 この2人の親密さを示す行為だった。


「ぎゃはははは! 眼福眼福ぅ!

 で、もう2人はもうヤったんか?」


 そんな2人にシモネタを飛ばす緑髪の少年。

 着崩したアロハシャツで足を組み、

 にやにやと笑みを浮かべながら

 ふぐ刺しを食べている。


挿絵(By みてみん)


「やめろ、キッカ。下品だろう」

「ミケはおりこうさんすぎるんだよ」


 そんなシモネタクソガキをキッカと呼んだのは

 ブロンドにサングラスの男性。

 上下を黒いスーツにまとめた中、

 黄色にも近い濃い金髪が片目を隠し

 三日月のように輝いていた。


挿絵(By みてみん)


「それで。報告するのじゃ」

「はい、魔王様」


 ノアが魔王と呼んだのは白髪の老婆。

 もとい、声だけは老婆のそれだが

 見た目は5人の中の誰よりも幼い。

 少なくとも、ここの5人の人物は皆、

 見た目と年齢が一致していないように思える。


挿絵(By みてみん)


「勇者と噂された人物の名はセシリア。

 セシリア・リンネ。おそらくですが、

 私達と同じ世界からの転生者です」

「転生者だぁ? アニメの見すぎだぜ」

「にわかには信じられんな」

「本当なの? ノア」


 ノアの言葉をまともに受け取らない3人。

 一方の魔王はふむと小さく呟いてから。


「そう判断した理由はなんじゃ?」

「こちらを御覧ください」


 ローブのポケットからメモリーカードを取り出し

 魔王に渡すノア。

 魔王がそれをスロットに差し込むと、

 大型ディスプレイに映像が映し出された。




『ダイナミック、ジャンプ!』




 映し出されたのは前回のショーの録画映像。

 しかし、その映像、もとい、最初の声だけで

 全員が訝しみ気味だった顔を真剣な表情に変える。

 もうこのワンシーンで全員が、

 セシリアを転生者であると信じて納得したのだ。


「ご納得いただけましたか?

 では、報告の続……」

「待つのじゃ」


 が、納得したからといって、

 この先の映像を見ないとは言っていない。


 ガラスのやぐらの上に立ち、

 大の字のポーズを取るセシリア。

 その姿を見て。


「科学剣……」


 あわせて両腕を広げ、

 当然のようにぼそりと呟く魔王。


挿絵(By みてみん)


『科学剣!』


 ワンテンポ遅れて技名を叫び、

 剣を掲げるセシリア。

 ここで一度映像を止めて。


「科学剣。稲妻、重力落とし」


挿絵(By みてみん)


 その魔王の一言に続いて。


「「「「重力落とし」」」」


 4人が声をあわせた。


挿絵(By みてみん)


 真剣な表情で頷きあった後で映像を再開。


『稲妻! 重力落とし!』


 そこから直立不動の姿勢で飛び降りる

 セシリアを最後まで見守り、

 爆発と共に全員で拍手。


「なるほど、間違いないのじゃ。

 見事なダイナロボ再現じゃった」

「私達と同じ世界線。しかしあの子は……」

「ぎゃはは! ただのオタクじゃん!

 この世界のヤツらは元ネタわかんねぇって!」

「だが、ただのオタクが侮れないのは、

 ノアでわかっているだろう?」

「…………」


 ミケの鋭い視線に対してノアは

 なんとも言えない空虚な横目を返した。


「ま、あの程度なら平気だろ。

 あんなん特撮じゃねぇ。ガキのお遊戯だ」

「ダイコンには出せてもテレビには写せん」

「そもそもカメラがありません。

 用意できたのは爆薬だけ。その程度では……」

「特撮とは、言えぬな」


 特撮技術をもって世界を支配せんと企む魔王軍。

 その嘘を見抜き、反旗を翻した勇者の情報は

 すぐに魔王軍の耳にも届いていた。


 何故バレたのか。

 バレた上でどうやって人々の目を覚ましているのか。


 それを調査するべくセシリアの元に向かったのが

 魔王軍四天王『レッド・ノア』だった。


 彼女の報告を聞いた3人の名はそれぞれ、

 『蒼い旋風シグ』『蒙古斑のキッカ』『三日月のミケ』

 そして、魔王軍筆頭。


 魔王(代理)、『斜光のアキ』である。


挿絵(By みてみん)




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




 順調な滑り出しを見せていたセシリアの旅。

 彼女を知る者も増え、追っかけまで現れている。


 しかし今、彼女は最初の壁に直面している。


 それは、滑り出しが順調すぎたが故の壁。

 追っかけファンまで生まれてしまったが故の壁。


「前回のはイマイチだったな。

 前のはもっとすごかったんだよ」


 そう、期待というハードルである。


(考えてみれば、当然だった……!

 最初の1回は初見のインパクトで押し切れた。

 しかし、爆発という概念を知り、

 目の前で爆発を見てしまい、

 それが何度も重なってしまえば……

 もはや、爆発にインパクトはない!)


 確かに派手な爆発は特撮の華である。

 しかし、爆発だけが特撮ではない。


 セシリアもそれはわかっていたからこそ、

 前回は特に火薬の量を多めに使用した。

 その上で舞台装置にもカネをかけ、

 これまで以上のヒーローショーをやったつもりだ。


 なのに人々の反応は薄かった。

 セシリアにはまだその理由がわからない。

 とにかく次はもっと、もっとカネをかけ

 火薬もたくさん使って、さらにド派手な爆発を……


 と、思っていた矢先のことだった。


『愚かなる人間共よ。

 聞くところによれば、我らの侵略が、

 我ら魔王軍の存在が嘘だと吹聴して回る

 現実逃避に走る楽天家が現れたらしいな』

「うっ……!」


 町のオーロラビジョンに魔王軍の

 最新特撮映像が放送され、

 セシリアからうめき声のような小言が漏れる。

 こちらの動きが、バレている……!


『貴様らが見たというこの魔法は……』


 パチッと昭和特撮めいた幹部が指を鳴らすと

 同時に背景で大爆発が起きる。


「同じだ! セイちゃんのと同じだ!」

「ほらみろ! あんなのは魔法じゃない!」

「魔王軍は嘘をついていたんだ!」


 映像に向けて人々が叫ぶ。

 テレビや撮影という概念がないこの世界の

 人々にしてみれば、あの昭和特撮幹部は今も

 板の向こうにいて、声が届く存在だ。


 当然セシリアはそんなわけがないことを知っている。

 生放送やライブストリーミングという概念はあれど

 少なくとも生放送の特撮はありえないのだ。


 が、しかし。そんなことは相手も百も承知。

 その上で。


『そこの男、今我らが嘘をついたと言ったか?』

「ひぃっ!?」


 観客の反応を読んで来る。


「や、やばいよあんた!」

「隠れないと殺されちま……」


 慌てる人々の前で昭和特撮幹部はため息をついて。


『……なるほど。認めよう。

 確かにこの技は、魔法ではない』


「「「えっ!?」」」


 まさかの言葉にパァッと顔が明るくなる人々。

 一方のセシリアが、ドンと壁を叩く。


(やられた……ッ!)


 セシリアは次の言葉が一字一句予測できた。

 すなわち……


「これは、超科学だ」

『これは、超科学だ』


「「「ちょう……カガク……?」」」


 知らない言葉に首をかしげつつも、

 それがとんでもない物だとはわかる人々。

 ごくりと息を呑む人々の前で、幹部は続ける。


『おめでとう、愚かな人間の諸君。

 君たちの科学は、一歩我々に近付いたのだ』


 セシリアは苦悶の表情で地面を見る。


(そうだ、魔法の種明かしがされたのなら、

 魔法ではないと認めてしまえばいい……

 その技が、人類の叡智でたどり着ける物だと

 自分たちで認めてしまえばいいだけだ!

 それだけで私の種明かしは、

 完全のその効力を失う……!

 その上で……)


『だが我らの超科学は愚かな人類の遥か先にある!』


(自分たちはさらに上だと見せてやれば、

 私の……負けだ!)


『見よ!』


 1人の魔族が光に包まれ、一瞬で別の姿に変身。

 さらにその変身魔族が分身し、

 分身した全員が一寸違わぬポーズを取る!


『見よっ!!』


 魔族が編隊を組んで空を飛び、

 空から都市を爆撃する!!


『見よッ!!!!』


 焼け野原となった都市に大怪獣が現れ、

 都市の建物を次々に踏み潰していく!!!!


『見よぉぉぉおおおッ!!!!!!』


 さらには現れた明らかに生物とは違う、

 人が作り出したモノとわかる巨大ロボが、

 きらびやかなビームを放ち、そして。

 都市がこれまで以上の大爆発を見せ、

 キノコのような禍々しい雲が立つ!!!!!!


『これが我ら魔王軍の超科学だ!

 さぁ、愚かな人類よ、思い出すがいい。

 貴様たちが見た爆発は、

 今の超爆発に届いていたか……』


「ぜんぜん……」

「とどいて……」

「なかった……!」


「くうっ!!」


 ドンドンと壁を叩いたまま、

 膝から崩れ落ちるセシリア。


 もはや思い出すまでもない。

 今の爆発は、ただの爆発ではない。


 ただ火薬を炸裂させただけではない。

 むしろ、火薬の炸裂は最初のワンカットだけ。

 それ以降のカットはすべて、

 爆発を部分的に見せた演出で、

 火薬を一切使用していない嘘なのだ!


 しかし、その嘘が。

 本物ではない景色が、

 より本物に近く見えてしまう。


 それが、それこそが、


『魔王軍の、真実の力だ!』


(特撮の……嘘だ……!)


 魔王軍がこの手を使ってきた以上、

 リンネのここまでの努力はすべて水の泡。

 それどころか、もう先もない。


(このまま続けても、私では……)


 勇者セシリア。

 こうして彼女は今日、異世界に来てはじめての。


(勝てない……!)


挿絵(By みてみん)


 敗北を、経験した。

この物語は第一章最終話まで書き上げたものを

予約投稿して公開してるの。

毎日22時20分更新で全18話、

第一章最終話は11月4日になるわ。

文字数は約10万文字で、普通のラノベ1本分くらいね。




気に入った方は前作もよろしく。


★異世界で国鉄分割民営化を回避するため走る

 鉄オタエルフの奮闘記。


異世界で森を切り開き鉄道敷いて魔王を倒したエルフの後日譚

「ファン・ライン」~異世界鉄道物語~

https://ncode.syosetu.com/n8087ko/

【Nコード:N8087KO】

挿絵(By みてみん)




★全員クズの勇者パーティの中に

 裏切りものが1人いる(※1人しかいない)とわかり

 全員が暗躍しはじめる話。


このパーティの中に1人、魔王の手先がいる!

https://ncode.syosetu.com/n7991lc/

【Nコード:N7991LC】

挿絵(By みてみん)

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