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異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません! ~総天然色異世界~  作者: 猫長明
第1章:異世界を恐怖で支配する魔王の力は全部特撮なのにこの世界の人たちは私の言葉を信じてくれません!

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第2話:ヘンタイ勇者の爆発作戦

この物語はフィクションですが、

登場する人物・団体・名称等は、

実在のものが意識されています。


本作品は特撮作品及びその関係者を批判するものでなく

全ての特撮作品へのリスペクトを持って執筆しています。

この場を借りて情熱をもって素晴らしい特撮作品を

作られたすべての方々へ謝辞申し上げます。

「なるほどな……

 センちゃんの事情はわかったで」


 凛音(リンネ)・セーデルルンド。17歳、女子高生。

 母親がスウェーデン人のハーフで帰国子女。


 外交官だった父が名家セーデルルンド家に

 婿入りする形で生まれたリンネであるが、

 この父親が曲者。彼は、超のつくオタクだったのだ。


 この父親から古い特撮やアニメのビデオ(ED-β)を

 見せられて育った彼女は当然のように

 特撮をメインにした非常に濃いオタクに育ってしまった。

 そして、ヒーローの中の人を夢見るようになるのである。


 しかしそんな夢も身長が140cmで止まった現実を前に

 諦めざるをえなくなってしまい、抜け殻の日々を過ごす

 ある日の学校帰り、道に飛び出した猫を救うべく

 自分も飛び出し、トラックと衝突。

 そして気付いたらあの森に居た、と。


(雲を掴むような話だけど、

 信じてもらえたようで良かった……

 もしかして私みたいに転生する人、

 この世界だと珍しくないのかな?)


 そんなことを考えながら出会った少年、

 イサムの後に続いて彼の家を目指す彼女だが、

 一方そのイサムの胸の内というと。


(かわいそうにな……

 絶望で頭おかしくなって、

 あそこで死のうとしてたんやな……

 それで、死ぬ恐怖を消すために

 おかしな言葉を叫んで……)


 ある意味であの最悪の出会いが

 良い方向に機能しているというミラクル。


 こうしてイサムの家に案内されたリンネは、

 両親の優しい歓待を受け、

 温かいスープとパンのような何かに加えて

 数日の寝床を与えられるに至った。


(ご両親も私の話を信じてくれた……

 はじめて会った人達が

 優しい家族で良かった……)


 と、見ず知らずの世界でも

 安堵の中で眠りに落ちる彼女だったが。


(あんた、あの子……)

(あぁ、かわいそうにな。

 見たことないが綺麗な服だし、

 北の方から逃げてきたいい育ちの子だろう。

 それで、頭がおかしくなってあの森で……)


(どうするんだい?

 まだうちには余裕はあるけど……)

(余裕がある限りは置いてやりたい。

 が、あんな子の足で逃げてこれるほど近くまで

 魔王軍の手が伸びているんだろう。

 家と畑を捨てる覚悟はしておいた方がいいな)


 表面的には問題が起きてはいないものの、

 お互いの心の内では完全にすれ違っているのだった。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




「お父さんお母さん! 水汲んできました!

 畑も耕して広げてあります!」

「おぉ! ありがたい!

 いつも助かるよセルル!」

「せっちゃんは働き者ねぇ。

 イサム! あんたも見習いなさい!」

「明日からはわいも頑張るって!」


 森で出会ったイサムの両親は、

 リンネを暖かく受け入れてくれた。

 幸いにも言葉が通じるのもあるがそれ以上に

 彼女が真面目な働き者だったことが大きい。


 スーツアクターを目指して

 体を鍛えてきた彼女は筋力もあり、

 ある意味このまま農家として

 スローライフを送るには最高の肉体だった。


挿絵(By みてみん)


 しかも、その上彼女の場合。


「……信じられん。こんなことが……」

「うーん……ごめんよ、せっちゃん。

 私達、あんたの頭がおかしいのだとばかり……」

「あははは! いえ、いいんです!

 私だって最初は信じられませんでしたもん!

 でも、ご覧の通りです!

 畑にうんち撒くと、野菜がよく育つんですよ!」


 現代で学んだ極めて豊富な知識があったのだ。


(人の糞尿を肥料として使い出したのは

 日本では鎌倉時代、12世紀から。

 道具にかろうじて鉄が使われているけど、

 製錬レベルは高くないし、ガラスもない。

 わりとガチめの中世異世界だな……)


 畑仕事を手伝いながらイサムの家族から

 この世界の情報を集めるリンネ。


 本のようなものがあるかと問うも、

 そんなものは大都市の貴族の家にしかないと。

 活版印刷の技術はもちろん、

 製紙技術もまとなレベルにはないようだ。


 そんな生活の中で彼女がなにより驚いたのが。


「うーん! 野菜が美味しいです!

 神様ありがとー!」

「カミサマ? 

 セルル、カミサマとはなんだい?」


「ん、あー、そっか。

 この世界には神様の概念がないんですね。

 えーと、世界を作ったすごい人で、

 この世界で生きる人たちを見守っていて……」

「あぁ、マキラミ様のことか」


 この極めて都合の良い翻訳能力だった。


(文法は気にする必要がなく、

 単語もこの世界の同様の物に翻訳される。

 この野菜は見た目が明らかに大根ではないけど、

 大根で言葉が通ったし味も近い。

 多少の誤差は問題ない、と。

 もしもこちらの言葉が通らなかったり、

 向こうの言葉がわからないなら、

 それは概念から存在しないということ。

 神様は概念がない。

 一方のマキラミ様は神様に近いみたいだけど、

 多分致命的に違う点があるんだろうな)


 実際、宗教観は文化によって違う。

 日本に慣れてしまうと忘れがちだが、

 仏様とイエス様と天照の帝は別物だ。

 すべてを一括りに神様と言う方がおかしい。


 ともあれ、こうしてスローライフを送りながら

 平和な異世界農家暮らしを送るのだが。


「ふぃー、疲れた。

 こういう時、私も魔法が使えればなぁ……」

「っ!?」


 その一言で、イサムの両親の目の色が変わる。

 驚愕からの恐怖、そして、哀れみへ。

 ぐるぐると変わる顔色にリンネは首をかしげる。


「あ、あの? えっと……

 この世界、魔法は……」

「そんなもの、使える人間がいるものか……!」


「え……?」

「せっちゃん、落ち着いてよく聞きな。

 私達はあんたの過去を詮索しない。

 あんたさえ良ければ、

 ずっとうちに居てくれてもいい。

 だから……魔王のことは、もう忘れるんだ」


 魔王。最大級の畏怖と共に小さい声で出た

 その言葉には、この世界を覆い包む

 魔王の闇の大きさが感じ取れたのだった。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




「魔法を使えんのは魔王軍の魔物だけや。

 わいら人間に魔法は使えへん」


 あの両親には話をすべきでないと察し、

 リンネは後日、イサムに魔王のことを聞く。


 イサムはどこか関西弁のような

 独特のイントネーションで喋るように聞こえるが

 これもおそらく翻訳の結果だろう。


 推論だが、イサムの言葉はどこか訛っている。

 正しい教育が行き届かなかったのかもしれない。

 それが翻訳として、エセ関西弁のような形で

 聞こえているのだけなのだろう。


「魔王軍はここから遥か北、

 荒れた海を越えた向こうの大陸におるんや」

「海の向こう……」


 リンネは一人考える。

 おそらくこの世界にはまだ

 まともな流通網が存在しない。


 海を越えてともなれば完全な異界。

 新大陸と呼ばれたアメリカ大陸のようなもの。


 もしも知る限りの世界の科学技術の発展から

 今を私の知る12世紀と仮定するなら、

 コロンブスのアメリカ大陸発見は300年後。

 赤毛のエイリークによる発見は100年前だが

 それがホラ話半分程度に伝わる程度だろう、と。


「で、魔王軍は大陸の町を次々に制圧。

 その光景を魔法で見せてきとるんや」

「なるほどね……」


 すごい。効果的な戦略だ。


 海を安全に渡る航海技術がなければ

 大陸1つを支配すればもう安泰。


 あとはわざわざ海を越えて遠征せずとも

 支配の状況を見せてやれば人は怯え、

 戦わずして支配を受け入れてしまう。


 実際問題あの両親の様子を見るに

 既に魔王の支配は完了していると言える。

 あとはもう好きに搾取するだけだ。


「でも、魔法か……

 人間の魔法使いはいないの?」

「魔法ツカイ、魔法を使うやつのことか?

 なら、多分おらんで。聞いたこともない」


 実際ここまでリンネは

 魔法のようなものを見ていない。

 あの泉にしても、たまたま体力回復の栄養素が

 土の中の木の根から溶けているだけらしい。


 ヒーローに憧れていた彼女にしてみれば

 残念な話ではあるのだが、

 無いなら無いでいっそわかりやすい。


 この世界はごく普通の中世世界。

 先日の肥料のことや、今掘っている灌漑施設など

 現代知識が単純に役立つ環境だ。


 そういうものだと納得すれば悪くない。

 イサムの両親も良い人だ。

 魔王の闇もまだこの地方には届いていないようだし

 このまま夢を忘れてのんびりと暮らすのは、

 悪くないようにも思えた。


(魔王のことは、忘れる……)


 流石にこれだけの期間いっしょに暮せば、

 最初の頃、自分が誤解されていたのもわかる。

 おそらく自分は、魔王軍の略奪から

 逃げてきた人だと思われているのだろう。


 別段それで困るようなこともなかったし、

 改めて自分の境遇を説明しても混乱させるだけ。

 なら2人共良い人なのだし、そう思われたままで

 別に困ることもないというのがリンネの結論だ。


 だが、ここで言う魔王を忘れるとは、つまり。


(ヒーローに……なりたかったな……)


 夢を忘れる、という意味に感じられた。

 それだけがどうしても、寂しかった。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




「まさかこんなに収穫できるなんてなぁ……」

「肥料に灌漑、それと、休耕……

 途中に豆を育てることに意味があるなんてねぇ。

 せっちゃんはほんとにすごいわ」


 こうして現代知識で農家無双した結果、

 一家の野菜の収穫量は数十倍に跳ね上がり、

 貯蓄保存限界を一瞬で突破する。


 そこでリンネは荷車を作り、

 イサムと共に余った野菜を近くの町まで

 新しい農具や日用品と交換してもらいに

 行く形となるのだった。


「この世界、お金はないの?」

「あるで。けど、一部の商人しか使っとらん」

「なるほどなぁ」


 確かに通貨はもともと商人が信用取引のための

 トークンとして使い始めたのが起源。

 この世界ではまだ一般には流通していないのだ。


 そういうものと納得しつつ町までたどり着く。

 石造りの町並みはいかにもな中世ヨーロッパ。

 窓にはだいぶ歪んでこそいたが

 ガラスのようなものも使用されていた。


「じゃ、商人探して交換してもらうで」

「うん。ついでに町ちょっと見てもいい?」


「ええで。こっからはわいに任せときや。

 こう見えて交渉は得意やねん!」

「ははは! 確かにイサム君、

 交渉が得意そうな話し方するよね!

 じゃ、よろしく!」


 大阪人は商売上手なイメージ。

 それがこの言葉に翻訳されているのかもしれない。


 ということでイサムと別れ、

 町の中を歩き出すリンネ。

 賑やかで楽しげな町の雰囲気が、

 ふと気付くと、一気に暗く、重くなる。


 広場に集まる人々の群れ。

 何事かと向かったリンネは、

 思わず目を疑った。


「嘘……あれは……」


 広場にあったのは、この世界にあるはずがないもの。

 明らかなに場違いな人工物(オーパーツ)

 オーロラビジョン。巨大なテレビだった。


「えっ!? えええっ!?」


 思わず隣の建物の窓ガラスを見る。

 明らかに製錬レベルが低いガラスは

 表面がでこぼこで曇って見えている。


 だが、オーロラビジョンのガラスは

 明らかに現代世界のもの。

 それどころか裏側からは明らかな

 機械のコードが伸びていて、

 1本はアンテナのようなものに、

 もう1本は発電機のようなものに繋がっている。


「な、なんでぇ!?」


 混乱するリンネの前で、

 オーロラビジョンに光が灯る。そして……


『愚かな人類よ……

 貴様らに魔王の力の一端を見せよう……』


 その姿にその場の全員が息を呑み、恐怖する。

 現れたのは魔王軍の将軍の1人らしい。


 だが、その姿を見たリンネは、

 まるで別の第一印象を抱いた。


(昭和特撮の悪の幹部……?)


 そんなチープな衣装と、

 明らかに特殊メイクで作られた

 クリーチャーの顔だったのだ。


『これが今回魔王軍の手に落ちた街の姿だ!

 見よ! そして恐怖せよ!』


 明らかに違和感のある燃え方の炎の中、

 全身タイツにしか見えない魔物が街を襲う。


「……ははは、すごいですねぇ」


 もはや乾いた笑いしか出ないリンネ。

 やがて一度場面が切り替わり、

 街の様子が俯瞰視点に変わるのだが。


「うわぁ……ミニチュア特撮だぁ……

 久しぶりに見たなぁ……」


 予算の都合とCG技術の発展で、

 最近はウルトラマンの新作でも滅多に見られない

 もはや伝統芸術化したミニチュア特撮。

 となれば、当然……


『ギャオォォォオォォオオオ!!』


 現れるのは、大怪獣だ。


「…………」


 普通の現代転生者なら呆れるような状況。

 だが、リンネはと言えば……


「……最高」


挿絵(By みてみん)


 もはや古い映画の中でしか見られないような

 コテコテの特撮演出に、よだれを垂らしていた。


(あの粉塵の飛び方……間違いないです。

 街のミニチュアは全部、

 ウェハースで作られてる……!

 カット割りも絶妙……!

 怪獣の巨大さが最高のアングルで際立ちます……!

 素晴らしい……!

 素晴らしい特撮技術です……!)


 まさか異世界に来て見られるとは

 夢にも思っていなかった高度な怪獣特撮。

 数年ぶりに再開した恋人との逢瀬のように

 頬を赤らめるリンネだったが、

 一方周りの人々の反応は真逆だ。


「なんてことだ……」

「もうおしまいだ……」

「この町もいずれ……」


「……ん?」


 予想外の周りの様子に、

 一瞬だけリンネが画面から目をそらした、

 その瞬間。


『ギャオォォォオォォオオオ!!』


 大怪獣が咆哮と同時に口からビームを放つ。

 しまったと目を戻すと、

 最後の一瞬だが確かに見えた。

 間違いない! あれは……


(オプチカル・プリンターを使った

 エリアルイメージ特殊合成だ!)


 CGのない時代、古の特撮で使われた

 ヒーローのビームや光線に使用された光学合成!


 そう、あれは魔法でもなんでもない。

 特撮に命を賭けた職人達の、叡智の結晶である!


「きゃぁぁぁぁぁあああああ!!」

「うわぁぁぁぁぁあああああ!!」

「たすけてくれぇぇぇええええ!!」


 光線の着弾と同時に大爆発。

 街頭な阿鼻叫喚に包まれ、

 中には瓦礫がオーロラビジョンから

 飛び出してくるかもしれないと思ったのか、

 頭を抱えてガタカタを震えだす人も

 一人や二人ではなかった。


『くくく……これが魔王軍の力だ。

 我らを恐れよ人類!

 次は……お前の町だぁぁぁああああ!』


「ひぃぃぃいいいいいい!」

「たすけてくれ! なんでもするからっ!」

「おねがいだっ! だれか! だれかぁぁああ!」


 昭和特撮幹部の迫力あるドアップと最後に

 終わった特撮映像。

 だが、町の混乱と恐怖はここからだった。


(……これが、魔王の恐怖ですか)


 最初に湧き上がったのは、笑いだった。


 アメリカで放送されたHGウェルズの宇宙戦争。

 そのリアルさを真実だと誤解した人々が

 大パニックに陥ったという有名なエピソードは

 今では作り話だったという見解が一般的だ。


 そんな作り話が長く信じられていた程度には

 昔の人々にとっての特撮はリアルな物だった。

 日本でも戦前の特撮は本物だと思われていたし、

 それより前になれば映画自体が

 その場で行われていた舞台だという認識だった。


 そんな状況を笑えるのは現代人のリンネだから。

 彼女は現代人であるが、

 それ以上に特撮オタクだった。


 故に次に湧き上がるのは、感動とリスペクトだった。


 人々を本物だと錯覚させるほどの高度な特撮。

 その技術も、そんな映像を作ろうという意思も

 おそらく今ではほとんどが失われていたはずの

 熱い職人たちの魂に思えた。


(そう、だからこそ)


 だからこそ、彼女はこう思う。


()()()()()()()


挿絵(By みてみん)


 特撮は娯楽だ。楽しいものだ。

 そのリアルさも、恐怖も、

 偽物であるという前提で楽しむべきもの。


 だが、あのオーロラビジョンを設置し、

 魔王なんてものを名乗り、

 人々を恐怖で支配しようとするヤツらは。


(絶対に許してはおけないっ!!

 あんなヤツらが、特撮技術を使うこと

 それ自体が許せないっ!!)


 リンネは怒りのままに走り出し、

 広場の壇上に上がり叫ぶ。


「みなさん聞いて下さいっ!

 あの映像は、特撮です!

 すべて作り物です! 嘘の映像ですっ!!」


 真剣な表情で叫ぶリンネだが、

 その声は人々には届かない。第一に。


「トクサツ……?」

「エイゾウって、なんだ……?」


 その概念からして、この世界にはないのだ。


「何を言うか小娘!

 あれが作り物のはずがない!

 あれは魔王の魔法だ!」

「魔法なんてありません!

 それはみなさんの方が私よりも

 よく知っているはずです!」


「だが魔王軍は魔法を使う!

 あの怪獣が口から吐いたビームを!

 その後の燃える町を! お前も見ただろう!?」

「ではこの中に一人でも、

 目の前で怪獣やビームを見た人はいますか!?」


「今見ただろう!」

「あの板の中以外でです!」


 ざわつく一同。

 確かに言われた通り、

 誰一人目の前では見たことない。

 行商で町を移動する商人達もだ。


「な、なら! ならお前は!

 あの魔法を目の前で見せられるっていうのか!?」

「うっ……」


 出来る、とは言えない。

 少なくともビームは無理だ。

 エリアルイメージ特殊合成機以前にカメラがない。


 そして、カメラがなければミニチュアを作っても

 本物のように見えるアングルでは見られない。

 カメラと照明、そして高度なカット割り技術。

 それらなくして特撮はリアルに見えない。

 だからこそ遊園地のヒーローショーは

 どこかチープに見えてしまうのだ。


「出来ない……です……」

「ほら見ろぉ!」


「そうだ! 出来ない! 出来るわけがない!

 魔法は魔王軍の魔物や怪獣しか使えないんだ!

 あのビームも、()()()()()()()()()……!」

「……ん?」


 待て。怪獣。ビーム。

 そこまで言葉が通るのに。


「爆発って、わかりますか?」

「バクハツ……?」


 そう、この世界には()()()()()()()()

 つまり……


「火薬って知ってますか?」

「なんだそれは?」


 火薬がこの世界には、まだ無い!


 そして、火薬であれば……作れる!

 この人たちの前で、魔法を見せることができる!

 特撮の魔法を……

 特撮の華とも言える大爆発を!


 そのためには……

 そのために、必要なものは……




「……わかりました。見せてあげましょう。

 あのドンッて広がる炎を!

 魔法でもなんでもない、火薬による大爆発を!」

「!?」




 自信満々のリンネの言葉に一歩引く群衆。

 言葉の意味はわからないが、

 とにかくすごい自信である!




「そのために、みなさんの……」




 そう、そのために必要なのは……








「みなさんのおしっこを私にください!!」


挿絵(By みてみん)


「…………」

「…………」

「…………」


「あっ……!」


 勢いで出た言葉に、気付く。


(またやってしまった……!

 もう、お嫁に行けない……!)


挿絵(By みてみん)


「…………」


 と、そんな様子を遠目に見ていたイサムは思う。


(やっぱセンちゃん、頭がおかしいんや……

 もしくはあの姉ちゃんは、

 救いようのないド変態なんや……)


挿絵(By みてみん)

この物語は第一章最終話まで書き上げたものを

予約投稿して公開してるの。

毎日22時20分更新で全18話、

第一章最終話は11月4日になるわ。

文字数は約10万文字で、普通のラノベ1本分くらいね。




気に入った方は前作もよろしく。


★異世界で国鉄分割民営化を回避するため走る

 鉄オタエルフの奮闘記。


異世界で森を切り開き鉄道敷いて魔王を倒したエルフの後日譚

「ファン・ライン」~異世界鉄道物語~

https://ncode.syosetu.com/n8087ko/

【Nコード:N8087KO】

挿絵(By みてみん)




★全員クズの勇者パーティの中に

 裏切りものが1人いる(※1人しかいない)とわかり

 全員が暗躍しはじめる話。


このパーティの中に1人、魔王の手先がいる!

https://ncode.syosetu.com/n7991lc/

【Nコード:N7991LC】

挿絵(By みてみん)

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