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砂時計

作者: 逆福

ある日街中をぶらぶらと歩いているとピエロやら馬やらのオブジェが並んだ建物があり、興味を惹かれて近づいてみるとどうやら骨董品店のようであった。こんな店があったのか気づかなかったと思いながら窓から店の中を覗くと、中にも面白そうなものがあるようだった為店に入ってみることにした。店内には店主であろう年のいった男性が一人だけで客は私以外いなかった。外にあった大きめのオブジェと変わって店内には茶器やら小物入れやらの小さめのものが並んでいた、私はその中で一つの砂時計に惹かれていた。形はシンプルな砂時計であったが細やかな細工が施してあり部屋に置いてあると結構映えるなと考えていた。店主に断りをいれて手に持って確認してみると更に欲しいという気分になった為多少値段はしたが購入する事にした。付属品だという箱に砂時計をいれてもらい、店をあとにする事にした。去り際に店主にお気をつけてと声をかけられたが私は砂時計が割れないように気をつけてと言っているのだろうと気にも留めなかった。


砂時計を買って数日、部屋の飾り程度に考えていたが毎日のように使っていた。砂が流れていく様が何故か癖になりじっと眺めている事が多くなっていた。家に帰ってくると砂時計を逆にして流れる砂を眺める、砂が落ち切ったらまた逆にして眺めるという事を続けていつの間にか寝る事を忘れて流れる砂を見ていた事もあった。そんな事を続けてついには仕事にも行かずに砂時計を眺めているようになっており、頭ではこんな事はダメだと思っていても何故かやめる事が出来なかった。そんな状態の時始めは気づかなかったが何回か砂時計をひっくり返していると砂が落ち切る時間がだんだんと短くなっている事に気がついた、1時間で落ち切るはずの砂時計が今は50分程度で落ち切っているのである。使っていればいくらか誤差が出るものであるが明らかな異常であった。そんな事に気づいた時、店主が去り際に気をつけてと言った事を思い出していた、あれはこの事だったのではないかと。寝不足のせいか日に日に体は弱っていき、砂もまた1分2分と早く落ちるようになっていた。明日には1分もかからず砂が落ち切るのではないかという時ぐらぐらと家が揺れた。強めの地震が発生したようでかなり揺れ、テーブルに置いてあった砂時計が落ちてパリンと音を立てて割れた。その瞬間さっと頭が冴えてきて、どうにか体を動かして家から外に出たのであった。


家から出たあとの記憶はなく起きた時には病院のベッドにいた。隣人が倒れている私を見つけて救助を呼んでくれたらしかった。寝不足やら栄養失調で危険な状態であったと言われた。退院して家に戻ると何故か砂時計はなくなっていた、体に寒気を感じながらもしやと思い骨董品店に向かったがそこに店はなかった、近くの人に尋ねてみてもそこに店はなかったと言う。果たして私が見ていたものはなんだったのか、今考えてもわからなかった。


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