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愚者×無精者のアイテムハンター ~学園ワーストワンツーがバディを組んだらSランクになりました~  作者: サエトミユウ
第一部

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第41話 いなくなってからの出来事3

「……待って。メデューサが確か中級魔物の出没地帯に出たわよね? そのとき、捕獲魔法をかけたのってどこだった?」


「捕獲魔法?」

 キャル鑑定士の言葉にエドウィンがひっかかって尋ねると、キャル鑑定士が説明した。


「対抗戦で召喚した魔物は、中級魔物の出没地帯に、魔物を捕獲してコロシアムに送り込む魔法陣を描いていたの。だから本来は、中級魔物として喚ばれることのないメデューサが捕獲されて送り込まれちゃったんだけど……。中級魔物出没地帯にメデューサが出たこと自体が、人為的なものだとしたら? もっと前から、ジミー君を嵌める計画がされていたとしたら?」


 キャル鑑定士の説明で合点のいったジェイド学長が頷き、フィッシャー教官が場所を指し示した。


「捕獲魔法の魔法陣を置いたのは、ここと、ここと、ここです。……ユーノ・モーガン君たちのチームはやや弱い出没地帯に魔法陣を置きました。そこから出たということは考えられないでしょう」

「決まりだ。ソコ行って見てくる」


 エドウィンが言い切ると、キャル鑑定士が腕を掴んだ。

「ちょっと待ったー! 一人で全部回れるワケがないでしょーが! 手分けするから!」


 ジェイド学長は素早くフィッシャー教官に指示した。

「まだ依頼を受けてない生徒で中級魔物を倒せる生徒は向かわせろ。牽制になる。ただし、深追いはさせるな。セイバーズにも連絡してくれ。討伐対象はメデューサと同等と考えられ、また、裏ルートの介入も考えられるためR指定だ。私とキャル鑑定士も向かう」


 キャル鑑定士はエドウィンを引きずって専用受付室まで連れていくと、魔導具を取り出した。

「これを腕に嵌めて、ジミー君がいたら、この腕輪に手をかざし、光ったら腕輪に向かって話しかけること! 私とジェイド君も同じのをつけて、いたら同じように教えるから! わかった!?」

「わーった! なんか急がねぇとヤベェって気がすっから、もう行く!」

 エドウィンは走っていった。


「え!? どこに向かったの!? もしかして、絆でわかったってヤツ!?」

 キャル鑑定士は脱兎の如く走っていったエドウィンに呆れつつ、応援を送った。

「がんばれエドウィン君! ジミー君は絶対君のルートに入ってるよ!」


          *


「……ってワケだな」

「あー、うん。ありがと。よくわからないけど、エドウィンの勘に助けられたよ」

 さすがアイテムハンターだよ。引きが強い。


 安堵したところで、キマイラのドロップアイテムを確認しにいった。

「なんか、スゲー落ちてるぜ?」

「確かに」


 キマイラ、大きかったからな……。体格でドロップ数も変わるのかな。

「お、肉が落ちてるぜ! ラッキー!」

 エドウィンが拾いながら言った。


「これはなんだろ……。見るからに毒々しいのがある」

 袋状の……これって蛇の毒か? うぇえ……とんでもないものがドロップしたな……。

「こっちにも袋みたいなモンがある。……すっげー熱そうなんだけどよ?」

 謎の物体だな。まぁ、空間魔法で保管すればどんな物でも問題ないんだけど。


 危険そうなのはそのまま空間魔法で呑み込み、あとは拾って確かめてから収納した。

「んじゃ、戻るか」

「そうだな。……その前に」


 俺はエドウィンに向き合い、頭を下げた。

「助けに来てくれて感謝する。俺はうぬぼれていたんだ。一人でも倒せるって……。でも、無理だった。お前が駆けつけるのがあと一歩恐れりゃ、死んでたよ」


 とたんに頭を叩かれた。

「イテッ!」

 頭を上げると、エドウィンが睨んでいた。


「一人で倒せねーのなんざ、当たり前だろうが! セイバーズってのはチームなんだよ! お前、頭がいいくせに肝心なトコがバカでどうするよ!? いいか、これからは代理を安請け合いすんじゃねぇ! 俺たちはアイテムハンター、他の奴と組んだってSは出ねぇんだ! なら、代理は他の奴に任せとけ! あと、いい加減自立しろ! いつまでも同い年の弟の心配してんじゃねぇ! テメーらタマついてんだろ! 腹くくって一人で立てよ!」

「…………おっしゃるとおりです」

 うなだれた。


 俺の後ろめたさが、エドウィンまで危険に晒した。このままでいたら、これからも晒すだろう。

 俺は、事情をエドウィンにうち明けることを決心した。


 で、説明しようとしたら……エドウィンが急に切り替え、手をあげた。

「ま、説教はこんなとこだ。俺はお前と違って、説教好きじゃねーからよ! でもって、キマイラ討伐完了だぜオラァ!」


 ……そうだな、頭が痛くなるような話は、また今度でいいか。

 笑顔のエドウィンに笑顔を返し、俺はその手を叩いた。

「「おつかれ!」」


          *



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