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愚者×無精者のアイテムハンター ~学園ワーストワンツーがバディを組んだらSランクになりました~  作者: サエトミユウ
第一部

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第26話 対抗戦①

 ……俺は、心のどこかで舐めていたんだ。

 父のことも、他のセイバーズのことも。

 それを思い知らされた対抗戦だった。


          *


 対抗戦が始まった。

 コロシアムとなる訓練場に結界が張られる。

 そして、ジェイド学長が対抗戦開催の挨拶をした。

 俺とエドウィンは、やさぐれながら体力回復薬を煽っては、瓶を床に叩きつけて割っている。


「……(ねみ)ぃ。アイツらぶん殴りてぇ」

「……よし、嵌めてやった……この後思い知れ……」


 ユーノとハムザ・ヘンダーソンが俺たちの横に立っているが、ハムザ・ヘンダーソンは呪詛を唱えている俺たちを怖そうに見ているし、ユーノに至っては白い目で見ている。

 こうなったのも、連中のせいだけでなく学長たちとフィッシャー教官のせいもある。


 フィッシャー教官は、もっと早く俺たちに内容を伝えるべきだった。じゃなけりゃ、無理して遠征をこなさなかったんだ。

 そして、俺たちが直前まで遠征に行ってたことを、ジェイド学長に伝えてくれよ!


 ミーミルとの喧嘩は、さらに学長同士での口論になり、俺たちは巻き込まれて深夜を過ぎた。というか、明け方になり、ほとんど寝ていない。

 今朝、フィッシャー教官が俺たちの状態を見て仰天し、ようやく俺たちの状態をジェイド学長に報告したのだ。ホント、いろいろ後手に回る人だな!

 今俺たちは、フィッシャー教官からもらった低級回復薬をガブ飲みしつつ、ストレス発散のため瓶を床に叩きつけて割っているわけだ!

 観覧席にいるジャン・ロバーツたちが俺たちを指さし、「アレ、大丈夫か?」って言っているようだ。大丈夫なワケがない。


 ユーノたちが最初だった。

 引きがいいのか、学長が手を回したのか、さして強くもないアウルベアだった。

 ……ほぼ、ユーノが一人で倒していた。

 ハムザ・ヘンダーソンは腰が引けていて、ほとんど戦っていなかったよ。

 ユーノは淡々と攻撃し、倒すとさっさと引き上げていった。それこそドロップアイテムに目もくれず。

 ポイントにならないからいらない、ってか。

 潔いユーノに苦笑するしかなかった。


「あー、やっぱフツーは無印なんだな」

 エドウィンが呟く。

 アウルベアのドロップアイテムは肉だ。Rになると毛皮だ。そして、Sになると前足らしき肉が出た。なぜか金色の粘体に覆われている。

 さすがに前足の肉は気軽に焼き肉に出来なかったので持って帰って鑑定してもらったら、やはり前足で、覆われていた粘体はキラービーのドロップアイテムであるロイヤルハニーだった。

 Sのこの組み合わせは、ロイヤルハニーの美容効果や薬効が高くなり、肉は非常に柔らかく美味しくなるらしい。


 そういや俺たち、徐々にレアドロップ率が上がっているんだよな。

 ダンジョンでも、その次も、遠征も、初討伐からRやSが出る。出現率も上がっている。

 チームワークが上がるとドロップ率も上がるんだろうか。

 以上、余談だった。


「……そう、普通は無印だ。だから、俺たちの対戦は地獄になる……。フフフフ、目に物を見せてくれるわ……」

「お前のそのノリ、ぶっちゃけ怖ぇんだけどよ?」

 エドウィンにツッコまれた。


 次はヴァルキリーアカデミーの双子だった。

 こちらはトロルという、大型の二足歩行の魔物だ。

 怪力なので攻撃が当たったり捕まったら終わりだが、鈍重で注意力が散漫、戦いの最中でも他の事に気を取られ戦っていること自体を忘れたりするので、やりようによっては討伐難易度はさほど高くない、とは聞いた。

 彼女たちの武器は特殊な槍……ランスと盾で、どちらかが引きつけているときにどちらかが攻撃する、というスタイルだった。

 さすがというか……三年生ともなると、チームとして安定していると感じた。

 危なげなく倒した。


 そして、ミーミルアカデミーのあの二人。

「はぁ? こんなん倒せるわけないじゃん。パスします」

「エーギルの作為を感じるよね」

 と悪態をつきつつ討伐を拒否した。

 出てきたのは、頭髪が蛇の魔物、メデューサだった。


 対抗戦では一度だけパスが出来る。

 自分の実力を知っているのもセイバーズとしての素質、ということだった。

 というか……。

「ハッハァ! 倒せねーのかよ!」

 エドウィンがさっそく煽っているけど、俺たちだって倒せないよ。


 学長の差し金なのか? と、思って見たら学長たちが真剣に話している。

「……最近石化した魔物がいるという報告があったが、バジリスクではなくコイツだったか……」

「これは……Sを緊急招集した方がいいのでは!?」

「私たちでもなんとかなるだろう。石化解除薬は医療室に揃っている」

「現役ではないし、チームでもないから私は厳しいかもしれないわ」

「なら、私とジェイド君で行くわ。ベリンダ学長、バフだけちょうだい」

 青くなっているミーミルアカデミーのイヤミー学長、難しい顔をしているジェイド学長とヴァルキリーアカデミーのベリンダ学長、やる気のアウズンブラアカデミーの学長。どうやら事故らしい。

 四人が立ち上がったとき。


「よーし、我ら【キャットファイト】の出番だな! お前ら! 私たちの勇姿を目に焼き付けるのだぞ!」

 意気揚々と繰り出したのが、スノウ様とシェーンだった。


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