表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愚者×無精者のアイテムハンター ~学園ワーストワンツーがバディを組んだらSランクになりました~  作者: サエトミユウ
第一部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/51

第24話 疲れ切って大会当日

 ――と、思っていた時期が俺にもありました。


 事の発端は、スノウ様が「外を見に行きたい!」と言いだしたことだ。

 土地勘のないシェーンだけでは無理で、エドウィンが気安く、

「んじゃ、俺が案内してやるぜ」

 って受けたのだ。


「おい……。大丈夫か? 遠征から帰ってきたばかりだろう? 明日に響くぞ」

 俺は心配したが、スノウ様も意気投合しているエドウィンに案内してもらいたいと言い、しかたないので他の連中にもお願いして町へ繰り出してもらった。

 ここまではまだ良かった。


 アカデミー交流は、何校か来る。

 もう一組、町へ繰り出した連中と入れ替わるように別のアカデミーからの交流生がやってきた。

 マズいことに、連中を見送って玄関先にいた俺が捕まってしまったのだ。


「ちょっと、遠くからやってきて疲れてるんだけど」

「荷物を運んどいてよ。僕ら、明日の対抗戦で戦うんだから気を利かせてよね」


 めっちゃ文句が多い上に「エーギルアカデミーは、僕らを恐れて実力を出させないように疲れさせるんだ、へーえ」という脅し文句をいちいち添えて、俺をこき使うのだ。

 参った、仲の良い連中は全員、アウズンブラアカデミー生たちと町に繰り出してしまった。何人か残ってもらえば良かった……。


「よぉ! 土産買ってきたぜ!」

「楽しかったぞ!」

 エドウィンたちが戻ってきた頃、俺は疲れ切っていた……。


「お前、断れよ!? 俺らも明日は出んだぜ!? しかも俺ら、今日まで遠征に行ってたんじゃねーかよ!」

 俺の様子を見たエドウィンが詰問してきて事情を話したら、怒鳴られた。

「……エーギルアカデミーは、交流に来た他校の生徒を疲れさせて実力を出させないようにしてる、って、いっちいち脅すから……」

 俺のせいで評判が下がったら困るし、それを理由にされるのは嫌だ。


「脅されたからって、やんじゃねぇ! お前はそういうトコがヘタレなんだよ! やりたくねーなら断れ! つか、やりたくても断れ! 明日どーすんだよ!?」

「大丈夫だ、問題ない。体力回復薬は山ほどあるし、なんなら渡してないSがある」

 俺の言葉にエドウィンが呆れていた。


 俺は穏便に済ませようとしたが、無理だった。

 エドウィンはああいった性格だし、そしてエドウィンと気が合ってるスノウ様もそういった性格だ。

 俺が別のアカデミーからやってきた連中にこき使われているのをエドウィンが抗議し、スノウ様も加勢した。

 返ってきた回答がコレ。


「僕たちの実力を恐れたエーギルとアウズンブラが組んで、ミーミル代表の僕らに嫌がらせをしてるってワケだ」

「みみっちいよね、エーギルもアウズンブラも。そんなに僕たちが怖い?」


 ハイ、二人がキレました。


「ざけんなゴラァ! テメェらなんざ相手になんねーんだよ!!」

「待てやめろ! 明日、めちゃくちゃになるだろうが!」


「シェーン行くぞ! 私の魔法をコイツらにお見舞いしてやる!」

「行くわけがないだろうが! スノウやめろ!」


 周りは囃し立てて盛り上げるし……。

 この騒ぎに寮監が飛んできて、さらには学長まで出てくる騒ぎとなり、明け方まで俺たちは眠れなかったのだ。


          *


 俺とエドウィンは、グロッキーのまま対抗戦当日を迎えた。

「……なんか、大変な騒動だったみたいですねぇ」

 キャル鑑定士が心配そうに声をかけてきた。


 フィッシャー教官は、

「一本ずつだが、中級の体力回復薬を取り寄せた。これを飲んでおけ」

 と瓶を手渡してきたので、俺とエドウィンは無言で栓を開け、煽るように飲む。


「……あの、クソアカデミー……」

 エドウィンはまだ呪詛を唱えているし。

 いや俺もだけど。


 ミーミルアカデミーは、魔法使いのセイバーズを輩出するので有名らしい。が、他の三校に比べてパッとしない。

 だが、ミーミルアカデミー生自体はプライドが高いらしいのだ。


 いわく、精密で多彩な魔法を使える自分たちは、剣や槍を振り回すだけの低能な他の候補生と比べようもなく優れている。

 脳筋が優れているのは筋肉だけなんだから、自分たちのために筋肉を使え……ってとんでもないクソ持論を持つ連中の巣窟なんだそうだ。


 実際、ミーミルアカデミーの学長もそんな感じだった。

「筋肉を使うしか能の無い連中なのだから、私たちのために労力を提供するのは当たり前だろう?」

 とか言われたからな!


「だから、使えないって烙印を押されて学長になるしかなかったんですよね」

「そーよねぇ、引退して無理やり引っぱられて学長になった私たちとは違うわよねぇ」


 と、やってきたジェイド学長とアウズンブラアカデミーの学長が嫌みを言っていた。そしてそこでもバトルが勃発した。

 交流会とはいったい……?

 ……あ、そっか、交流って対抗戦だもんな。むしろバトルするべきなのか!


 俺が不穏な考えに着地したら、

「……おい、不満があんなら声を張り上げろ。不気味な顔で笑ってんじゃねぇ」

 エドウィンが警告を出してきた。おっと、顔が怖かったか。


「……いいことを思いついた。ジェイド学長に話してくる……」

「お、おう。行ってこい。……俺になんかすんじゃねぇぞ?」

 エドウィンが最後に小声で何か付け加えていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ