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愚者×無精者のアイテムハンター ~学園ワーストワンツーがバディを組んだらSランクになりました~  作者: サエトミユウ
第一部

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20/51

第20話 堂々と聞け!

 次に、グレッグ・クワンの報告を聞く。

「チームを元に戻すよう訴えてるらしいぜ」

 という、ある程度は予想していたけど、なんてバカなことを……という話を仕入れてきた。


「いや、無理だろ」

 元よりチーム解消は重い決断だ。命を預け合うバディなのだから、解消よりも二人で問題を解決し、結束を深め、チームワークを築くべき。これがセイバーズのチームのあり方、と考えられているからだ。


 だから、チームを解消するということは、そうとうな軋轢があり、修復不可までに絆が壊れている、ということを指す。そんな二人なのに、再結成するわけがない、どちらにしろまた解消するか、下手をしたら命を落とす、だからあり得ない。そういうことで再結成は認められていない。


 さらに、俺とエドウィンは稀少中の稀少、Sランクのアイテムハンター候補生だ。学長からも、俺たちのチーム解消は認められないと宣言されている。

 ユーノがどう画策しようとも、大人の事情で絶対に認められないのだ。


 そこまで思考してハッとした。

 そうだ、俺たちが……いやエドウィンがどれだけやらかそうが、ほとんど揉み消されるんだった。何か違反をしでかしても、学長を筆頭に教官たちが後付けで理由をつけ、せいぜい罰則を喰らう程度で済むだろう。


 ユーノがそれを依怙贔屓と騒ごうが、絶対に覆らない。罠に嵌めて退学に追い込もうとしても、学長が揉み消すに決まってる。

 特に俺とエドウィンが「やってない」と言い張れば、徹底的に調べ上げて、どんな状況証拠が出ようとも、必ず罠に嵌められたことを掴んでくれる……と信じている。


 ようやくそれを思い出し、胸をなで下ろした。

「ん? どうした?」

 ホッとしたのをグレッグ・クワンに悟られたので濁す。

「いやなんでもない。えーと、訴えてる以外にないか?」

「無理なら、代理として互いの元バディをつけてくれ、だとさ」

「…………」


 さすがユーノ、というべきか。抜け穴を見つけてくるよな。

 確かに代理は認められている。というか、普通は代理だよ。解消するのがおかしいよ。


「……で? その話ってどうなんだ?」

 俺のところにその話が来たことはないが……。これから来るのか? ユーノに直接頼まれると、俺としては断れないだろう。


 俺が尋ねたら、グレッグ・クワンがキョトンとして言った。

「何言ってんだよ、どう考えたって無理だろ。〝代理〟って普通、バディが怪我とか病気とかしたときに頼むものだぜ? どっちもピンピンしてんじゃねーか。もしまたチーム解消を考えてて、相性を見るため代理を頼むのなら、二度と組めない相手に頼んでどうすんだ、って話だろ」

「確かにな」

 グレッグ・クワンでもわかるその理屈、教官は当然わかっていて、ユーノに諭したんだな。


「そもそも、それってミエミエだろ? ユーノの奴、お前のポイントがほしくて代理を頼むんじゃないか。そんなん誰だって許さねぇって思うよ。そこまでして個人成績を上げたいのか、ってよ」

 グレッグ・クワンが吐き捨てる。


「……ユーノとハムザ・ヘンダーソンの相性が本当に悪いのかもしれないじゃないか。……別に、俺とユーノの相性は悪くなかった。エドウィンとの方が最初は大変だったんだ。ユーノは、自分ではあまり動かないけど、よく気がつく奴だったから……」


 ボソボソ弁解を入れたら、グレッグ・クワンが呆れたような、生温かい眼差しで俺を見る。

「はいはい。……でもな、お前とエドウィンがランキングから外されたの、俺らからすれば結構ショックな出来事だったんだよ。確かにお前らのチームは努力じゃどうにもなんねーところを評価されてるけど、だからってランキングから外すか? どっちも元バディにポイント総取りにされた結果、ワーストだったんだぜ? トップの連中の鼻を明かせるはずだったのに、ランキングから外されて、さらにトップの奴がポイントほしさに代理やれ、って言ってくるのって、俺からするとそうとうムカつくんだけど」

 グレッグ・クワンが憤っていた。


 ……知ってたけど、コイツってホント……。


「短気だよな……」

「うるせー! お前、俺がお前のために怒ってんのにそんな感想かよ!?」

 今度は俺が怒られた。


 ――と、コソコソ偵察していたら、エドウィンに見つかった。

「気にしてんなら、コソコソしてんじゃねーよ! 堂々と聞け!」

 そう怒鳴ると、どこかへ行ってしまうエドウィン。

 俺は非常に不安になったので後を追いかけると……。


「おいテメー、ユーノだったか? いつまでもニーチャンに心配かけんなよ、自立しろ、自立!」

 と、トパーズクラスに乗り込んで叫んでいた。

 マジでバカだった。


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