表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

リンの言葉

41-45

作者: リン

41明日と今日


明日やろうと思うことを

今日やってしまえば

明日は楽になるにちがいない

けれど

今日やってしまうと

明日のことが忘れられて

明日が大事ではなくなるから

やらないでおこうと

思ったりしている


今日は今日で大事なことがあるはずだ

それを大事にしないで明日の大事を

やってしまえばどうなるか

わかったものではない


つまりはこれを屁理屈という


といっても

おならはしていない

地下アイドルだしね



嘘ついた




42春


春がいよいよ到来してきた

桜が蕾から芽吹き始めて

きれいな花を咲かせ

人は樹を見上げて

本格的な春の訪れを待ち遠しくしてる


待ちわびた手紙

花びらという手紙


差出人の名前はないし

切手や消印もないけれど

届けてくれたのは誰か知っている

宛名もないがそれがじぶんだとわかる


自然とやりとりする瞬間

その人は無自覚な主人公となっている




43光線銃


光線銃を試し撃ちしたかったので

彼女を標的にして撃ったら

死んでしまった


ぼくは彼女を抱き起こして助けを求める

やって来たのは彼女だった


誰よ、その女

というので

いや、彼女だけど

と答えると

それも、そっか

と納得した様子

これ、どうしようか、このまま捨てておくわけにもいかないし

彼女の処分に困っていると

それならわたしが代わりに捨ててきてあげる

と彼女は彼女を抱えてゴミ捨て場に向かう

まさかゴミにするつもりじゃないだろうな、彼女なんだし

と言うと

じゃあ、わたしと彼女どっちが大事なの?

と問いただすので

もちろんキミに決まってるじゃないか、捨ててきていいよ

と返すしかなかった


死んだ彼女のことが気になって仕方がないが

彼女の前でその気持ちを表にだすことはできない

彼女はあっさり彼女をゴミとして扱った

さすがにぼくにはできないことをやると感心した


彼女はもう何度も死んでいる

その傷跡は左腕に幾重にも刻まれている

彼女はそこらへん経験者だった


死んだ彼女はどうなったかといえば

四角い箱の中に無造作に入れられ

両脚が箱から飛び出ていた



ぼくはどうやら二人を愛してしまったようだ

一人なんだが二人

この気持ちをどこへやったらいいのか

わからない

捨てられた彼女を見ていると

愛が溢れ出てくる

一方生きてる彼女には優しさがこぼれてくるというか

気遣いする心が湧いてきていた


ぼくは光線銃でじぶんを撃ち抜いた

こうすれば一人が二人になるからだ

だが、ぼくは死に損ねたようだ

半身不随になって自由に動けなくなり

彼女に愛想を尽かされて

振られて終わった



ぼくは今、半身不随の身体で実体験を書いているが

嘘だと思うなら嘘でいいだろう


嘘は美しく都合よく語るべきものであり

事実はありのままの形をぐちゃぐちゃに反射して写した

虚構の万華鏡なのだ




44古代


古代

異邦人はまだらだった

古代

日本人は鉄製のキツツキだった

古代

九州人は窮屈だった

古代

地球は二つだった

古代

宇宙は気が大きくなりすぎて尊大で不遜だった

古代

宇宙をつくった元の存在はぼくより小さく

公園でなわとびをして遊んでいた




45メリークリスマス


春に

メリークリスマス

季節が外れている

冬はもう過ぎたかまだ先だ

だけど

メリークリスマス


春なのに

メリークリスマス

メリークリスマス

メリークリスマス

春だから

メリークリスマス


理由があるかもわからない

言葉のしっぽなんだ

メリークリスマス



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ